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業務改善とは?5つのステップとフレームワーク・役立つツールをまとめて紹介

近年、働き方改革や企業のテレワーク推奨により、「いかに一人一人が生産性高く働けるか」が重要視されてきています。働く上での効率性や柔軟さが重視される現代において、「組織の業務改善」が今後さらに重要になってくると言えます。
一方で業務改善については、「具体的に何をすれば良いかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、業務改善の具体的な方法や役に立つ考え方・ツールについて、改善を進める上で大切なポイントを踏まえながら詳しく解説します。

業務改善とは何か

業務改善とは、無駄な業務を減らし、基本的な業務やルーティーン作業を省力し効率化することを指します。日々の業務を遂行する中で作業が属人化してしまっている業務や、本来は必要ではない無駄な業務を行っていることは少なくありません。業務改善の目的は、業務の非効率な部分を改善することにより、労働者の時間的・仕事量的な負担を軽減し、商品・サービスの品質を向上させることです。

なぜ業務改善が必要なのか

そもそもなぜ業務改善が注目されるようになったのでしょうか。
業務改善が注目されるようになった背景には2つの側面があります。

1つ目は、業務改善をしなければ人手が足らないといった労働力不足の問題です。これには、近年驚異的なスピードで進む少子高齢化も大きく関係しています。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人(2010年人口の32.3%減)にまで減少すると見込まれており、生産年齢人口は2030年には6,773万人、2060年には4,418万人(同45.9%減)にまで減少すると見込まれている(引用:総務省『平成29年度版 情報白書』)

引用:総務省『平成29年度版 情報白書』https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc135230.html

今後、企業の人材確保はかなり難しくなっていくことが予想されます。
このような問題に対し現在取り組むべきことは、無駄な業務の削減により一人一人の生産性をあげることであると言えます。

2つ目は、業務改善をすることによって他の企業との競争優位の獲得を図るという企業の視点です。業務改善は業務時間の削減をもたらすだけでなく、浮いた時間を他の新しい業務に当てることで業務全体の価値向上にも繋がります。
企業にとっての業務改善は、「労働力不足の解決策」である上に「ムダを省いて価値を向上させる」という競争優位を獲得する手段でもあると言えます。

業務改善とは具体的に何をすれば良いのか

業務改善とはまず何から始めればいいのでしょうか。
業務改善を進めるための具体的な5つの手順を紹介します。

手順①:目標設定

業務改善を行うにあたり、最初に行うべきことは、理想状態を明確にするということです。目標を設定せずに業務改善を行ってしまうと、改善することによって「何を実現したいのか」というゴールがわからないまま進んでしまうことになります。
「どのような問題を解決したいのか」という定性的な目標と、「どれくらい達成すべきか」という定量的な目標の両方を設定することが重要です。
具体例を用いて説明すると、定性的な目標が「業務改善を目指す」というものだとします。これに対し、定量的な目標は「作業時間を1時間短縮する」という数値を用いた具体的な目標です。

手順②:現状分析

目標設定の次には、設定した目標と現状との差を把握する、現状分析を行います。現状分析を適切に行うことによって、理想状態と現状がどの程度離れているかというギャップを正しく認識できます。
現状分析においては、①で説明した定量的目標が重要になってきます。
先ほどの具体例を元に説明すると、「業務改善を目指す」といった定性的な目標だけでは現状を分析することは難しく、「作業時間」という定量的な数値があることによって、「この作業には◯時間かかっているが、もっと短い時間でできるのではないか」というように現状を分析しやすくなります。現状を数値として認識することによって、より明確に理想とのギャップを認識でき、効果的な改善へと導くことができます。

手順③:課題設定

②で現状を分析できたら、「理想と現状でギャップが生まれる要因」を追求し、優先的に解決すべき課題を設定します。「この作業に多く時間がかかってしまうのはなぜだろう」というように一つの要因に対し、問題となる要因を追求することが重要です。
問題点を徹底的に洗い出し、その中で優先的に解決すべき課題を選定していきます。

手順④:解決策の選定・実施

課題が設定できたら、課題を解決するための手段の選定を行います。具体的な課題の解決策として、「作業の排除」・「作業の単純化」などがあげられます。
このような解決策として、システムやツールの導入も業務改善に繋がる一つの手段です。定型的な作業や単純な作業は、システムやツールの導入によって業務時間の大幅な削減ができることや、他の業務に時間をかけられるといったメリットがあります。

明確な業務改善効果が期待できる手段ですが、システムやツールの導入が目的にならないように注意する必要があります。問題の解決という結果が得られることが最も大切だからです。
解決策の効果を正確に把握するために、実施の段階で定量的に評価ができる仕組みを作っておくことも大切です。

手順⑤:効果測定

最後に、改善したことによって得られた効果の検証を行います。改善したことによって「どれくらいの効果があったのか」を検証し、「さらに改善できる点はないか」ということをもう一度確認します。改善したら終わりではなく、改善の効果を把握し、検証することでより効果の高い業務改善へと繋がります。

業務改善に役立つ考え方・フレームワーク

業務改善をしたいと思っても、改善点を見つけるということは難しいことです。こちらでは、業務改善をする際に基本となる考え方やフレームワークをいくつか紹介します。

①「定量」と「定性」

業務効率化を進める上で大切なことは、定性的視点と定量的視点を両方持つことです。
業務改善を例に説明すると、定性的な視点とは「業務を効率化する」「人件費を削減する」といったいわゆる抽象的な考え方です。これに対し、定量的な視点とは、具体的なデータを元にした考え方のことをいいます。

業務改善に関して、「業務を効率化する」というような定性的目標設定のみをした場合、解決策によって目標が達成されたかを正確に把握することは難しくなってしまいます。
これに対し、「人件費を10%削減する」という定量的な目標のみを設定した場合も必ずしも業務改善が達成されるとは言えません。

例えばこの場合①人員を10%減らす、②全従業員の給料を10%減らす、③各従業員の労働時間を10%減らすという3つの手段全てで目標を達成できますが、それぞれの結果全てが望ましいものであるとは言えません。

適切な業務改善を実現するためには「何のために」という定性的な視点と「何をどのくらい」という定量的な視点の両方から考える必要があります。

②ロジックツリー(決定木分析)

ロジックツリーとは、ツリーという言葉通り、問題の根本となる一つのキーワードから、派生するキーワードを木構造のように広げていくことで論理的に分析する手法です。
ロジックツリーを活用することで、問題を解決するための根本的な原因を知ることができる・抽象的な問題が論理的に分解できるといったメリットがあります。
ロジックツリーを作成する上で注意すべき点はMECEを意識するということです。MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは、「もれなく不足なく」ということです。課題や問題にモレや不足がないようにツリーを作成することが重要です。

③QCD

QCDとはQuality(品質)・Cost(費用)・Delivery(時間) といった生産管理を行ううえで重要となる要素の頭文字をとった言葉です。もともとは製造業が業務を進めるうえで重視していた考え方ですが、業務改善を進めるうえではどの企業でも役立つ考え方です。

これらの3つの要素は密接に関わっており、3つの要素のうち1つでも抜けてしまうと大きな効果は得られません。
時間の効率化ができたとしても業務の品質が落ちてしまったら、それは単なる時間削減でしかないからです。
業務効率も上がり、業務の品質も保たれているという状態がベストな状態です。業務改善をすることによって、どんなメリットがあるのかをQCDの考えに基づいて考えることが重要です。

④ECRS

ECRSとは、E(Eliminate):排除、C(Combine):結合、(Rearrange):再配置、S(Simplify):単純化という改善の視点となる要素の頭文字をとった業務改善手法の大原則となる言葉です。
工場などの生産現場で使われていた原則で、読み方はECRS(イクルス)と呼ぶのが一般的です。ECRSの原則は、「E→C→R→S」の順番で業務改善を考えるということです。

ECRSの4つの視点を簡単に説明します。
E(Eliminate):排除
業務の改善を最初に考える際、最初に検討すべき視点は、「その作業をなくすことはできるか」ということです。排除を検討する業務として、「やっている目的が不明であるもの」・「排除しても支障がないもの」などがあげられます。

C(Combine):結合
2つ目の視点は、「業務を一つにまとめられないか」ということです。役割が分担されている業務や、複数人でやっている業務を見直し、より効率的に業務ができる方法を考えることが必要です。

R(Rearrange):再配置
E(排除)、C(結合)の視点で業務を見直すことで、作業工程や作業担当者の再配置も考えるべき要素となります。

S(Simplify):単純化
最後の視点は「もっと簡単に効率的にできないか」という視点です。E・C・Rの視点でさまざまな改善を行った上で、より業務が簡単に効率的にできるようになるためにITツールや機械の導入を検討します。

ECRSについては下記の記事で具体例とともに詳しく解説しています。
記事リンク:ECRSとは?業務改善に役立つフレームワークを詳しく解説!

業務改善に役立つツール 

業務改善を進めるためにITツールを導入することも手段の一つです。ここでは業務改善に役立つツールについて解説します。

コミュニケーションツール

コミュニケーションツールとは、意思疎通や情報共有などを行う際に利用されるツールの総称であり、連絡のためのチャット機能に加え、ファイル共有音声・ビデオ通話などの機能を備えているツールが多いです。コミュニケーションツールを使うことで連絡や情報共有にかかる時間が大幅に短縮され、全体としてコミュニケーションコストが削減されるというメリットがあります。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、テレワークや在宅ワークが急速に普及する中、そうした働き方のデメリットとして「従来のオフィスワークと比較してコミュニケーションが取りにくい」という点がしばしば指摘されます。
「withコロナ」における新しい働き方で今まで以上のパフォーマンスを発揮するために、適切なコミュニケーションツールの運用は必要不可欠と言えるでしょう。

代表的なツール:SlackChatworkMicrosoft Teamsなど

ファイル共有ツール・クラウドストレージ

ファイル共有ツールとは、1つのファイルを複数のコンピューター(ユーザー)で利用出来る仕組みの事です。
従来は、社内ネットワークでファイルを共有していく形でしたが、クラウド上に保管できるようになるためインターネット環境があれば、社外でも許可された人なら誰でも共有ファイルにアクセスする事ができます。
また、アクセスするだけでなく共同編集もできるツールも多くあるため、作業場所や時間に固定されることなく必要なファイルにアクセスしたり編集をする事が出来ます。アクセス権限の付与も可能なため、社外とのファイルのやり取りにも活用する事が出来ます。

代表的なツール:DropboxGoogle Driveなど

タスクマイニング・プロセスマイニング

              

タスクマイニング・プロセスマイニングはともに上述の業務改善の手順②:現状分析に役立つツール・技術です。
タスクマイニングとはさまざまな業務で個人が行っているPC操作(マウス操作、アプリケーションの起動、画面立ち上げ操作)といった詳細なログデータを分析し、“タスクレベル”での課題・問題点を分析する手法のことをいいます。作業に時間がかかっている「非効率的な業務」や、コピー&ペーストの作業が高い頻度で起こっている「繰り返し業務」が浮き彫りになることで、ありのままの事実に基づいた業務分析を行うことができます。

タスクマイニングが個人のタスクを対象とした分析手法であったことに対し、プロセスマイニング部署間のタスクが対象となっています。「見積書作成」「見積書承認」「発注」といった業務プロセスの中の節目となる操作や、部署間にまたがるプロセスが分析対象となっています。

両者は分析対象が異なりますが、タスクマイニングは「タスクレベルの自動化」プロセスマイニングは「プロセスレベルの自動化」に繋げることを目標としています。業務を自動化する前にタスクを可視化することで、詳細な分析に基づいてどの業務を自動化すべきかが明確になります。

代表的なツール:CONTROLIO(タスクマイニング)、IBC / Intelligent Business Cloud(プロセスマイニング)など

マニュアル作成ツール

業務を改善するためには複雑な作業や人によってやり方が異なる作業を定型化する必要があります。業務を定型化・標準化することにより、どこに無駄があるか、どこを改善すべきかを明確化できます。そうした業務の定型化に役立つのがマニュアル作成ツールです。
マニュアル作成ツールが扱うのはPC上で行われる作業です。マニュアル作成ツールを起動した状態で定型化したい作業を行うことで、ツールが自動的に操作内容を記録しマニュアルの形に編集します。自動で作成された作業マニュアルを自由に整理し、PDFやパワーポイントの形に出力することで、簡単に業務をマニュアル化できます。

代表的なツール:Dojoitutorなど

タスク・プロジェクト管理ツール

タスク・プロジェクト管理ツールとは期日の管理や把握をする機能を有したツールの事で、残業時間削減、営業会議のための交通費削減、印刷コストの削減などに貢献します。
スマホアプリで利用するタイプとウェブ上で利用するタイプ、個人管理に適しているものとチーム・プロジェクト規模の管理に適しているもの、などツールごとに得意不得意があります。
使う環境や管理する人数・規模に応じて適切なツールを使い分ける事で、業務の効率化だけでなく、情報共有の徹底を図る事ができるため、違いをよく理解した上で導入する事が重要になっていきます。

代表的なツール:AsanaTrelloBacklogなど

RPA

RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、従来人がコンピュータを使って行っていたマウス操作やキーボード操作といった業務を自動化する技術・ツールのことです。RPAによる業務効率化により、人材不足解消や生産性向上などの効果が期待されます。

RPAは、具体的には①データの入力・修正②データの照合③データの出力④アプリケーションの実行といった単純操作を得意としています。業務効率化実現のために、大手企業中心に導入が進んでいる自動化ツールです。

代表的なツール:UiPathPower AutomateWinActorなど

ペーパーレス化ツール

ペーパーレス化とは、契約書の取り交わしや請求書の発行など、従来紙ベースで行われていた一連の手続きを電子化して行う事を意味します。
ペーパーレス化のメリットとしては、印刷や情報管理にかかるコストの削減や、紛失・盗難や災害時の失滅といったリスクの低減が挙げられます。2020年10月の税制改正により、キャッシュレス決済の経費精算において紙の領収書が不要になるなど行政の施策も進んでいることから、ペーパーレス化は今後さらに加速していくと考えられます。

ペーパーレス化ツールには、電子契約システムや経費精算システムといった取引や作業をデジタル化するクラウドツールや、紙媒体の文書や手書き文字、画像データなどをAIが自動で判別・認識し文字データに変換するAI-OCRなどがあります。

代表的なツール:クラウドサイン(電子契約)、楽々経費精算(経費精算)、Tegaki(AI-OCR)、DX Suite(AI-OCR)など

▼AI-OCRについて詳しい解説はこちら▼
AI-OCRとは?導入メリット・AI-OCRの製品の比較も合わせて詳しく解説 !

その他のツール

これまでに紹介したツールの他に、名刺管理ツールや勤怠管理ツールなど、業務改善ツールには様々なバリエーションがあります。組織やチームの抱える課題を正しく把握し、適切なツールを導入することが業務改善を成功に導くコツです。

例:法人向けクラウド名刺管理『Sansan』、クラウド勤怠管理システム『KING OF TIME

番外編:アウトソーシングも手段の一つ

アウトソーシングとは、外部(アウト)からの調達(ソーシング)を意味します。業務の一部を社外の専門家に依頼することで、重要な業務に注力できるようになったり、適切な人材配置を行うことが可能になります。アウトソーシングを依頼する業務として、自社でやるにはコストが高く、独自性がない業務ほどメリットがあると言えます。

自社の業務に集中できる環境を整備するためにアウトソーシングを活用することも業務効率化の手段の一つです。

業務改善で失敗しないために

今回紹介したように、業務改善にはさまざまな手段があります。
一方で、目的や課題がなく業務改善をしてしまうと、失敗に終わってしまうケースもあります。業務改善のよくある失敗例として以下のものがあげられます。

【よくある失敗ケース①:ツールの導入を目的にしてしまう】
ツールの導入は業務改善の手段の一つであるということを認識しておくことが大切です。
ツールを導入する前に改善できる点はないか、ツールを導入することが一番最適な方法か、導入前にもう一度これらのことを見直すことでツールの導入が目的の業務改善にならないようにすることが大切です。

【よくある失敗ケース②:効果検証の仕組みがなく、結局改善したのかよくわからない】
このような失敗を防ぐためにはツールを選ぶ前に定量的な目標を明確に定めることが重要です。
定量的な目標を設定することでツールを導入したことでどれくらい効果が得られるのかが数値としてはっきりわかるようになります。

 

最後に、業務改善は改善までの取り組み過程が成功への重要な鍵を握っていると言えます。改善されるまでは、自社の問題を発見し、分析し、解決策を見つける……といったように時間も手間もかかります。しかし、改めていつも行っている業務を可視化し、分析することが効率的な業務改善へ繋がるのではないでしょうか。

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