業務効率化やクリエイティブなアイデア創出を目的に、生成AIを活用する企業が増えています。しかし、多様なアプリやツールが存在するため、どれを選べばよいか迷う方も多いでしょう。
この記事では、AIイラスト作成におすすめのアプリ・ツールを13種類に厳選して解説します。業務で活用したい方はもちろん、日常的にイラストを作成することが多い方はぜひ参考にしてください。
目次
生成AIとは
多くの企業で注目を集める生成AIは、テキストから画像や動画、音声などのコンテンツを自動生成できる最新のAI技術を指します。従来のAIでは情報の収集や分析など対応できる作業が限定的でしたが、生成AIではよりユーザ-のニーズに合わせやすい作業に対応しています。
ただし、利用にあたっては注意点もあります。プロンプトによっては違和感のある画像が生成されることがあるほか、生成データの整合性チェックが必要です。また、高品質な画像生成機能を悪用したディープフェイクへの対策やリテラシー向上も重要な課題となっています。
これらについては以下の記事で解説しているので、業務や日常生活で生成AIを活用する方はあわせてご覧ください。
AIを使ってイラストを生成する仕組み
画像や動画などの制作に応用できる生成AIですが、その仕組みにはディープラーニング(深層学習)が深く関わっています。ディープラーニングは機械学習のひとつで、膨大なデータを収集・分析後、学習を通じて生成データの精度向上につなげます。
機械学習には以下3つの種類が存在し、特に「教師あり学習」と「教師なし学習」では画像やイラストを生成する際、生成データの傾向に大きな変化をもたらすことがわかっています。
機械学習の種類 | 概要 |
教師あり学習 | ・プロンプトに点在するさまざまなキーワードに基づいて多様な画像を学習する ・プロンプトおよびキーワードの内容を捉えた高精度な画像を生成しやすい |
教師なし学習 | ・大量の画像のみを学習し特徴やパターンをAIが特定する ・教師あり学習に比べて独創的な画像になりやすい |
強化学習 | ・現状では生成AIモデルのML基盤になっていない ・導入された場合、プロンプトの出力の精度を決定・改善するための試行錯誤のアプローチが実現すると考えられている |
生成AIでイラストを作成するといっても、理想に近いものから意図しないものまで、多様な結果が生成される可能性があります。そのため、複数のアプリやツールを押さえ、目的に合わせて使い分けるなどの工夫を取り入れましょう。
AIイラストを作成するツールの選び方
生成AIを使いイラストを作成する場合、どのように選ぶとよいのでしょうか。具体的には下表の項目を参考にすると、理想的なイラスト生成につなげられます。
ポイント | 概要 |
操作性 | ・いつでも簡単にイラストを生成したい方は操作性が直感的であるもの、シンプルなUI/UXであることが望ましい ・チュートリアルが搭載されているアプリなどであればスムーズに操作方法を学ぶことができる |
カスタマイズ機能 | ・多様なイラストを生成したい方にはカスタマイズ機能の充実度を確認することが望ましい ・アニメ風やリアル風などアレンジ機能があると遊び心満載なイラストを生成しやすい |
AI技術 | ・テキストベースで生成するのか、あるいは写真をイラストなどに変化させるのか、使い方によって選ぶべきAI技術が異なる ・多様な生成方法に対応している生成AIを選ぶのであれば最新技術を搭載したアプリ・ツールを選ぶことが望ましい |
コスト | ・イラストをどのように生成したいのか、どの程度の量を生成したいのかによってコストの有無が大きく変わる ・趣味程度で使用する場合は無料でも問題ないが、カスタマイズ機能が充実している、アレンジ機能が多彩、多くのイラストを生成したいといった場合には有料版の利用検討が推奨される ・有料版を選ぶ場合は費用対効果を考えることで満足度の高い画像生成につながる |
操作性やカスタマイズ機能の充実度などを調べておくと、目的に合ったアプリ・ツールを選びやすくなるでしょう。
AIを活用したイラスト作成におすすめのアプリ・ツール13選
ここからは生成AIを用いた13種類のアプリ・ツールについて解説します。
1.PhotoDirector 365
「PhotoDirector 365」は直感的な操作感でイラスト画像を生成できる編集アプリです。AI技術を通じて写真を容易に魅力的なフォト作品に仕上げます。ジブリ風やディズニー風、フィギュア風など、ユニークなアレンジ機能が豊富で、楽しみながら画像作成ができます。
ヘアスタイルに迷った際に自画像を使い好みのヘアスタイルを見つけられる機能もあり、イラスト生成と合わせて実用的な機能も使いたい方にはおすすめです。料金はMac、Windowsともに12か月プランで7,480円、1か月プランで2,280円です。
PhotoDirector 365 – 写真編集ソフト | CyberLink
2.Picsart
「Picsart」は生成AIでのイラスト作成に加え、写真・動画の編集機能も利用できるアプリです。誰でも使いやすい直感的な操作感で、SNS映えするイラスト画像を生成できます。プロンプトを入力するだけでオリジナリティ溢れるイラストを自動生成できるほか、画像を組み合わせて真新しいアートを作成することも可能です。
写真に映る影や不要な部分もタップで容易に削除できるので、写真編集を行うことが多い方にもおすすめです。基本機能は無料で利用できますが使用できる生成数に制限があります。複数回生成することが明らかで、ユニークなイラスト作成を行いたい方は「Picsart Plus」または「Picsart Pro」から選ぶとよいでしょう。それぞれの費用感は以下の通りです。
年契約(円) | 月契約(円) | |
Picsart Plus | 8,000 | 12,000 |
Picsart Pro | 1,200 | 1,500 |
有料プランの詳細についてはPicsart公式ホームページをご確認ください。
Picsart Pro – 高度なクリエイティブツールにアクセス
3.Meitu
「Meitu」は写真からイラストを生成できるAIアプリで、背景の編集や画像拡張、動画の加工まで幅広く対応しています。有料にはなりますが、似顔絵メーカーとしても利用できるため、社内用チャットツールなどのプロフィール画像を自身の写真から似顔絵風のイラストにしたいときにもおすすめです。
ただしパソコンにインストールして使用する場合は日本語に対応していないため、英語の利用規約を確認しなければならない点に注意が必要です。費用の詳細については公式ホームページをご確認ください。
4.SNOW
スマートフォンアプリのなかでも知名度の高い「SNOW」は、自撮り写真の加工を楽しめるカメラアプリです。AIツールが搭載されているため、撮影したさまざまな写真を使いアバター作成や加工などをしながら理想的な画像を作成できます。
なお無料版では利用できる機能に制限があるため、イラスト作成をはじめ多彩なエフェクト機能を楽しみたい方は有料版の検討が必要です。
5.AIいらすとや
「AIいらすとや」は無制限で「いらすとや風」の画像が生成できるツールです。画像生成AIのひとつの「AIピカソ」を提供するAI Picasso株式会社が運営しており、馴染み深い「いらすとや」スタイルの画像を素早く生成できます。
プロンプトに対する生成精度は比較的高く、いらすとやにない画像を自身で作りたいときにも活用できるため、SNS投稿や社内マニュアルなどを作成したいときにおすすめです。
6.Canva
豊富なフリーイラスト素材やアイコンなどを使い、真新しいドキュメントを生成できる「Canva」にもAI画像生成機能が搭載され、利便性が向上しています。すでに会員登録が済んでいるのであれば、Canvaを開くだけで好みのイラスト画像を生成できます。
気に入った画像はサイズ変更や加工に対応しているので、使いたいシーンに合わせやすいのも魅力のひとつです。
7.MyEdit
「MyEdit」は、斬新な機能を使って画像作成ができるアプリです。自身の画像を使って気になるスタイルを試せる「AI着せ替え」や背景・部屋のデザインをカスタマイズできる「AIシーン(ルーム)」などがあり、例えば美容室であればお客様の理想的なヘアスタイルをみつけるきっかけに役立てることができます。
解説した機能については無料で試すことができるので、生成AI初心者でも気軽に画像生成を楽しめるでしょう。
8.AIピカソ
「AIピカソ」は無料素材ツールの「いらすとや」を提供するAI Picasso株式会社による画像生成アプリで、写真をはじめ手書きのラフ画もイラスト加工できるので、ぼんやりとしたアイデアも具体性のある画像に仕上げられ、クリエイティブな作業を楽しみながら取り組めます。
直感的な操作で画像生成ができるので、生成AI初心者に加えて、デジタルツールの使い方に難しさを抱きやすい方でも楽しみながら画像を生成できるでしょう。
9.DALL-E
「DALL-E」は生成AIでも人気の高い「ChatGPT」を提供するOpenAI社の画像生成ツールです。チャットに生成したい画像のイメージを入力・送信するだけで指示に基づいた画像を生成できます。従来の生成AIではプロンプトとはかけ離れた画像を生成することがありましたが、同ツールによって容易に高品質な画像生成を実現できます。
同ツールはChatGPTと結合しています。そのため、日常的にChatGPTを使うことの多い企業・部署であればChatGPTから直接画像イメージを入力するだけで画像生成できるのも魅力のひとつです。
10.Stable Diffusion
「Stable Diffusion」はリアルな画像を容易に生成できる画像生成AIツールで、気に入った画像が抽出された後は、一部を修正したり拡張してよりオリジナリティ溢れる画像に仕上げることができます。
また、特定の画像スタイルを別の画像に当てはめられるスタイル転移機能も搭載しており、多様な画像を使って高精度な画像を多数生成したい方におすすめです。
11.Artbreeder
「Artbreeder」はデジタルアート界で注目されているオンラインプラットフォームで、既存画像の組み合わせやプロンプトの入力を通じて独創的な画像を生成できます。高精度な画像を生成できるため、クリエイティブな作業を主とする方にとっては独創性や創造性の向上につなげられます。
利用にあたっては「Starter」「Advanced」「Champion」の3種類から契約する必要があり、無料お試しプランは設けられていません。画像生成数の目安が「Starter」でも約12,000枚と膨大であるため、さまざまな画像を生成したい方におすすめです。
12.DeepArt
「DeepArt」はディープラーニングを用いて既存画像を絵画やアート作品に変換できるサービスです。変換したい画像をアップロードし、好きな画家の作風を選択するだけで誰でもアーティスティックな画像を生成できます。ゴッホやモネなどを選べるので、有名な画家の魅力に触れながら独創的な画像生成を楽しめます。
なお、料金形態は「1か月」「3か月」「1年」「1回のみ」から選べるため、画像生成頻度に合わせやすい特徴があります。
13.Craiyon
「Craiyon」は上述した「DALL-E」をベースとした画像生成AIツールで、多様なジャンル・スタイルを使ってオリジナリティ溢れる画像を生成できます。Webブラウザから気軽に画像生成できるため、パソコンのストレージを気にすることなく多様な業務で活用できます。
なお、料金プランは「Supporter」「Professional」「Enterprise」の3種類から選ぶ必要があり、無料プランは設けられていません。「Enterprise」はカスタム、他2種類は画像生成に制限がないので、生成数を気にせず画像を作りたい方におすすめです。
Craiyon Pricing Plans – AI Image Generator
【番外編】ChatGPTやGeminiなどの主要生成AIでも対応可能に
近年ではChatGPTやGeminiなどの主要生成AIでも画像生成機能が搭載されています。プロンプトの入力・提示によって誰でも容易に画像生成できるので、日常的にこれらのツールを使う方であれば試しに使用してみるとよいかもしれません。
ChatGPTでは「GPT-4o」が、Geminiには「Canvas」が搭載されたことで、今まで以上に高品質な画像生成を実現できるでしょう。
Gemini Canvas — write, code, & create in one space with AI
関連記事:生成AIの使い方とは?メリットや注意点もあわせて解説
関連記事:ChatGPTは何ができる?できないことや活用のコツ、注意点を解説
生成AIを使ってイラストを生成するメリット・デメリット
生成AIを使ってイラストを生成することには、さまざまなメリットがある一方で、注意が必要なデメリットがあることを留意しておきましょう。
メリット | デメリット |
・作業効率や生産性の向上 ・クリエイティブ作業におけるコスト削減 ・アイデア幅の拡大 ・24時間365日いつでも生成できる など |
・権利侵害のリスク ・セキュリティリスク ・サイバー攻撃 など |
特にWebブラウザで使用する生成AIツールでは、セキュリティやサイバー攻撃などのリスクにさらされやすい環境であることを念頭に置くことが大切です。これらについては以下の記事で詳しく解説していますので、この機会に併せてご覧ください。
関連記事:生成AIのメリット・デメリットとは?活用シーンや注意点を解説!
生成AIでイラストを生成する際の注意点
生成AIでイラストを生成する際には、下記の注意点に留意しましょう。なお、プロンプトの提示例については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
関連記事:【例文付き】生成AIのプロンプトの概要と書き方、重要性やポイントを解説
著作権の侵害リスク
生成AIはインターネット上で検索・閲覧できる画像を学習データとして利用する特徴があるため、生成されたイラストに既視感を覚える場合も少なくありません。生成されたイラストを編集せずに使用すると、意外な場所で著作権の侵害とみなされ、訴訟トラブルに発展する恐れがあります。
自身で作成した素材などをプロンプトに盛り込むことで、オリジナリティを含んだ画像が生成ができるでしょう。
不適切なコンテンツ生成
生成AIはプロンプトの意思とは異なるコンテンツを生成する場合もあります。性的、あるいは暴力的なイラストが生成された場合、生成AIによるプロンプトの解釈が誤っている可能性があります。このような画像は公開・共有を控え、プロンプトを提示し直すことをおすすめします。短文かつ分かりやすい言葉を使うことで、品質が向上する場合があります。
モラル・倫理
生成AIのデータにはモラルや倫理的な問題がはらんでいる点にも注意しましょう。例えば実在する人の画像が無断で使用されるなどです。インターネット上で検索・閲覧できる画像を学習データとする特徴が要因のため、画像の内容によっては特定の人をあらぬ場所で傷つける恐れがあります。
生成AIによるデータが社会に公開されたことでどのような影響を及ぼす可能性があるかを常に考えながら使用しましょう。
他者の感情を尊重する
生成されたイラストを公開・共有する場合、その内容が誰かを傷つける恐れがないかを考慮することも大切です。特に人物像や地域的な文化を取り入れた場合、その表現方法があらぬ誤解を生んでいないかについて考えましょう。
未成年の画像は使わない
未成年に関する画像の生成は、倫理的・法的にも問題視されやすいジャンルです。児童ポルノや児童虐待と判断できる画像が生成されても、他者を不快あるいは不安にさせることを考慮し、公開・共有することは避けましょう。
使用許可の確認を行う
生成AIツールやアプリ、サービスを使って生成したイラストを商用利用する場合は、必ず利用規約を確認しましょう。商用利用が禁止されているにも関わらず商用利用した場合、大きなトラブルに発展する恐れがあります。またAIに学習させる目的からすでに存在する画像や絵を利用する場合、作成した人から使用許可を得る必要がある点にも注意しましょう。
SNSでの使用
SNSで生成されたイラストを使用する場合、著作権侵害や性的・暴力的と判断されかねない描写に加え、フェイクニュースの素材として悪用される可能性がないかについても確認しましょう。近年では生成AIを用いて生成された画像を悪用し、あたかも現実で起きた事件のようにSNSで投稿し、拡散されるケースが増えています。
高品質なイラスト・画像が生成できることは、その分だけ他者を惑わせたり困惑させたりする恐れがあるということです。特にSNSなどで公開する場合は、他者を不安・不快にさせないか確認した上で使用しましょう。
生成AIコンテンツで作成したことを明記する
生成AIを用いてイラスト・画像を生成した場合は「生成AIで生成したこと」を明記することをおすすめします。このようなひと言を加えることで透明性を高めることにつながり、あらぬ誤解を防ぐことができます。そのため、イラストや画像を見た側が適切な評価ができるよう、「#AI生成」「#AIアート」といったハッシュタグを付けると、投稿者の誠実さを感じられるでしょう。
関連記事:AIリテラシーの概要や注目される理由とは?向上するためのポイントやおすすめの資格も解説
まとめ
近年はAIのめまぐるしい発展によって、高品質かつ独創的なイラストや画像を容易に生成できるようになっています。クリエイティブな制作には多彩なアイデアや膨大な時間を必要とすることから、生成AIの活用によって時間削減やアイデアの発掘につなげられるのはメリットといえるでしょう。
また、生成AIの使用はクリエイティブな作業だけでなく日常業務の効率化も実現できます。特にRPAと生成AIを組み合わせて使用すれば、定型的・反復的な業務の自動化が可能になり、品質向上やコスト削減など、多くのメリットを享受できます。
日常業務に生成AIの活用を検討する際は、Peaceful Morningが提供する「Robo Runner」をぜひご利用くださいRobo Runnerは、RPAやAIなどの開発経験豊かなプロが、社内の開発を月額10万円からサポートするサービスです。要件整理からツール選定、導入後の運用フォローまで一貫して対応できるため、AIイラスト生成を含むさまざまなAI活用をスムーズに進めたい企業様におすすめです。
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