2020年10月にリリースされたVer.2020.10でUiPathに便利な新機能が追加されました。
今回はその中からタイトルにもある「オブジェクトリポジトリ」を含む注目の5つをピックアップし、分かりやすく紹介していきます。進化したUiPathで何が出来るのか知りたい方、UiPathを使いこなしたい方、オブジェクトリポジトリが何か知りたい方は必見です。
なお、今回の記事は弊社のサービス「Robo Runner」の利用者様向けに行われたウェビナーを元に作成しています。
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目次
UiPathとは?
UiPathとはアメリカに本社を構えるUiPath社が提供するRPAソフトです。
初学者でもドラッグアンドドロップで直感的にワークフローを作成できることや、無料のトライアルやトレーニングを提供しているというハードルの低さから支持を集め、2020年1月に発表された市場調査レポート「RPA国内利用動向調査2020」の国内大手企業におけるRPAブランド別の浸透率において第1位を獲得しました。
UiPathのRPAは開発、管理、実行など様々な要素から網羅的に構成され、今回紹介するUiPath Studio(以下Studio)とUiPath Studio X(以下Studio X) はRPA開発ツール、UiPath Orchestrator(以下Orchestrator)は管理ツール、UiPath Assistant(以下Assistant)はRPA実行ツールとして位置づけられています。
リリースされたVer.2020.10では新たにいくつかの機能が追加されましたが、今回の記事ではその中でも注目の5つを精選してご紹介します。タイトルにも引用されているオブジェクトリポジトリはセレクター関連のお悩みを一挙に解決する優れモノ。是非この記事を通して習得してください。
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新機能①:Gmailを送るアクティビティ【Studio X】
1つ目はStudioXに追加された機能です。機能の紹介に入る前に軽くStudioXについて説明します。StudioXはStudioをノンプログラマーが使いやすいように機能を絞ったRPA開発ツールです。Studio同様に業務自動化の際に必要となるワークフローを作成します。
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StudioXではこれまでメールを送る際にOutlookしか使用することが出来ませんでしたが、リリースされたVer.2020.10ではGmailを送信するアクティビティが追加されました。この機能では最初にクライアントIDとクライアントシークレットを発行し、設定する必要があります。初学者の方は少し厄介だと感じられるかもしれませんが、1度アカウント登録すれば2度目以降は設定不要なので便利な機能です。新機能②:ファイルの圧縮・解凍【Studio】
2つ目の機能はファイルの圧縮・解凍を実行するアクティビティです。
こちらはStudioに追加された新機能です。StudioXがノンプログラマー向けに機能が制限されている一方、StudioはRPAツールの中でもエンジニア向けという位置付けなので機能が制限されておらず、StudioにはあるがStudioXにはないという機能がいくつかあります。この新機能と次に紹介する機能はその対象と言えます。
例えば基幹システムから重要なデータをダウンロードしてZIP圧縮してメールで送信する必要があったり、もしくはメールで受信したZIP化されていて尚且つパスワード付のファイルを解凍したかったりする際、この新機能はパスワードを付けたり解除したりすることも可能なのでそういった場合にも差し支えなく使うことが出来ます。
新機能③:指定の回数のループ実行【Studio】
この機能もStudio に追加されたものです。Webシステムの開発の際良く使われるのに、今までUiPathに無かった待望の新機能です。繰り返し処理をするアクティビティはいくつかありますが、今回の機能は「Excelの初めの10行だけ処理したい」等といった繰り返す回数が既に決まっている場合に使うことが出来ます。
新機能④:常に実行中のプロセス【Orchestrator, Assistant】
次に紹介するのはUiPathのRPA管理ツールであるOrchestratorと実行ツールのAssistantに追加された新機能です。これまでと同様にまず概要について軽く触れていきます。
Orchestratorは開発ツールと実行ツールを統合管理するツールです。効率化を追い求めてRPAを社内に導入したのに、規模が大きくなるにつれロボット実行のスケジューリングやライセンス管理など新たな業務が増え、更にはそれを手動で行うことになれば、本末転倒です。
Orchestratorはそういった面倒な作業を解消し、大規模な運用をする際に必要となります。
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実行ツールのAssistantは自動化プロセスの管理を担うデスクトップローンチパッドです。Assistantがあることでデスクトップインターフェイスを通じて気軽に自動化プロセスにアクセスしやすくなり、ロボットの実行が容易になります。デスクトップのコピー上で並行して作業させることが出来るので、UiPathは公式サイトにおいてAssistantを「あなたの傍らで働く相棒のようなもの」と表現しています。RPAを「使う」と捉えるのではなく「一緒に働く」と考えることでAssistantとの関係性が掴めるのではないでしょうか。
これら2つに新たにプロセス制御機能を向上させるための取り組みで「常に実行中のプロセス」という機能が追加されました。OrchestratorとAssistantを連携させている場合に、Orchestratorにある「プロセスはUiPath Assistantから停止できません」という項目をオンにしておくことで項目の名前の通り、Assistantからの停止を阻止することが出来ます。
UiPathで幅広く業務自動化を進める際には、ロボットのみならず人や組織も運用・開発・実行といったようにそれぞれ担当を分け、業務を割り振ることになります。そういった際に、Assistantにロボットを停止させる機能がある以上、「Assistantを使用する実行担当の人が意図せずOrchestratorを停止させてしまい業務を妨害してしまう」というトラブルが起こり得ます。
それを阻止する、つまり役割分担の線引きをより明確にするために今回の機能は有効なのです。
新機能⑤:オブジェクトリポジトリ
ついに大本命の新機能です。タイトルにもある「オブジェクトリポジトリ」、こちらが気になって記事にたどり着いた人もいるのではないでしょうか。
Studioに追加されたオブジェクトリポジトリとは、端的に説明すると「セレクターを一元管理・再利用出来る機能」です。Studio を使う際にセレクターをオブジェクトリポジトリに追加して登録、更には登録したセレクターを再度使用することが出来ます。これにより1つ1つのアクティビティでそれぞれセレクターを新しく設定する必要が無くなりました。UiPathの特徴である「直感的な操作」がしっかりと反映され、ドラッグアンドドロップで簡単に使うことが出来るのもポイントです。
詳しく紹介するにあたってまずはオブジェクトリポジトリを使用する5つのメリットを整理して紹介します。
オブジェクトリポジトリのメリット
①使用するセレクターを一元管理できる
セレクターをオブジェクトリポジトリに追加、登録することで使用したセレクターが1か所で管理されます。これによって頻繁に使用するセレクターを一目で確認することが出来ます。頻繁に使用するセレクターを一元管理することにより機能性が向上します。
②開発スピードが上がる
1度使用したセレクターを2度目以降使う場合にオブジェクトリポジトリのドラッグアンドドロップで済ませることが出来るので、開発スピードの向上に役立ちます。同じセレクターをわざわざ設定直すという無駄な作業を省略することが出来ます。
③開発品質が安定しやすくなる
全く同じ要素なのに色々なところで使うとセレクターが少しずつ違っていたり、もしくは慣れている人と初学者の間に差が生じてしまったりすることがあります。オブジェクトリポジトリを使えば同じセレクターを共有できるのでそういった品質の差を解消することが出来ます。
④セレクターの編集が簡単
セレクターを編集したい時に、今までは1つ1つ編集する必要がありました。オブジェクトリポジトリでは、オブジェクトリポジトリに保存されているセレクターを1つ編集すれば、使用している全てのセレクターに反映することが出来ます。
⑤開発のハードルが下がる
これまで説明した通りオブジェクトリポジトリの登場によりセレクターの使用が容易になりました。セレクターをオブジェクトリポジトリに保存する過程だけを扱い慣れた人に託してしまえば例え開発歴1か月という初心者であってもセレクターを自由自在に使うことが出来ます。
次にデメリットについて触れたいと思います。現在課題とされている点は1つです。
オブジェクトリポジトリのデメリット
①セレクターに変数を使用する場合、オブジェクトリポジトリのメリットを反映できない
アクティビティごとにセレクターを設定する必要があったStudioにオブジェクトリポジトリという新機能が追加されたことによってセレクターを一元管理することが可能になりました。しかし、オブジェクトリポジトリ登場後も、変数を使用するセレクターに関してはアクティビティごとに設定する必要があります。とても便利なオブジェクトリポジトリですが変数に関してはまだ専門外です。しかし、変数を使用するセレクターが使用できない訳ではありませんのでご安心ください。
新機能を活用して業務効率化!
リリースされたVer.2020.10の新機能のうち、注目の5つをご紹介しました。既にある機能や他の新機能が気になる方はUiPath公式サイトもご参照ください。今回はUiPathの新機能を取り上げましたが、RPAツールは他にも沢山あり、現状やレベルに合わせて自分に合ったものを選ぶことが出来ます。
▼他のRPAツールまとめ記事はこちら▼
RPA HACKでは概要紹介記事や比較記事、使ってみた感想など、RPAに関する情報を幅広く提供しています。導入検討の情報収集の際にはお役立てください。
UiPathを使いこなすために:Robo Runner
本格的に導入、運用することが決まっているのであればPeaceful Morning株式会社が提供する「Robo Runner」がおすすめです。「研修で習った知識だけでは思い通りにロボットを開発できない」「かといって外部に委託するのはコストがかかる」という悩みをお抱えの方に是非知っていただきたい伴走型のサービスです。無制限のチャット相談サービスや(時間内)や週に1回の経験豊富なエンジニアとのオンライン面談という心強い特徴を持ちながら、外部のエンジニアに常駐してもらうのにかかるコストに比べ約16~30分の1の価格から導入できる優れモノです。
冒頭で軽く触れましたが、今回の記事はRobo Runner契約者様向けに開催したウェビナーを元に作成しています。Peaceful Morning株式会社ではRobo Runner契約者に向けて様々なテーマからウェビナーを開催しています。その分野に詳しい登壇者の方をお招きしたり、ランチタイムに手軽に情報収集が出来るように15分でまとめられていたり、工夫満点のウェビナーとなっております。今回のような情報を逸早く入手できるのもRobo Runnerのメリットの1つです。
Robo Runnerについて詳しくはこちら
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