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【前編】人は人にしかできない仕事を追求するー業界の「当たり前」を覆した、新たなDXのカタチ|阪和興業株式会社

Peaceful Morning株式会社では、RPAのスペシャリストによる社内での開発体制を支援するサービス「RPAプロフェッショナル」を提供しています。本インタビューでは、「RPAプロフェッショナル導入事例」として実際の利用者様のリアルな声を、前編・後編に分けてお届けします。

今回は創業から70年以上もの間、業界を切り開き続ける阪和興業株式会社の刈田様、原田様にお話を伺いました。

■インタビューにご協力いただいたご担当者様

木材第二部 住宅第二課 担当課長 刈田雄大様

木材第二部 住宅第二課 原田 麻希子様

本記事では前編として、RPA導入前の課題や導入に至るまでの背景をお話いただきました。

▶︎【後編】RPA導入後の成果や業界全体のDX推進について:後編の記事はこちら

多岐にわたる事業展開と企業成長の裏で、業界特有の「紙文化」がDX推進を阻んでいた

田中:阪和興業株式会社様の事業内容とご担当内容について、ご紹介いただけますでしょうか。

刈田様:阪和興業は、売上2.6兆円を超える総合商社です。売上の半数以上を鉄鋼が占めていますが、お客様のニーズを汲み取り事業展開を進めているため、時代や社会の変化に対応した、新たなチャレンジを続けています。

一部の具体例を挙げると、水産物を中心とした食品の取り扱いから、鉄鋼事業から派生した遊園地の遊具の設計から構築・保守、グローバル小売業のクライアント様での商品の企画から製品まで、商社では一部珍しい取り組みも行っています。

かくいう私自身は、建築資材、特に木材を取り扱っている木材部に所属しております。国内全域の取引先を対象に、業界の一般的な物販だけに留まらず、流通提案やオリジナル建材の開発なども担当しています。

田中:物販だけでなく、上流から下流まで全て担当されているのですね。原田様のご担当業務はいかがでしょうか。

原田様:私は刈田と同じ木材部にて、営業事務を担当しています。建材は鉄鋼に比べて圧倒的に資材資材の種類が多く、ネジ1本単位の発注から、数百万を超える規模の発注まで生じる特殊な部署です。

さらに数多くの仕入先それぞれに対し、仕入れる資材、仕入れ量を調整しながら、発注を管理する必要があります。そのため、発注書がすさまじい量になりますし、仕入先ごとに複数のフォーマットで届きます。数にすると、おおよそ毎月15,000件ほどの発注書のやり取りが発生している状況です。

田中:毎月15,000件…さすがにメール等でやりとりしていたのですか?

原田様:いえ、ほぼすべて「紙」です。そのため、2020年に入社した当時は、全員でテーブルに発注書を広げて、商品や会社単位で仕訳、納品データを目視確認して、管理システムに入力する…という業務が当たり前でした。

商社は人と人を繋ぐ仕事。注力すべきは15,000件のデータを「捌く」ことではなく、コミュニケーションの強化だった

田中:想像するだけで膨大な作業ですね…。この量を捌くだけでも大変だとは思いますが、御社が課題に感じていたことを詳しくお聞かせください。特に、人員増加に頼らなかった理由などはお伺いしたいです。

原田様:先にお伝えしましたが、木材部は、最適な価値を提供するために、数多くの仕入先とパートナーを組んでいます。その反面、パートナーごとに、様々な種類で、かつ膨大な処理が発生するため、1つの型にはまったマニュアルが存在しません。

その分、業務のやり方が一度決まって運用に乗ると、考える時間すらもったいないので、もうやり方を変えたくないわけです。そしていつの間にか、その方法がベストだと感じてしまい、現在の方法が非効率であっても変えられない、疑問を持つことすらない状況でした。

これでは作業が属人化してしまうことに加えて、引き継ぎをするには一緒に作業をしながら覚えてもらうしかありません。業務の振り分けすら難しく、特定の人に負荷が集中する分、疲れによる人的ミスでのやり直しまで発生していました。

この作業自体は、紙をまとめてデータを入力するだけ。もちろん大事な作業ではありますが、そんな作業を繰り返すだけでは、一人ひとりの今後のキャリア形成やスキルアップにもつながりません。私が入社した当初は、工数だけでなく、作業者の労働環境や今後のキャリアにも課題を感じていました。

刈田様:商社は、仕入先と売り先を繋ぐコミュニケーターだと思っています。だからこそ、関係者とのコミュニケーションが重要です。それは営業だけでなく、関係者への発注や仕入管理、販売管理を担当する営業事務も同様です。そんな中で、営業事務の本来の仕事である「営業が利益を作れるようにサポートする」というよりも、とにかく大量の事務処理を捌いていかなければいけない状況で…

特に我々が担当している住宅系は、他の部署よりも発注部品が多く、弊社平均の倍以上の伝票が発生するため、何としても合理化を図りたいと考えていました。また、利益目標を掲げている弊社ですが、事務担当がバタついている時期は、新規の発注伝票の依頼がしにくく、利益創出の機会を逃していたこともあります。

田中:それでは本末転倒ですよね…

刈田様:本当にそうなんです。こういった背景から、営業よりも事務職の割合が高い時期もあるくらい、無理やり人を増やして対応していたこともありました。もっと効率化するという選択肢もあったのに、いかに数でカバーするかしか考えられていなかったのが、RPA導入前の木材部の実態でした。

原田様:こんな言い方はよくないですが、不毛ですよね(笑)今や人が簡単に採用できる時代でもなければ、マニュアルがないので引き継ぎも大変ですし。しかも、正社員で雇うとなると、仕事が落ち着いている時期には余剰の人件負担となり、それはそれで利益創出にはつながりません。

派遣社員にお願いしていたこともありましたが、お任せするのは結局大量の紙を仕分けする単純作業。単純なだけでなく、仕事の量も多いですし、モチベーションが下がってしまってすぐに辞めてしまうといった方もいました。

RPAに「人の仕事が奪われる」に違和感。利益の追求のためには事務作業こそスクラップ&ビルドで、時代の変化に合わせた対応をする

田中:そこからRPAの導入を検討されたのですね。

原田様:私自身、前職で10年間人材ビジネスの労務担当として勤めていました。その時の経験から「事務はRPAを使えたらすごい効率が上がるな」と思っていたのです。また、前職でRPAを学ぶ機会があり、ある程度の知識はありました。そのため、RPAが得意な領域は理解していたので、単純作業やルーチンワークはなるべくRPAに任せたいと考え、刈田に相談しました。

刈田様:私も人は機械ができることはやらずに、人にしかできないことをした方が、企業の成長や個人のパフォーマンスに繋がると考えていましたから、原田からの提案に賛同しました。

原田様:特に事務作業は、一度決まったやり方も捨てる覚悟、つまりスクラップ&ビルドで効率化を図るべきです。あくまで事務職とは言えども、作業者ではなく利益を作る人として、時代の変化に合わせた業務方法で対応していくことが大切だと思います。

田中:単純作業はRPAの得意分野と言えますが「人の仕事が奪われる」と考える方も実際多いです。この点について、お二人は抵抗などはなかったのですか?

原田様:全くなかったです。私はむしろ機械ができることを、人がやる方が切ないと感じてしまいますね(笑)単純作業であれば、機械の方がミスなくスピーディにこなしてくれますし、人は「機械にしてもらうことを考える」ということに注力すべきだと思います。

前職の時から考えていた事なのですが、派遣社員を「単純作業を任せるサブ人員」として扱うのがすごく嫌だったんです。プロパーは事業理解、派遣社員はスキルと、それぞれの得意分野での存在意義があると思っています。なのに、まだまだ派遣=単純作業を任せる人、という認識がとても多い印象です。

そもそも、派遣社員に限らずですが、私たちのような「営業アシスタント」は、RPAなどによって空いた時間で、スキルアップや営業のサポートを強化すべきです。その方が売上や利益にも繋がりますし、個人のモチベーションも上がると思います。

田中:確かに、おっしゃる通りですよね。「人の仕事が奪われる」という考えではなく、単純作業などはRPAに任せて、人がやるべきこと、人にしかやれないことに時間を使うことが重要だと、僕らも思っています。

刈田様:そうですね。特に商社は人と人、企業と企業とのマッチングをする仕事です。そのため、社内外問わず、コミュニケーションや想像力が必要なところに、我々従業員は注力すべきだと考えています。

例えば、作業のマニュアル化が難しいとはいえ、ある程度のフローの整理はできます。それと比べて、コミュニケーションは対人のやり取りで、毎回異なる対応が求められます。だからこそ我々は、コミュニケーションの柔軟さや臨機応変さ、つまり対人におけるスキルや営業力を強化すべきです。ですから原田と同じく、私も「人の仕事が奪われる」という感覚は全くなかったですね。

RPAを単に”開発する”だけでは意味がない。要件定義と現場で使えるRPAこそ、効率化とDXにつながる

田中:考え方がとても素晴らしいですね。RPAのサポートサービスは数多くありますが、なかでもPeaceful Morningを選ばれた理由やポイントはございますか。

原田様:実は、導入検討にあたり、関係各所からRPAを導入している事例は聞いていたのですが、上手くいっている話をあまり聞かず…少し不安はありました。

刈田様:そうそう。我々も御社にお願いする前に、比較の意味も込めて色々と話を聞いていました。よく聞いたのが、発注側にRPAの知識があまりない中で、伝えたままのRPAを制作して失敗した、という例です。これでは「本当に現場に落とし込めるかどうかがわからないRPAができて、実際に使用すると動かない」状況になってしまわないか、と…

原田様:少しフローが変わるだけで修正が発生したり、加えて動作が止まってしまうと、結局自分たちで直したりコストをかけたりするのが面倒になり…

直せなくなったので「最終的には人の手で作業をしてしまっている」なんて状況も聞いていました。阪和興業では次々に新たな事業が展開されていくので、そこに合わせて要件を変えていかなければならないと考えると、本当に導入していいのか疑問に思っていたのは事実です。

田中:RPAは開発という言葉で表現されますが、いわゆる下請けがハマらないんですよね。アジャイル開発で1つ1つ現場の意思決定を踏まえながら構築しないと、使う人間に優しいRPAは制作できないものです。

刈田様:御社のプレゼンを聞いて「いかに要件定義が重要か」という点に納得しました。こちらとしてはRPAがわからないだけに、要望を言えば作ってくれると思っていた部分がありました。そんな中で、Peaceful Morningさんは要件定義力の高さや弊社の意見を汲み取ったアドバイスなどが、他社のご提案とは全く違うと感じたため、依頼に至った経緯があります。

田中:ありがとうございます。我々が重要視している部分を評価いただき、とても嬉しい限りです。次はRPA導入による成果や導入後の影響などについて、お伺いできればと思います。

ーーインタビューにご協力いただきありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。

前編では、業界特有の「紙」文化から見えた課題や、商社として本来注力する「人」にしかできない仕事、RPA導入に至る背景についてお話しいただきました。

次回の後編では、RPAで効率化したことによる具体的な成果や、業界全体のDX推進と自社への影響などについてお届けしています。ぜひ、ご覧ください。

▶︎後編の記事はこちら

Peaceful Morningでは、企業様の課題を踏まえ、目標の実現に向けたRPA開発サポートを行っています。ご興味をお持ちの方は、RPAプロフェッショナルのご活用を検討くださいませ。

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