前編の記事では、ハートコア株式会社 DX事業本部/本部長 三宅立悟さんに「プロセスマイニングツールが自社のどんな課題解決に向いているのか。」について教えていただきました。
後編では、まだ謎に満ちているプロセスマイニングの導入手順と操作画面についてお伝えいたします。
こちらの記事はプロセスマイニング導入してみたいけどイメージがつかない…という方におすすめです。
前編の記事はこちら↓
以前のプロセスマイニング特集はこちら↓
業務プロセス可視化の手順
—業務プロセスの可視化は、どのような手順で行うのでしょうか?
例えば、「顧客満足度をあげるためにリードタイムを短くしたい」というケースで説明すると、まずmyInvenioを導入して受注~納品までの業務プロセスの操作ログを取得します。
次に、業務システムの操作ログを分析して、体制図とか業務量とかリードタイムなどの表示項目で、ボトルネックと改善策を表示します。
その操作ログを解析にかけ、受注~納品までのトータルの時間と各作業・アクションごとの平均時間や一番遅いプロセスのリードタイムなど、複数の軸でログを確認できるようにします。これで、誰と誰が作業に関係していて、どの作業を効率化すると、全体のリードタイムを短くできるのかが見えてきます。
これらの作業を、コンサルティング会社さんが行う場合もありますし、弊社からデータサイエンティストを派遣して行うこともあります。クライアント側に、データサイエンティストがいる場合であれば、製品の提供と利用方法のレクチャーだけ行う場合もあります。
操作画面・レポート画面
—業務プロセスは、どのように出力されますか?
例えば、ローンの審査受付~承認までのフローの一部で説明をすると、このように業務プロセス全体を可視化します。
太い矢印が、メインの業務フローを表すラインですね。ほかの矢印はサブ的な業務フローやイレギュラーな業務フローを表してます。赤い丸がありますが、これは1つ1つの業務プロセスを表しています。集計開始~終了までの1つ1つの業務プロセスの動きは、アニメーションで表示されます。数値はプロセスの件数ですね。
この赤丸をクリックすると、1つの業務プロセスの詳細画面に切り替わるので、社内の誰が行なっていて、どのくらい時間がかかったかという業務の詳細がわかります。他の使い道としては、例えば、あるお客様のローン審査に問題が起きた場合、どのプロセスで問題が起きていたのか、誰がこの処理をしたのかが、クリック1つで発見できます。運用時の個別の業務調査にも使えるということですね。
このように細かく業務プロセスを見ていくこともできますし、BPMができない業務プロセスの横連携部分を可視化することもできます。つまり、BPMを補完するようなツールでもあると思っています。
表示できる数値の項目はいくつかあるのですが、ローン決済完了のリードタイムで説明するとこちらです。
右上の2日18時間というのが、この業務の平均リードタイムで、24日6時間というのが、最も時間のかかったプロセスのリードタイムを表しています。1日11時間というのは、実作業の平均リードタイムを表しています。
左上の1.7/7は、平均処理件数/最大処理件数を表しています。左下の2.7/6というのは、この業務を平均で2.7人で回していて、最大で6人体制で回しているという意味になります。
このようにKPIの設定もできます。例えば、AIが立てた目標値にしてくために、どの数値をどのくらいの範囲がいいかをここで設定します。
そうすると、そのKPIの枠組みから外れたプロセスがあることを信号のように色分けして表示して教えてくれるので、改善点や削減する場所を具体的に特定できるんですよ。
あと、こちらの画面では、業務を行なっている人の相関関係を表す体制図を自動で作成できます。
別画面ですが、誰がどのくらいどんな業務を行なっているのかをリアルタイムで表示することもできるんです。業務管理のレポートを作成する工数はいらないですし、時間をかけて業務体制や業務プロセスのリスクがどこにあるのか情報収集をする必要もなくなるので、マネジメントで困っていた管理職の方には、1度使ってみてもらいたいですね。
これは面白い機能で、受注から納品までの顧客別平均リードタイムを表示することができます。青が受注の平均リードタイムで、オレンジが納品の平均リードタイムです。これで、どの顧客の受注・納品に時間がかかっているかわかるので、リードタイム(待ち時間やコスト)を改善して顧客満足度を上げて、受注率(売上)を上げる施策を検討することができます。つまり、ROIの改善や競争力を強化することにも役立つんです。
このように特定の顧客だけをピックアップして比較分析することもできます。両社のリードタイムにどう開きがあるのか、どの業務プロセスがボトルネックになっていて、どのプロセスを改善するのか施策を検討することができるんです。
例えば、この図にaddress missing block setとありますが、これはアドレスを間違えているので、無駄なやりとりが発生しているということを表しています。このせいで、1件あたりの処理に時間がかかり、納品までに時間がかかってしまっているというのがわかるんです。このプロセスを改善することで、受注率があがるかもしれないという仮説を立てることができます。
人間の働き方をどう改善していくか?が重要
–最後に、読者の方へメッセージをお願いしてもよろしいでしょうか?
企業の成長には、”予測(To-be)”と”業務(As-is)”を合わせていくことが重要だと思っています。
機械でどれだけ予測をしても、結局、最後は人間の働き方をどう改善していくのかが、企業成長するポイントではないかというのが、我々の概念なんです。
AIで予測した目標と実務がどう乖離しているのかとか、どこにボトルネックがあってどう改善できると、AIの予測に近づけるのかということが分かるようになることで、企業は成長できると思っています。
我々は、プロセスマイニングツールを通して、”予測(To-be)”と”業務(As-is)”を合わせ、成長を実現していきたいと思っています。
売上を上げたい、コンプライアンスの問題を解決したい、リスクをなるべく減らしたいというお客様の当たり前を実現するのがプロセスマイニングツールだと思っています。
RPAを導入したり、AIで目標設定をしたけれど、根本的な解決に結びついていないとお困りの企業さんは、解決実現に向けてお手伝いをさせて頂ければと思います。
また、AIのASPを提供している企業さんやデータサイエンティストさんやコンサルティング会社さんと一緒になって、AIが立てた経営目標をプロセスマイニングで実現していくお手伝いがしたいと思っています。ご興味のある方は、ぜひともご連絡をください。
まとめ
プロセスマイニングツールの導入と相性の良い課題は、いくつもあることが分かりました。どの課題にも共通して言えるのは、最悪の場合には企業の運営がストップしてしまいかねない課題ということです。
もし、社内に業務プロセスの可視化や予測(To-be)”と業務(As-is)の実現に関する課題が潜んでいるようなら、それは軽視してはいけない課題かもしれません。
まとめると以下の通りです。
①プロセスマイニングツールの導入(解決)が向いている課題は複数
- RPAを導入したが、組織全体が最適化されたのかわからない
- ERPなどのソフトウェアを導入したが、既存の業務フローにあっていない
- AIで予測した目標を実現するため、業務プロセスの可視化・改善が必要
- システム開発やソフトウェア導入前に、効果をシミュレーションしたい
- コンプラチェックのため、逸脱プロセスを監視する必要がある
②プロセスマイングツールの普及には、啓蒙活動と協力者を増やすことが重要
③プロセスマイニングツールは、AIが予測する目標(To-be)の実現にも向いている
④業務プロセスの可視化をマンパワーで実施する企業とも協力関係にある
参考になりましたでしょうか?今後もプロセスマイニング関連の情報をウォッチして発信していくのでお楽しみに。
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