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ウォンテッドリーで実践するベンチャー企業のRPA活用術

RPAはベンチャー企業や中小企業で使えるのか?

大企業の導入事例がニュースで大きく取り上げられる中、RPAは大企業だけで使われているものなのでは?」と感じている方も多いかと思います。ベンチャー界隈の方とお会いしても、RPAはまだ自分ごとになっていない印象です。

そんな中で面白い活用をされているのが2010年創業、従業員114人(2018年8月末時点)のウォンテッドリー株式会社です。ウォンテッドリーは会社訪問サービス「Wantedly Visit」や名刺管理アプリ「Wantedly People」など、学生やビジネスパーソンに活用されるサービスを開発・運営しています。

今回はウォンテッドリー株式会社でRPA導入推進をされている震明徹也さんにどんな取り組みをされているのかお話を聞きました。

 

ーー震明さんの自己紹介をお願いします。

私は新卒でシステムエンジニアとして勤務した後、コンサルティング会社を経て、2018年の4月にウォンテッドリーに中途入社しました。入社時のミッションはオペレーションチームの業務フローを見直すということでした。

 

ーーオペレーションチームの現場にはどのような課題があったのでしょうか?

課題は契約件数増に対応できるオペレーションチーム体制の確立です。オペレーションチームは契約や請求関連の事務を行う部署です。私が入社したタイミングは、サービスの成長に伴い、作業量がどんどん増えている状況でした。オペレーションチームの業務はこれまで長くウォンテッドリーに在籍するスキルの高い契約社員の方に依存して成り立っていました。その為、扱う契約件数増に伴う処理の増加に人員増で対応しようとしても、今働いてくれているようなスキルの高い方を探すのは難しいなと感じていました。また業務も属人化している状態でした。

 

ーー成長企業ならではの課題があるのですね!そういった課題を解決するために何をしたのでしょうか?

私が取り組んでいたことは、まずオペレーションチームの業務を可視化し、マニュアルを作りました。業務を可視化してフローにすると明らかに重複している業務や過剰に行っている業務があることがわかりました。そのあとで業務の短縮化を行い、最後に残った業務を自動化するという流れで行いました。

RPALTに登壇した際の震明徹也さん

RPAツールを選ぶ際の3つの視点

ーー業務を自動化するという流れの中で、どのようにRPAツールの選定を行ったのでしょうか?

RPA導入においては、まず最初に各RPAツールの検証を行いました。ツール選定をする際は自分たちがやりたいと思っている機能を満たせるのか、コストはどうか、自社のPC環境にフィットしているのかといった観点をみていました。当社は作業PCにMacを利用していますが、RPAツールはWindowsで動かさないといけないものが多いので、MacにWindowsを入れて検証してみたり一通りやりました。ただ、機能としては満たしているがイニシャルコストが200万円くらいかかるツールがあったりして、RPA自体がどんな結果を出せるのか、私自身も検証はしているものの読み切れない部分がありました。ウォンテッドリーみたいな会社は短いスパンで環境がガラっと変わることがあるので、社内オペレーション部門にあまり大きなシステム投資をするというのは社風的には合わなくて…。小さく試せるものを探していました。また、ウォンテッドリーは他のRPAを現在導入している会社に比べると規模の小さい会社なので、自動化の範囲を拡くしないとROIを満たせません。

最終的には、①Macで使うことができる②自動化の範囲が広い、③フォローをしていただけるといった3点を満たしていたチュートリアル社のRobotic Crowdを使うことにしました。②自動化の範囲が広いについては、スケジュール機能、エラー通知、スクリプトを埋め込むといった機能が最低料金で使える点が良かったです。またフォローについては、処理の共有をしてメールやチャットでわからないと伝えると、スピーディに対応してもらえたので大変助かりました。

 

Robotic Crowdを含めたクラウド型RPAに関する過去の記事はこちら!

ーー3つの観点、勉強になります!現在は、誰がロボット作成をしているのでしょうか?

各業務チームの中の人々でカスタマーサポートチームに属している契約社員の方とか、Wantedly Peopleというプロダクトの営業側にいるインターンの方だったりとか、マーケティング部門の方だったりとかです。

 

ーー非エンジニアな部門の方が多いのですね。最初からですか?

一番最初は私がメインで作っていて、そのあとアルバイトの方にも手伝ってもらいながら、2人で他チームのフォローをしていました。現在は、各部門やチームでロボット作成をしています。

 

どうやって現場を巻き込む?

ーーユーザーが使いこなしていて、どんな研修やっているかが気になります…。

ロボット作成をしたことがある人が最初に1時間くらいで大枠を説明して、そのあとペアプログラミングで学ぶという機会を作っています。ペアプログラミングはとても効果があると思っていて、最初の1時間2時間同じ部屋で一緒にやってみたりすると良いと思います!

 

ーーペアプロなんですね!!!RPA導入時の現場巻き込みはどう進めましたか?

毎週、成果などを共有するDemoDay と呼んでいる全社会があるのですが、そこでオペレーションチームが作ったロボットの処理をデモで流したらそのインパクトが強かったようです。あれをやると結構便利らしい!と各メンバーに行き渡って、各メンバーが自分の中で面倒な作業があるとRPAにしてみたい!という話があがってくるようになりました。

 

ーーそれはすごく良い巻き込み方ですね!!RPAを導入してみてメリットに感じているところはどんな点でしょうか?

業務効率化や、業務自体の精度が上がるというのはもちろんですが、各メンバーのITリテラシー自体が上がっているというのを感じています。まず現場がロボットを作ってみて、作っているうちに工夫が始まって、JavaScriptを埋め込んだり、Google Apps Scriptを活用したり、必要に応じて最適な自動化を行うことが出来るようになりました。

 

ーーさすがウォンテッドリー・・・!導入してみて困った部分はありましたか?

困ったって感じとは違うかもしれませんが、ロボットの処理作成にはそれなりに根気とか勘が必要です。現場のユーザーがわからなかったら質問に来るというのがけっこう自分のところにあって、そのわからなくて止まってしまう時間がもっと減っていくと良いなと思っています。例えば、データの型の問題でエラーになるっていう事象があったときに、プログラミング経験のない人がすんなりわかるかというと微妙で、製品そのものの精度が上がることによって解決する可能性があると思いますが、私としてはエラーパターンを表にしようと考えています。今度作成しようと考えているのは、エラーがあったときの個別に具体的な解決方法を作りつつ、そもそものエラーが起きた時の考え方をフローにしたいなと。例えばRPAでエラー出たときに疑うポイントとして、①タイミングの問題、②データの問題、③処理そのものの問題、が主に考えられます。①から順番に疑っていってほしいと思っていて、こういった考え方自体をフローにまとめれば、ロボットを作成する人がわからなくて止まってしまう時間が減るのではと考えています。

 

ウォンテッドリー流ロボット活用術

ーーロボット化する作業はどのように選定していますか?

ウォンテッドリーでは3つの観点を持っています。処理時間が長いか短いか、反復回数が多いか少ないか、③1日に1回まとめて処理できるものかという3つの観点のうち、いずれかに該当すればロボット化するということをやっています。必ずしもすべての条件を満たしていなくても、1つでもメリットあればやってみるということをやっています。例えば、処理が長く、トリガー発動後、数時間以内に対応しないといけないような処理でも反復回数が多いものはロボット化していたりします。現在現場で8人がロボット作成をしているので、日々ロボット化できるものはロボット化していて、契約関連の作業など多くの作業を自動化しています。

 

ーー今ウォンテッドリーで作ったロボットで面白い活用法があったら教えていただけますか?

これは先日のRPALTでもお話したことなのですが3つご紹介します。

1つ目はRPA日報ロボというものを作りました。これは遊びに近いのですが、自動化によって発生していたロボットの稼働確認作業を自動化するというものです。今日の実行状況と何回失敗したか?を拾ってきて成功率として出しています。またslackでRPAと検索すると意外にRPAに悩まされている人が出てくるので、RPAにslackで「RPA」と、検索(エゴサーチ)させて結果を、GitHubのissue上にセーブさせるということをしています。

2つ目は契約チェック処理ロボです。現在ロボットが契約開始日を申込書から取得して記入する処理をしていますが、契約開始日の入力を間違えているとリスクが高いため、チェックロボを作って突合させるということをしています。

3つ目は累積ロボで、RPAが契約関連の作業をする時のフローはすごく長くて、1つの新規申し込みがあるとロボットでいうと5個くらい動いていて、それぞれのロボットの橋渡しにスプレッドシートを使っています。橋渡しに使ったシートの明細をとっておくロボットを作りました。契約数はかなりの数がありますので、この企業の契約ってこんなかんじになっているけど何で?となったときに作業状況を後から見にいけるようにしました。

RPALTの際のスライド資料

ぶっちゃけベンチャー・中小企業でRPAって使えるの?

ーーベンチャー企業や中小企業でRPAの導入を検討している企業も多いと思うのですが、人数の少ない会社でも導入して効果を出すことができますか?

ウォンテッドリーでは、約40人のビジネスメンバーに対して自動化をおこなっていますが、十分費用対効果が満たせています。人数の少ない中小企業やベンチャーであっても、代表やコアメンバーが単純作業をしているのであれば、月額10万円なので、効果は出せると思っています。

 

ーーこれからRPA導入を考えられている企業様に震明さんからアドバイスはありますか。

一般的なRPA導入事例として、業務整理をしていろんな用意が整うまではRPA導入はやめておこうという風潮があるかと思います。RPAの醍醐味は、通常のシステム開発と比べると圧倒的に手間が少なく、低コストでできるということにあります。最初から失敗しないものを作るというよりは、多少長いステップでもいいのでまず作ってみて、そこからソリッドにしていく形で良いと思います。その後、アクション短縮化が始まって、必要な部分はGoogle Apps Scriptなど別の手段に移すといった要領ででどんどん最適化されていきます。まずやってみるという意識をしたほうが良いかなと思います。

 

まとめ

震明さんのお話、学びがとても多い機会となりました。特に印象に残った部分としては以下。

 

RPA導入は圧倒的に少ない人員、コストでできるものなのでまずはやってみてそこから磨いていく

・ベンチャー企業や中小企業であってもうまくやれば効果を出すことができる

・作ったロボットを見せて便利になる!と現場に感じてやりたいと思わせる

・ペアプログラミングでレクチャーする

 

会社と働く人のマッチングを支援するウォンテッドリー社。

人材採用に関わるサービスを提供しているからこそ、人に依存するよりもロボットで賄える部分はロボットに置換するという考え方でRPA導入されており、今後のウォンテッドリー社や震明さんのチャレンジがとても楽しみです!

 

 

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