大企業を中心に進んできたRPA活用ですが、人手不足に悩む中小企業ではなかなか活用が進んでいないのが現状です。
なぜ中小企業ではRPAの導入が進まないのでしょうか?
2019年8月にFAST RPA『コボット』をリリースしたディップ株式会社執行役員の三浦日出樹さんに「中小企業におけるRPA導入の状況」「コボットとは何か」についてお伺いしました。
ディップのリリースしたFAST RPA『コボット』とは、人材や労働力不足に悩んでいるが、資金や運用の負担によりRPA導入をためらっている中小企業向けに、汎用的な業務に特化し手軽にRPAが導入できるようにしたサービスとのこと。
「中小企業のRPA導入状況を知りたい」「中小企業で活用できるコボットはどんなサービスか知りたい」という方はぜひ読んでみてください。
中小企業のRPA導入状況
MM総研が調べた国内企業の業務ソフトウエア利用動向によるとRPAツールの利用率が大企業で37%に達しています。一方で従業員1000人未満の中堅企業は17%、同100人未満の中小企業は3%にとどまっており、規模が小さいほど導入が進んでいない状況が見て取れます。
人手不足が深刻な中小企業こそRPAが必須ですが、中小企業におけるRPA導入事例はあまり知られていません。なぜ導入が進まないのでしょうか。
参考:株式会社MM総研 業務ソフトウェアの利用動向調査
中小企業のRPA導入における課題
中小企業でRPA導入が進まない理由を三浦さんに伺いました。
――中小企業がRPAを導入したいのにできない理由にはどのようなことがあると思いますか?
三浦さん:当社のクライアントである中小企業様にヒアリングをしてみたのですが、RPA導入のために最初にまとまった資金を準備することが大変なようです。初期の費用はなんとかなったとしても、導入後に継続して面倒を見てくれる人がいなくて困っているという状況もあります。最近では飼い主がいないロボットという意味で、野良ロボットという言葉が広く知れ渡り、「RPAは難しい」「ロボットはすぐ止まる」というネガティブなイメージを生み出し、中小企業へのRPAの普及に、大きな障害になっています。
――コスト面と運用・保守面に課題があるということですね。
三浦さん:そうですね。従来のRPAですとライセンス費用が年間数百万、自分たちで開発できない場合、外注に開発を依頼しさらにコスト増。このようなモデルでは難しいと思います。中小企業の実態に合わせてサービスを再設計しないとなかなか拡がっていかないと考えています。
FAST RPA「コボット」とは?
SaaSモデルのRPA
――中小企業ではなかなかRPAが拡がらない中で、あえて中小企業向けに「コボット」を開発したのはなぜだったのでしょうか?
三浦さん:現在、RPAが導入されているのは大企業が多いです。しかし人手不足を解消するとか、業務効率化という意味で、本当は中小企業にこそRPAが必要です。現在はサービス供給側の理屈と実際の顧客のニーズが合っていない。ディップはそういう意味では中小企業に強い顧客基盤を持っていたので、RPAを含めた業務効率化のサービスを提供できないかと考えました。
――コボットはどのような特徴があるのでしょうか。
三浦さん:RPAを意識せずにSaaSのように気軽に使える、そのようなサービスを構想しました。
RPAは通常、お客様が自分たちの業務に合わせてロボット開発を行いますが、コボットでは業界、業務に合わせてテンプレートロボットを用意しており、お客様側で開発をする必要がありません。
またSaaSモデルでロボットの稼働を通じてお客さんがうまく使えているとか使えていないとかいうことがわかりますし、お客さんがRPAを意識しないで必要な時に必要なだけ使えると、RPAに対するハードルが下がるのではないかと考えました。その意味からキャラクターデザインも、従来のRPAにはなかった、親しみのある可愛い『コボットくん』にしたのです。
料金もSaaSモデルで月額課金制とし、中小企業に受け入れやすくしました。
リモート監視付きのサポート
――確かにSaaS型で月額課金モデルだと、RPAに対するハードルが下がりそうですね。
三浦さん:そうですね。お客様の反応は凄くいいですね。また、みなさん驚かれるのがロボットが止まった後の修正がすごく早いということですね。リモート監視付きのサポートなので、1~2時間で、電話1本で、ログを見てすぐに修正することが可能です。笑い話みたいなのですが、お客様が気づく前にこちらがロボットが止まっているのに気づいて連絡するみたいなことも多くあります。
――それはすごいですね!これまでRPAの導入で苦労してきた企業では特に喜ばれそうです。
三浦さん:結構無理してRPAを入れたけれど、うまく運用できていないという企業から見ると、SaaS型で、初期導入費用もほとんどかからず、リモート監視がきちっとついている状態はかなり安心感が高いみたいですね。RPA導入時に一度苦労しただけに、この仕組みを説明すると、みなさんそれいいねと言ってくださいます。お客さんが一番困っていたところを完全に改善したサービスになっているという自負はありますね。
――第1弾は派遣会社向けのサービスになっていますが、今後のロードマップについて教えてください。
三浦さん:もともと人材の会社なので、派遣会社様とたくさん付き合いがあるため、まず「人材派遣会社向けのRPAロボットはディップ」というモデルを作り、そのモデルを他業界に横展開していこうと考えています。
今考えているのが、不動産業界とか士業、広告運用会社などですね。RPAを導入しようとしているけれど、先述のような理由でうまくいっていない業界に大きなニーズがあると思っています。
まとめ
中小企業にRPAが拡がらない要因として、費用面や保守面での課題があることがわかりました。
これらをクリアすることを目指したFAST RPA『コボット』。第1弾は派遣会社に特化したサービスということですが、ほかの業界でも順次展開予定とのことです。
今後コボットのように業界に特化しSaaSのように活用できるサービスが増えれば、中小企業にもRPAが拡がっていくのでは?そんな期待を感じるインタビューとなりました。
コボットは今までRPA導入に踏み切れなかった中小企業の救世主となるか。今後のサービスの広がりに注目です。
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