RPAを開発するには？手順やメリット・デメリット、失敗させないコツを解説　

RPAの便利さや快適さに気付き、自社で開発できないものかと検討する方も多いでしょう。しかし開発においては、方法や手順について理解を深めておくことが大切です。この記事では、RPA開発における方法・手順を中心に、運用方法と失敗例、メリット・デメリットについて解説します。

RPAとは？

RPAとは、パソコン上のツールで「シナリオ」と呼ばれる作業手順を設計し、自動化させる技術のことです。RPAツールの導入により、まるで従業員を増員したかのような生産性の向上が見込まれる特徴から「仮想知的労働者」「デジタルレイバー」とも呼ばれています。

RPAの運用方法と失敗例

RPA開発を検討する際は、適切に運用するための社内整備をはじめ、どのような課題を解決するために開発するのかを明確にすることが大切です。例えば、導入後には動作確認や業務内容の変更に合わせて設計の変更が必要になるなど、RPAそのものの運用が欠かせません。

仮にRPAの開発が最終的な目的に切り替わると、RPAを使ってなにを解決すべきだったのかを見失い、仮に開発に成功しても適切に運用することができません。RPA開発の失敗例の多くは、最終的な目的が「開発」に切り替わるケースです。

そのため、RPAを開発する際は最終的な目的を忘れないよう注意しましょう。例えばシナリオ設計の際は自動化したい業務をイメージし、どこをどのように自動化させれば業務負担が軽減されるかについて考えながら行うなどです。目的や目標は紙に書き出し、いつでも再確認できるようにしておくと認識のズレを予防できます。

RPAの開発方法

RPAを開発するには、その方法について押さえておく必要があります。ここでは主な開発方法である「簡易型」と「コーディング型」について解説します。どのような方法でRPA開発が実現できるのかを見ていきましょう。

簡易型

簡易型はプログラミング知識がなくてもRPA開発ができる方法です。日常業務における作業を順にシナリオ指定することで、指定した手順に沿って行動します。指定した作業をロボットに再現させる特徴から「レコーディング機能」とも呼ばれています。

具体的な活用例としては、従業員が1つの端末を使って完結する単純作業や反復作業に取り入れられ、自動化や効率化につなげています。

シンプルな作業の自動化に適した簡易型ですが、指定した内容を細かくカスタマイズできる特徴もあります。単純作業でありながらも複雑化した業務でも、設計次第で自動化・効率化を図ることができます。これらの特徴から小規模な業務の自動化であれば簡易型を試してみるとよいでしょう。

コーディング型

コーディング型は、複雑さを含んでいたり、高度さを求められる作業の自動化に適した方法です。開発では、RPAに組み込まれたコマンドを組み合わせて業務フローを作り、動作につなげるシナリオ構築を行います。

コマンドを組み合わせるだけでは再現できない業務は、RPAにプログラミングを行い、機能を追加しなければならないため、ITエンジニアの育成・確保・依頼が必要になります。

RPAの開発手順

RPAの開発方法について押さえた後は、次に開発手順について押さえておきましょう。具体的には以下の手順で行います。

• 目的の明確化
• 業務選択
• シナリオ設計
• 動作テスト
• 評価・メンテナンス

どのように取り組めばよいのか、内容を見ていきましょう。

目的の明確化

RPA開発にあたっては、まず目的の明確化から行いましょう。RPAツールが注目される点やDX推進に取り組む国の働きかけだけでなく、なぜ開発しようと思ったのか、理由を目的にすると明確にしやすいです。

RPAの開発途中であっても、目的を明確にすることでブレる心配がありません。RPA開発を成功させ、今以上の生産性につなげたいときは、どのような理由で開発へと至ったのかを忘れないようにしましょう。

業務選択

次に、業務選択です。RPAではシナリオを設計し、その手順に沿って業務の自動化を図ることになります。RPAを活用する上では、全社の業務内容を洗い出し、手順や業務負担に感じる部分を整理することが大切です。全社の業務フローを可視化しておくと、自動化したい業務が洗い出しやすくなります。

シナリオ設計

目的を明確にし、自動化したい業務を選択したら、次はシナリオを設計していきます。シナリオ設計では業務の自動化に必要となるデータやシステム、使用しているツールなどを洗い出し、書き出す必要があります。これらが不足しているとシナリオに取り込めず、理想とする自動化が実現しません。

もし、外部ベンダーにシナリオ設計を依頼するのであれば、自動化したい業務を担当する従業員と綿密な連携を取り、どのような業務でどのような作業が伴うのかを把握し、ベンダーに漏れなく伝えましょう。

動作テスト

RPAツールが完成したら次は動作テストです。動作テストでは日常的に使うデータに加えて過去の不正データも混ぜることで、エラーが表示されるかについても確認できます。エラーが表示されない場合、シナリオ設計に戻り、エラー処理したいデータを取り込む必要があります。

外部ベンダーにシステム設計を依頼している場合は、早急に連絡を取り、再度設計の依頼をしましょう。

評価・メンテナンス

RPAツールが完成し、動作テストでも問題なく稼動した後は、選定した業務で使用しましょう。なお、業務手順やシステムの仕様に変更があったときは、その都度シナリオの修正が必要です。

自動化したい業務を追加したい場合、新たなRPAツールを開発する必要があります。新たなツールの開発から運用、エラーなどの不具合に迅速に対応したいときは、RPAに精通した従業員を育成しておくことで安全で快適な運用が実現するでしょう。

RPA開発のメリット

RPAの開発においては、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは開発によるメリットについて解説します。

業務工数の削減

RPAの開発によって業務工数の削減を図ることができます。単純作業や反復作業をメインとする業務をルール化しRPAシステムで設計すれば、手動では数時間～数日掛かっていた業務を数分～数時間で処理できます。

早急に仕上げたい業務であっても、RPAツールを使えば夜間や休日の間に終わらせることもできるので、これまで従事していた従業員は安心して休むことができることに加えて、別の業務を覚え、スキルアップにつながるといったメリットにもつながるでしょう。

コスト削減

これまで手動で行っていた業務をRPAツールで自動化できれば、従業員に別の業務を任せられます。例えばデータ入力のために残業や休日出勤が続いていた場合、RPAに代替することで残業代や休日手当の削減が実現します。

データ入力に限らず自動化できる業務をRPAツールに任せれば、システムメンテナンスに対応できる従業員や最終チェックに対応できる従業員で完結させることもできます。これまで従事していた従業員が保有する能力や技術によっては、適材適所な異動も可能になり、企業力の強化を図ることもできるでしょう。

人的ミスの削減

システム設計で正確な手順を入力することで、正確性を保った業務につなげることができます。手動で入力する必要のあったデータ入力の場合、従業員の体調やモチベーションによって、業務の進捗状況や生産性にバラツキが生じることがあります。

しかし、RPAに代替すれば、体調やモチベーションのほか、業務時間などに左右されることなく、一定の品質を保ちながら業務を完遂できます。ルール化できる業務や正確性が伴う業務ほど、RPAツールの活用が有効といえるでしょう。

業務環境の改善

RPAの開発・導入によって業務の自動化につながれば、現場にDXの意識が定着します。やがて各現場・部署では自然と「この作業もツールで自動化できないか」といった建設的な提案につながり、業務環境の改善につなげることができます。

「国が総力を挙げて取り組むDX推進」といわれても、いまいちピンと来なかった従業員も多いでしょう。しかし、RPAの開発によって利便性や生産性の向上を目の当たりにしたことで「自分ごと」に感じた従業員が増え、結果的にDXに取り組む組織文化の形成につながるのもメリットといえるでしょう。

ノウハウの蓄積

自社実態を把握した上でRPAを開発することは、いわば「かゆいところに手が届く」ツールの開発を意味しています。自社開発したツールのノウハウを蓄積しておけば、仮に外部ベンダーにシステム設計を依頼する場合でも設計をコントロールできるので、企業が主体となった運用が続けられるでしょう。

RPA開発のデメリット

RPA開発にはさまざまなメリットがある一方で、以下のデメリットを念頭に置く必要があります。

• シナリオ設計のミスによっては大きなトラブルにつながる恐れがある
• メンテナンスや保守体制が欠かせない
• 属人化を防ぐための体制構築を行う
• RPA開発・導入・運用にコストが掛かる

RPAではシナリオ設計が必要となり、設計内容によっては大きなトラブルにつながる恐れがあります。設計ミスに気付かず使用を続ければミスの修正や作業のやり直しにつながり、かえって業務を増やすことになるでしょう。また開発をはじめ、導入や運用には人的リソースの確保やコストが掛かることも把握しておかなければなりません。

RPAを自社開発し、メンテナンスや保守体制を含む運用を社内で完結させたいのであれば、RPAに関する知識を有した従業員の育成・確保が不可欠といえるでしょう。

なお、RPA開発から運用までを自社完結できる従業員の育成を検討するときは、RPA・AIの開発経験が豊富なプロが開発者育成をサポートするRobo Runnerをおすすめします。サービス利用後に開発担当者が増加した場合でも、手厚いサポートをそのまま継続できるので、理想的なツール開発の推進につなげることができます。

RPA開発を失敗させないコツ

RPA開発に際しては、失敗させないコツについて押さえておくことも大切です。どのようなコツがあるのかを見ていきましょう。

最初から高い目標を設定しない

RPA開発を失敗させないためには、最初から高い目標を設定しないことを意識しましょう。「全社で活用可能な自動化ツールを開発する」など、使用者の対象範囲を最初から広くしたり、目的を高く設定したりすると、開発途中で目的がブレます。

スモールスタートを意識することでRPA開発の目標を定めやすいです。RPAの導入によってさまざまな業務を自動化できる魅力がありますが、業務すべてを自動化したいと考えれば、やるべきことや洗い出しする業務が膨大になり、開発までに時間が掛かってしまいます。

魅力的なRPAだからこそ、まずは自動化させたい業務を厳選し、どのように改善したいのかを決めるといったスモールスタートを心がけましょう。

人材リソースを確保する

RPAの開発から活用までを実現させるには、人材リソースの確保に対する工夫が欠かせません。RPA開発を目的とする理由の多くは、従業員の業務負担の軽減や人手不足の解消です。つまり、自社実態に人材不足という悩みがあり、その改善策としてRPA開発を行うのであれば、開発チームや運用における人材リソースの確保が難しくなる可能性があります。

即戦力となる人材を確保し、社内の開発体制づくりを行うときはDX Boostをおすすめします。DX Boostは即戦力となるDXフリーランスから最適な人材を厳選・紹介し、社内開発の体制作りを支援するサービスです。

通常雇用ではアプローチの難しい人材への依頼も最短2週間で実現でき、プロジェクトに応じて柔軟に工数を調整しながら開発できます。

従業員の育成につなげる

RPA開発に関するノウハウは組織間で共有し、人材育成につなげましょう。開発に従事した従業員が異動・退職した場合、新たなRPAツールの開発や運用ができず、混乱を招く可能性があります。

混乱を最小限に抑えるためには、知識・技術を有する人材の育成が欠かせません。RPAを社内開発する際は、マニュアルの作成や研修などを通してツールの開発・運用に精通した従業員を増やすことを心がけましょう。

RPAの開発に成功した企業3選

ここではRoboRunnerによるプロのサポート支援を受けることで、RPA初心者でも業務の効率化に成功している企業を紹介します。

株式会社ホンダカーズ三重南

ホンダカーズ三重南では、業務の属人化と人材不足が課題となっており、RPAを導入しました。導入当初プログラミングは未経験だったものの、営業項目や顧客情報の管理など多岐にわたる業務の効率化を実現し、1日当たり2時間かかっていた業務を10分まで短縮するに至っています。

関連記事：2時間の業務がたった10分に？その理由とは？ ー DXの真の価値は商習慣を見直す「業務プロセスの最適化」｜株式会社ホンダカーズ三重南

阪和興業株式会社

阪和興業では、人的ミスやリソースの削減を目的としてRPAを導入しました。まずは営業事務部門が中心となり、毎月15,000件に及ぶ発注書作成などの業務を自動化しています。

RPA導入の成果としては、10本のロボットを制作し、工数は2人相当・残業時間30%程の削減に繋がっています。

関連記事：【前編】人は人にしかできない仕事を追求するー業界の「当たり前」を覆した、新たなDXのカタチ｜阪和興業株式会社

シミックソリューションズ株式会社

シミックソリューションズ株式会社では、業務の効率化を目的にRPAの全社展開に取り組んでいます。業務の見える化と標準化も進められ、単なる自動化にとどまらず、業務改善や人材育成にもつながる取り組みとして展開されています。

関連記事：【RPAを全社展開へ】業務効率化を「当たり前」にするためのRobo Runner活用事例｜シミックソリューションズ株式会社

まとめ

RPAの開発にあたっては、簡易型とコーディング型の2種類から自社で取り組めそうなものを選び、実行していくことが基本的な流れです。いずれも難しいプログラミング操作を伴わないため、パソコンの取り扱いに慣れた従業員がいればスムーズな開発が実現できるでしょう。

しかしRPAの活用には定期的なメンテナンスが必要になるなど、適切な運用が欠かせません。外部ベンダーにすべてを任せることは導入までがスムーズという魅力がありますが、自社で開発・運用に関する知識を蓄積・共有できないといった欠点もあります。

RPAを自社開発し適切に運用を続けたいときは、開発スキルを有する人材育成やDXに有効な人材確保を実施しましょう。

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