外資三大RPAベンダーの一つ、Blue Prism(ブループリズム)。
読者のみなさんはBlue Prismにどんなイメージをお持ちでしょうか?
セキュリティー面に優れている、サーバー型でエンタープライズ向けのプロダクト、イギリスの会社で金融に強いなど、さまざまなイメージをお持ちだと思いますが、今だに良く出てくるイメージが「Blue Prismは高い!」です。
そんなイメージがある中で、昨年7月に販売体系が変更となり「Blue Prismいいぞ!しかも結構リーズナブルだぞ!」という声を聞く機会が増えてきました。
実際のところどうなのか?、Blue Prism高い!というイメージについてどう思っているのか?といった点について、Blue Prism株式会社ソリューションコンサルティング部長 志村裕司さん、リードソリューションコンサルタント 市川義規さんにお話を伺ってきました。
目次
Blue Prismとは?
2001年創業19年目の会社で老舗RPAソフトウェアベンダー。
2005年にRPAツールを製品化し、RPA(Robotic Process Automation)という言葉を生み出したのが同社のパットギャリー氏であるという話は有名です。
日本における導入企業は、楽天、DeNA、
市川さん「日本支社設立は外資ベンダーの中でも後発なのですが、最近、導入社数が急増しています。フラッグシップのカスタマーが出せていなくて、Blue Prismはミステリアスと言われています(笑)」
Blue Prismについてさらに詳しく知りたい方はこちら↓
なぜBlue Prismは高い…!と言われるようになったのか?
以前の販売体系
Blue Prismはなぜ高いというイメージを持たれているのでしょうか?そこには日本上陸時の販売体系が影響しているようです。
日本に上陸時も現在も1台あたり月10万円という価格は変わっていないそうですが、上陸時はロボット10台かつ3年(月10万円×36ヶ月×10台)をミニマムで販売するというのが基本的な考え方でした。
こういった販売プランの話をしていった結果、WebでBlue Prismの価格、最低3,600万円~という記事が掲載され、「高い!」というイメージがついていったようです。
市川さん「いろんなお客様にBlue Prismの説明で伺うと、みなさん口をそろえておっしゃるのがBlue Prismわかるよと言われるんですね。コストが一番高くて、機能が一番多い、高級車みたいなものでしょ?とおっしゃる方が多いです…(笑)」
昨年変更となった販売体系
Blue Prismは2018年7月より販売体系を変更。1ライセンスから購入できる体系に変更となり、最低年間120万円~で利用が可能になりました。
一度ついたイメージの払しょくはイメージを作ることよりも圧倒的に難しい…体系が変わったものの未だに高いイメージが残っているというのが現状のようです。
ただ、ライセンス費用が120万円~で利用できたとしても、開発コストや運用保守のコストが高くてはトータルのコストが高くなってしまいます。総合的に考えてもBlue Prismはリーズナブルなのでしょうか?
総所有コストを抑制するポイント
Blue Prismは、総所有コスト(ライセンスコスト+開発コスト+運用保守コスト)がもっとも低くなるように製品設計をしており、以下3点が総所有コストの抑制を生む要因とのことです。
①自動化の成果物(オブジェクト)の再利用
②本番環境のランタイムリソースのみが課金対象となるライセンス体系
③リソースを有効活用しロボットが上限いっぱいまで稼働
これら3点によって、使えば使うほどコストが低減していく点がBlue Prismのメリット。
それぞれの内容について説明いただいたので、Blue Prismの製品資料とともに解説していきます。
成果物を再利用できる仕組み
Blue Prismでは成果物の再利用に力を入れており、製品として再利用を促す仕組みになっています。
イメージとしては、社内で一回作ったロボット(Blue Prismではオブジェクトと言う)は全部再利用できるため、最初は大変ですが一回作ったものがレゴブロックのようなパーツとなっていき、その組み合わせで再開発が可能となります。
レゴブロックのようなパーツにするための考え方として、プロセスとオブジェクトの2つを分けるというツールの仕様になっています。
システム上のふるまいはオブジェクト側、業務の流れはプロセス側で管理し、例えばシステム側のログインプロセスが変更になった場合も影響範囲を特定しやすくオブジェクト側を変更してあげるだけで保守を行うことができます。2つ分かれていることでシステムの変更時は、オブジェクトを一か所だけ変更すれば関連するすべての自動化処理を修正できるメリットがあります。
これがプロセスのなかにオブジェクトが埋め込まれているようなツールにおいて、ログインプロセスのある自動化ワークフローが複数ある場合には、1本1本直していかなければいけないため非常に手間がかかります。
Blue PrismにはRPAツール特有のレコーディング機能がありませんがレコーディング機能を作らない理由は、オブジェクトとプロセスを分けて管理できなくなってしまい、結果的に保守のコストが上がってしまうためとのことです。
システム構成について
Blue Prismはインストールして動かす必要があるため、クライアントPCが必要です。
図の真ん中のランタイムリソースに実行用のデスクトップ(Windowsが入っていて、エクセルやブラウザを開いたりするイメージ)、APサーバーはランタイムサーバーを束ねている役割です。(論理的なコンポーネントのため、すべてのコンポーネントをPCに入れることも可能ですが、オススメはしていないとのこと。)
オンプレサーバやクラウド環境(AWSやAzureなど)で利用することが可能です。
ライセンス体系について
Blue Prismは本番環境にしか課金をしないため、ライセンスコストが上がりにくい体系になっています。
本番環境のランタイムリソースを最大同時並列実行できる数=ライセンス数とカウントするため、本番環境の実行デスクトップは何台あっても、全社員がインストールしてもライセンス費用が変わらない点が特徴です。
他のRPA製品ですと管理ロボット機能を加える場合には追加のライセンス費用がかかるケースがありますが、Blue Prismの場合はこれも含まれた上で120万円(ランタイムリソース1台につき月10万円×12か月)です。(これはすごい…!)
志村さん「大企業であれば、環境を多く作り開発者も何十人になるケースが多いと思います。このライセンス体系であればリーズナブルに大規模導入することが可能です。」
市川さん「価格の話をお客様にすると、それはおかしい。。市川君の給料はいったい誰が払っているの?時給1,000円くらいで働いているの?ってなります…(笑)」
リソースの有効活用
Blue Prismは1台のランタイムリソース(実行デスクトップ)を24時間365日、できるだけ長く動かそうという発想で設計されているとのことで、リソースの有効活用が可能です。今は経理部が忙しいから経理業務を動かそう、次は人事部が忙しいから人事業務を動かそうなど、優先順序をつけてスケジューリングしてきちっと流すことも標準機能で行うことができるとのことです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「Blue Prismは高い!」というイメージを持たれていた方は、イメージがガラっと変わったのではないでしょうか?
ツールとして最初に開発できるようになるまでにある程度学習コストはかかりますが、そこを乗り越えられれば非常に良いツールだなというのがRPA HACKとしての所感です。
最近、RPA導入推進担当の方とお会いして以下のような悩みを聞きました。
「RPA導入をスモールスタートで行ってみて成功しました…・!ただ、これをどう拡大するかに悩んでいるんです…。」
スモールスタートがうまくいき、全社でやりましょう!となったあとには厳しいことをいう人が多く入ってきます。(セキュリティ、内部統制の担当者など)
この点に耐えられるのがBlue Prismです!と志村さん、市川さんが話しておりましたので、RPA導入をすでにしていて拡大フェイズで悩んでいるという担当者さんがいましたら、ぜひ相談してみてください!
Robo Runnerに関する記事↓
RPAやその他のRPAツールについて知りたい方はこちら↓
RPAエンジニアやフリーランスという働き方に興味がある方はこちら↓
コメントを残す