2019年RPA関連トレンドワードである「プロセスマイニング」。
前回の記事では、プロセスマイニングの領域に詳しいハートコア株式会社代表取締役社長/CEO神野純孝さんにヨーロッパのプロセスマイニング市場など、「プロセスマイニング」の今を教えていただきました。
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ここからは先日プレスリリースがあったばかり、神野さんが世界20社のプロセスマイニングベンダーから選んできたプロセスマイニングツール「myInvenio」についてお伝えします。
プレスリリース記事:
プロセスマイニングツールを探し始めたきっかけ
ーー神野さんがプロセスマイニングを初めに知られたきっかけはどういうタイミングで、どのように知られましたか?
RPAを我々がやり始めたのがちょうど1年前なのですが、RPAの営業をしている中で、どんな業務をRPA化したら良いのかがわからないという声を多く聞きました。どの業務をRPAにしたらいいのかを分かるようなツールがないのか?ということで探したのがCICERO(シセロ)というアメリカのツールです。
CICEROと代理店契約をして日本での販売を開始したのですがCICEROにも弱点があって。PCのログデータを全部取得できるのですが、専門家じゃないと分析ができないという大きな弱点があったんですよ。例えば、業務改善コンサルタントのような方がCICEROを使うと、データに基づく問題点の発見ができるんですけれども、一般の人が使ってもなんだこれみたいなデータの塊なんですね。
そこで、せっかく良いCICEROというツールがあるので、これをもっと簡単に、わかりやすく可視化できるツールとして検討したのがプロセスマイニングだったのです。
ーーCICEROとプロセスマイニングは違うのですか?
CICEROとプロセスマイニングは違います。現在のプロセスマイニングツールというのはあくまでERPとかSFAのログデータだけを可視化するツールで、それらを横断したものは出ないのです。
CICEROは、例えば、SFAからデータを取ってエクセルで加工して、今度それをメモ帳に貼り付けてメモ帳でまた加工してERPに入れましたといったようなところを全部追いかけられるのです。ただ、さきほどお話したように可視化の機能はそれほど強くない。ですから、CICEROとプロセスマイニングを組み合わせることで、非常に強力になるんじゃないかと考えました。
プロセスマイニングツールごとに何が違う?
ーープロセスマイニングツールの機能は各社どのように違うのでしょうか。
プロセスマイニングにはフリーのツールもあるのですが、どのツールもログを抽出してそれを読み入れることによって業務の可視化をする機能を持っています。可視化をするとボトルネックはわかるのですが、このボトルネックは一体なぜ発生しているのか?このボトルネックを解消するためにはどこをどういう風にしたらいいのか?という分析ができるツールというのが実はものすごく少ないのです。
これができるツールじゃないと、可視化したはいいけれども、じゃあ何しようか?ということになります。フリーのツールや安いツールは可視化ができるのだけど、ボトルネックはなぜ発生しているのか?というのはBIを使って分析してくれとか。
どこの業務にボトルネックがあってこれをなくすためにはどうしたら良いのか、フローを変えたらどれぐらいの効率化ができるのかというシミュレーションが出来ることが機能的に重要であり、こういったことができるツールは価格が高くなります。
20社と話をした上で弊社はmyInvenioというツールを選んだのですが、その理由はどの業務をRPAにしたら効率的になるのかという指標が出るからです。すなわち、myInvenioを入れるとこの業務とこの業務をRPA化してください、この業務は人がやった方がいいので人でやってくださいということがわかるのです。
ーーデータを取ってちゃんと分析するところまで使い勝手の良いツールを選んでいかないといけないということですね。プロセスマイニングは基本的に大企業から導入が進んでいくのでしょうか。
我々がターゲットとしているお客様に関しては、売上を200億円以上、従業員が500名以上の会社様をターゲットにしたいと考えています。
myInvenioはCICEROと組み合わせることで強くなる
ーーmyInvenioは、ERPをカスタマイズ開発している企業でも使えるツールになっているのでしょうか?
我々の強いところは、CICEROというツールを持っていますので、プロセスマイニングの弱点を補えることです。さきほどお話したように、SFAとERPを使っているけど、そこの連携がどうなっているのか全く見れなかったりとか。ほとんどの会社さんってその間にExcelが絶対かんでいます。エクセルを使っていない会社さんってほとんどないですよね。全てのデータをERPから取ってきたものをエクセルに貼り付けてそこで加工して、例えばSFAで使ったりとか色んなレポーティングで出したりとかされているので、ERPのログだけ分析しても全く意味がないこともある。
ERPのログ分析だけでも、ERPで行われた業務プロセスのボトルネックは解消できるかもしれないですけど、じゃあエクセルに貼り付けた時の業務がどこにボトルネックがあって誰がどんなことを担当して、このデータって誰が作ったのみたいなのが全く可視化できない。CICEROがあるとそれが全部できます。そうすると業務すべて横断したプロセスマイニングができるということになります。CICEROはERPだけでなく、例えば自社で作った業務アプリの解析も出来ます。
つまり、我々の強みはCICEROを組み合わせることによって、その会社の全ての業務を可視化してボトルネックを解消しましょうというところにあります。
ーー現在のプロセスや、理想的なプロセスってわかりにくいですよね。
わかりにくいです。わかっている企業さんもあればわかっていない企業さんもあると思っています。我々myInvenioの機能の1つとして、BPMNのフローチャートが作れる機能もあります。これはログから表示して作れて、企業の理想のワークフローがこうで、実際業務のワークフローから取ったデータはこうなんですよというのが見れます。このBPMNが作れるプロセスマイニングって他にないんですね。これも1つの売りになっています。
ーー2019年どのような形でCICEROならびにmyInvenioを日本市場に広げていきたいとお考えですか?
まずはほとんどの会社さんがプロセスマイニングって何?という状態なので、そこを啓蒙していくというのが今年1年の我々の課題だなと考えています。他のツールベンダーや、ソリューションを提供する日本企業も登場してきていますので、我々とそういった会社と切磋琢磨して啓蒙していって、プロセスマイニングの必要性や価値というものを企業さんにご理解いただきたいなと考えています。
まとめ
2回にわたり、ハートコアの神野さんにプロセスマイニングについて教えていただきました。
myInvenioの日本語版(ローカライズ)は近日リリース予定とのことで、日本にフィットするプロセスマイニングがどんどん登場してきそうな2019年ですね。
前後半のインタビューの中でいろいろな発見がありましたがまとめると以下の通り。
・この1〜2年の流れは「本当にRPAを入れないといけない業務はどこなのかを知る」こと
・プロセスマイニングツール単体のツールでは横断的にデータが取れないことがある
・プロセスを可視化するだけでなく、どうやれば効率化できるのか?までわかるようなツールが優秀なツール
・CICEROとmyInvenioを組み合わせると横断的に業務を可視化し、どこをRPA化すればよいかがわかる
今後もプロセスマイニングについて、RPA HACKとしてウォッチしていきます!
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