Automation Anywhere(オートメーションエニウェア)は2019年5月にコミュニティ版がリリースされ、スモールビジネス従事者、開発者の方等が無償でAutomation Anywhereを使えることになりました。
また最新バージョンのA2019でのUIの日本語化も実施済みで、日本でも大注目のAutomation Anywhere(オートメーションエニウェア)。
RPAに関わる方であれば、Automation Anywhereについて興味はあるがよく知らない…、触ったことがない…という方がこれまで多かったのではないでしょうか?(筆者もその一人です。)
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米国でコミュニティ版がリリースされたタイミングでAutomation Anywhereを徹底解剖したいと考え、オートメーション・エニウェア ジャパン株式会社の2人目の社員であるセールスエンジニア秋本 尚吾さんに詳しく製品について教えていただきました。
お話を聞く前は敷居の高い印象を持っていましたが、お話を聞いて良い意味で敷居が下がり、発見の多いインタビューとなりました。
※2020年7月17日更新
Automation Anywhereの導入事例↓
Automation Anywhereは従業員200人でも活用できる?導入事例の紹介
Automation Anywhere Community Editionの始め方↓
【無料】RPAツール「Automation Anywhere Community Edition」とは?使い方を簡単
目次
会社概要
米国での創業は2003年と歴史のある会社。
オートメーション・エニウェア・ジャパンは2018年1月に日本オフィスを設立し、社員が増え続け、2020年3月現在、東京、名古屋、大阪、福岡にオフィスを構えています。
2018年11月にはソフトバンク・ビジョン・ファンドから3億米ドル(約340億円)の出資を受け、日本市場を攻略中です。
ビジョン
『人から ”ロボット的作業” を取り除き、 人のような知性を Bot に持たせることで、 人の知力でより大きなことを 成し遂げられるようにする』
ビジョンには、人のような知性をBotに持たせるというAIに力を入れている姿がそのまま反映されています。
秋本さん:「以前の行ったロンドン大学と Automation Anywhere の共同調査で、RPA含めた自動化を進めていくことでコスト削減、品質向上だけでなく、働いている方々であったり、お客様の満足度が上がるという調査結果が出ました。我々はみなさんを幸せにすることをミッションにしています。」
クライアント企業
2019年5月の時点で全世界1,600社以上のクライアントを抱え、大手エンタープライズの顧客が多いですが中小企業もクライアントも抱えているとのことです。
例えば、オーストラリアのANZ銀行では2,000人の従業員に対して、同社のロボットが2万台稼働しており、この導入実績・ノウハウをもとに短期間で大規模導入ができるような製品を開発しています。
大規模稼働した際の障害対応を含めて、大規模導入を進めてきたからこそ持っているノウハウをどの会社にも提供できるとのことです。
大規模導入の際の体制作り
ANZ銀行のような大規模導入の例ではどのような体制でロボット作りをしているのか伺いました。
秋本さん:「CoE(Center of Excellence)はロボットを管理する組織体であり、ロボットの管理やしっかり監視できる問題のないロボットに仕上げる作業を行っています。各部門の何名かがインフルエンサーのような活動を行っており、途中まで『Process inVision』というツールによる業務プロセスの可視化やロボット開発ツールのレコーディング機能などを使ってロボットのベースを作った上でCoEに渡し、CoEが仕上げを行っています。」
RPAを導入した際、社内でロボットを運用していくにあたり開発規約を整備しますが、変数の名前をこう決める、エラーはこのフォルダに出力するなど、エンドユーザーが細かい規約を理解しロボット作成していくのは難しいため、CoEで集中してやったほうが効率が高いとこれまでの導入事例から見えているとのこと。
製品の種類
Automation Anywhereには複数の製品があり、それらを解説します。UIの日本語化については、近々行われる予定とのことです。
(2020年6月23日 Bot Storeが日本語対応しました)
Automation Anywhere Enterprise v11
ロボット開発ツールには他のRPAツールと同様にレコーディング機能があります。
レコーディングしたものはフロー図ではなく、スクリプト形式でコマンドが自動生成され、スクリプトを順番に並べていくイメージです。
コマンドをドラッグ&ドロップで追加していき、if文やLoop文はインデントで表現されています。
ステップ数が何千もあるロボットを作成する場合、自分が今どこにいるかフロー図だとわかりにくくなりがちですが、この表記だとわかりやすくロボットの開発スピードが上がるとの声が多いようです。
Enterprise A 2019
2019年10月に発売されたAutomation Anywhere Enterpriseの最新バージョンであり、日本語にフル対応、WebベースかつクラウドネイティブなRPAプラットフォームです。
クライアントツールのインストールが不要で、Webブラウザからすぐに自動化を開始できます。
また、クラウドプラットフォームを利用でき、いつでも簡単に拡張が可能になります。
Process inVision
「Process inVision」にはレコードという機能がありますが、こちらのレコーディングはロボットのコマンドを出力するためのものではありません。日々、行っている業務プロセスを一ステップずつスクリーンショット付きで残し、残ったスクリーンショットがパワーポイントやPDFのファイルで出力できるというもの。各ユーザー部門で自分がロボット化したい業務をレコーディングし、パワーポイントのファイルにしてCoEがそれを見ながらロボットを作る、このような使われ方をしているとのこと。
秋本さん:「業務を知らないCoEのメンバーであっても業務の流れを順番に見ながらロボットを作ることができ、ロボットができた後もパワーポイントファイルをロボットと共にフォルダに入れておけば、業務の仕様書として残す事が可能です。」
ドキュメントを残しているため、たとえ担当者が変わってもロボットに任せた業務プロセスがわからなくならないように維持できるとのこと。
AISense
AIを利用した「AISense」機能により、 Citrix やリモート デスクトップ接続先のアプリケーションの自動化に対応しています。テキストラベルとテキストボックスの関係性を学習するツールであり、テキストラベルやテキストボックスの場所が変わったとしても認識できる点が特徴です。
UIの変更が頻繁に発生するようなアプリケーションの場合、この機能を使えばロボットの更新回数を減らすことができます。
IQ Bot
帳票の「RPAで利用する項目」を指定するだけで、書式がバラバラであっても CSV ファイルに出力し、RPAによる自動化業務の拡大が可能なツールです。
パートナー製品と組み合わせることで、フォーマットがバラバラの手書き帳票にも対応することが可能です。
イメージでいうと、「合計金額」のような任意の文字列の周りにあるデータを引っ張ることができるツールです。
(請求書周りの自動化でとても力を発揮してくれそうですね!)
秋本さん:「去年の後半から引き合いが多いです。RPAの製品だけだと、間に紙が入ることで自動化ができないということがあるが、パートナー製品で手書き情報を読みとり、『IQ Bot』でCSVデータ化し、RPAツールで入力するといったことが可能です。この製品単体でも使えるので、IQ Bot+他社RPA製品という組み合わせもできます(笑)。」
Bot Insight
ロボットの実行でどれくらいの価値が出たか?を可視化できるツールです。
非常にユニークで、ロボットの中の変数に入ってきたデータをサーバ側にリアルタイムで渡し、集計してダッシュボードに表示します。
イメージとしては、請求書の処理をしたときに1時間で10回処理しましたという表示だけでなく、1時間で1億円分の請求書を処理しましたという表示をすることができます。
たしかに金額で伝えることで、ビジネス上のインパクトが伝わりますし、上司も喜んでくれそうですよね。
Bot Store
「Bot Store」は世界初のロボットのマーケットプレイスです。(UiPathでいうところのUiPath Go!)
2019年5月現在、500体ほどのロボットを提供しており、SAP向けだけですでに100体近くのロボットがあるとのこと。
先日より、「Bot Store」内で検索するとロボットのパーツを提供してくれるだけでなく、デジタルワーカーとしての提供(経理担当というボタンをクリックすると経理担当が使える業務(買掛金など)が出てきて、クリックすると履歴書のようなものを見て、関連するロボット全てをダウンロードできる)も開始されています。
2020年 6月23日 日本語にも対応するようになりました。
Discovery Bot
AIで自動化の効果が高い業務プロセスを特定し、自動化の優先順位付けを行います。また、プロセス全体を最適に自動化するBotを自動的に構築します。
「Discovery Bot」により、自動化する業務プロセスの特定にかける時間や、Botの開発時間を短縮し、ROIを最大化できます。
自動化対象業務の選定や業務の可視化はRPA活用における課題としてよく聞きますので、そこをAIがカバーすることで、RPA活用のハードルが下がりますね。
モバイル アプリ
Bot管理とRPA解析を行える無料のモバイルアプリケーションです。どこからでもBotを管理したり、RPAのパフォーマンスを監視できます。
場所に縛られずにRPAを活用できるので、外出中やリモートワークでも安心ですね。
特徴的な機能
特徴的な機能は多くありますが、いくつかご紹介します。
トリガー機能
トリガーを設定して、ロボットを実行できる機能。この機能ではファイルがフォルダに入ったことをトリガーにロボットの実行が行われています。
定期的にフォルダを監視して対応することもできますが、ロボットがずっと実行している状態だとリソースがもったいないため、こちらの機能は良いなと感じます。
セキュリティー機能
GDPRに対応し、通信/保管時のデータ暗号化や編集不可の監査ログなど金融機関で利用できるセキュリティ機能があります。
価格
価格は非公開とのことで問い合わせが必要です。
フリートライアル
30日間期限付きで使うことが可能で、Automation Anywhere Enterprise A2019のクラウド上のサーバーに接続してインストールなしで触ることができるとのことです。
ダウンロードはこちら
https://www.automationanywhere.com/lp/free-trial
また、無償のA2019コミュニティ版では、従業員数250人以下、年間売上500万米ドル(約5.5億円)の企業の方、開発者、学生が利用できます。
ダウンロードはこちら
https://www.automationanywhere.com/lp/community-edition
Automation Anywhere Community Editionの始め方の手順はこちら↓
勉強・トレーニング方法
さまざまな勉強方法が用意されているのが、Automation Anywhereの特徴です。
Automation Anywhere University
個人で勉強してみたい!という方には無償のオンライントレーニングであり、誰でも自由に利用することが可能です。日本語化もされており、英語の苦手な方でも安心です。
https://www.automationanywhereuniversity.com/
出張トレーニング
導入をされた企業に対しては、Automation Anywhere社員のトレーナーが訪問し3日間のトレーニングを有償で行ってくれるとのことです。
ボッタソン
導入済み企業の新しい部門で利用を開始するにあたって、Automation Anywhere社員が無償で2日間のアイデアソンを開催してくれるとのこと。
どんなことをするかというと、導入したい部門の担当者に、事前にロボット化したい業務を考えてきてもらい、ボッタソンの中でチームごとにロボットを作ります。Automation Anywhereのセールスエンジニアが助言をしながら、使い方説明してくれるとのことで、ハッカソンのロボットバージョンをイメージいただければと良いかと思います。
パートナー経由で販売されたものでもパートナーから依頼があれば対応しているとのことですのでご安心を。
開発マニュアル
開発マニュアルの中にロボットの作り方だけでなく、開発規約の作り方など大規模導入ノウハウが散りばめられているとのこと。
イベント
オートメーション・エニウェアではRPAや業
その他の勉強方法
書籍
「Automation Anywhere A2019シリーズではじめるRPA超入門」 (2020年7月20日発売)
(著者名 :小笠原 種高、桐島 諾子 著 監修:オートメーション・エニウェア・ジャパン、SB C&S )
本書はA2019の無償版(Community Edition)を使いながら、基本操作が解説されています。最後の章ではさらに有償版で使える便利な機能や、上級ユーザーがアドバイスする使用方法、用語集、参考資料リンクなども掲載しており、機能の辞典としてもご利用いただけます。
(詳細:https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/P96910/)
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まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Automation Anywhereに対する敷居がだいぶ下がり触ってみたい!!となったのではないでしょうか?
今後日本市場に攻勢をかけていくであろうAutomation Anywhereに大注目です!
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