Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages

DXとIT化の違いやRPAの役割について解説!DXとRPAの関係性とは

本記事はRPA HACKを運営するPeaceful Morning株式会社が2022年6月15日に開催したビジネスカンファレンス「RPA DX Conference2022」に際して行われた基調講演を参考に作成されています。

基調講演では変革の最前線で戦うキーパーソンとして富士通株式会社より執行役員 Executive Vice President CIO、CDXO(最高デジタル変革責任者)補佐である福田 譲氏にご登壇いただき、「富士通全社DXプロジェクト『フジトラ』のキーパーソン福田CIOと考えるRPAとの向き合い方」というテーマでお話を伺いました。

本記事ではその中の「DXにおけるRPAの立ち位置」と言う部分に焦点を当てており、DXとRPAの包括関係や、IT化とDXの違いをお伝えしています。DXという言葉を耳にする機会が増えたが具体的に何を指すのかわからない方や、これから推進していきたいがIT化で留まってしまわないか不安な方はぜひご覧ください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

最近耳にすることが増えたDX(デジタルトランスフォーメーション)という用語はスウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。

当時の教授による定義は「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させること」でしたが、平成30年より経済産業省が取り組み公表している「DX推進ガイドライン」によってその対象が「企業」「産業」となりました。これにより、経営者は経営とITが切っても切り離せないものであることを認識し、DXに取り組むことが求められています。

しかしながら、デジタル化にも段階があることをご存知でしょうか。

画像は経済産業省 DXレポート2中間取りまとめより引用

この図のように、デジタル化はDX(デジタルトランスフォーメーション)以外にも、デジタライゼーション、デジタイゼーションの段階があります。

DXはデジタル”変革”という以上、デジタライゼーション、デジタイゼーションとは大きな差異があるのですが、具体的にどのように違うのでしょうか。身近な例で考えてみましょう。

単なるIT化とDX(デジタル変革)の違いとは

基調講演内で、福田譲氏(以下、福田氏)は「写真をとって誰かに届ける」という工程を例にDXについて説明しました。


「単なるIT化とデジタル変革(以下、DX)は異なります。「遠方に住む祖父母に孫の写真を届ける」というシチュエーションにおいて、過去には、カメラで撮影し、フィルムをカメラショップに持ち込み、現像してもらってできた写真を、郵送で遠方の祖父母に届ける、という工程を取っていました。

そこにデジタルカメラやSDカードといった機器が登場したことによって、デジタル化が進みました。デジタルカメラで撮影し、SDカードを元に自宅のプリンターで印刷、そして郵送ですね。

ここでは仕事のやり方が変わらないまま、デジタル化が進んでいます。デジタイゼーション、あるいはデジタライゼーションとして位置付けられます。

DXはスライドの下段までデジタル化を進めた状態を指します。最近はスマートフォンでとった写真をEメール/SNSで送信して完了です。」

個々の過程をIT化するだけではなく、全体のプロセスがデジタル化されたもの、それによってものの在り方に大きな変化をもたらすものが「デジタル変革」に値し、DXと表現されます。

今までに日本企業が歩んできたデジタル化は、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」の傾向が強くありました。そもそもの仕事の在り方を変えずに、自動化された個々の業務や工程が多く残っています。そこに現れたのがRPAです。

福田氏はRPAを「DXに飛んでいける武器」と表現します。

福田氏:「RPAは今まで人間が行っていた仕事を自動化するツールです。しかし、今ある業務をRPAで自動化するためにはアルゴリズムやルールが必要となり、属人化し様式が統一されていない業務を必然的に標準化する必要があります。DXとRPAの関係性の見方は多くありますが、私はある意味DXに飛んでいける武器だと考えています。」

RPAの導入過程で不必要な業務のスリム化が達成されたり、他のツールの導入体制が整ったり、間接的に恩恵を受けられることが多々あります。RPAはDXの一端を担う存在でありながらも、デジタイゼーションやデジタライゼーションを超えて変革へ辿り着ける、強力な武器として位置付けられます。

RPAで業務を自動化するメリットについてはこちら

DXが必要な背景:省人化、省力化へのネガティビティは日本に存在しない

労働、ワークフォースを取り巻く日本の環境

さらに、福田氏は今の日本において省人化・省力化を行うことは極めてポジティブであると言及します。

福田氏:「前職で統合システムの企業にいた20年ほど前は、省人化や省力化が行われると困るという意見がありました。それほど人手が余っていたということです。

しかし現代においては、労働生産性が極めて低迷しています。20年前と比べると世界平均は約2倍になっており、主な要因がデジタル化であると考えられていますが、日本は伸びていません。」

2020年のOECDデータに基づく日本の時間当たりの労働生産性は49.5ドル(5,086円/購買力平価換算)、OECD加盟国38カ国中23位であり、前年から1.1%上昇したものの1970年以降最も低い順位です。これはアメリカの6割の水準(80.5ドル/8,282円)に値します。

また、2020年の日本の一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)である78,655ドル(809万円)という数字は西欧諸国で労働生産性が比較的低いとされている英国(94,763ドル/974万円)やスペイン(94,552ドル/972万円)と比べても差がついており、昨年比でも3.9%減となっています。

参考:労働生産性の国際比較2021

福田氏:「生産年齢人口の不足も深刻です。最盛期と比べると、現在の生産年齢人口は3分の2に値します。最近忙しいと感じていませんか。これは今後も悪化していく傾向にあるので、どちらにせよ今の業務の取り組み方では補えません。省人化・省力化を行わないと、生産年齢人口が減少するペースに追いついていけないのです。これらのネガティビティは今の日本においてもはや存在しません。」


生産年齢人口とは、働き手として中核を担う15歳から64歳の人口を指します。総務省によれば、15歳から64歳の生産年齢人口は2020年の7,406万人(総人口に占める割合は59.1%)が2040年には5,978万人(53.9%)と減少することが推計されており、それによって引き起こされる国内市場の縮小による経済規模の縮小、労働力不足、財政の危機、基礎的自治体の担い手の減少など、さまざまな問題が危惧されています。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」

こちらの表は、国立社会保障・人口問題研究所が発表している日本の将来推計人口を示しています。2065年の数値では最も多かった時の半分近くまで減少しています。これは生産年齢人口が多かった時の働き方のまま2065年を迎えてしまうと単純に1人あたり2倍の仕事をこなす必要があるということです。

同時に年少人口も減少している現在、生産年齢人口が増えるという可能性は限りなく低いため、働き方を変革していく必要があるのです。

RPAによって増える仕事、ニーズの高まり

福田氏:「もう1つ見ていただきたいデータがあります。このデジタル化によって無くなっていく仕事は多数ありますが、生み出される仕事も多くあるのです。その典型例がロボットを扱う仕事だと考えています。

RPAの分野ではRPAを扱うことのできる人材のニーズが高まっています。今後は、目の前のタスクをこなすことではなく、いかに減らしていくかが仕事になってくるのです。」

省人化・省力化を行わなければ、人口減少に追いつくことができなくなっている現状をお伝えしましたが、どの業種でも関係なく不足感が強まっているという訳ではありません。

出典:三菱総合研究所

上の表をご覧ください。生産年齢人口が不足していながら、RPAをはじめとするデジタルツールの代替により、2020年から2030年にかけて事務職・生産職の余剰感が強まっていくという予想結果が出ています。

一方で、福田氏が言及していたように、技術革新をリードしていく専門職は変わらず不足することが予想されます。RPAは仕事を代替しますが、人間から奪うわけではありません。RPAエンジニアなど、RPAの登場によって増える仕事も多くあります。加えて上記の理由から、そのニーズは年々高まっています。

今後は目の前にあるタスクをこなすことではなく、減らすことこそが「仕事」へ変化していくのではないでしょうか

DX(デジタルトランスフォーメーション)を行う上で重要なこと

それでは、DXを行う上でどんなことを意識すればいいのでしょうか。

福田氏は「単なるIT化(デジタル改善)に陥らないように注意することが1番大切」と語ります。

福田氏:「目指すべき姿はDXであり、そのために非連続の変化に対応していくという構えをどう作るかが重要になってくると思います。

残念ながら、日本社会、日本の文化はこれを苦手としています。どうしても意見の対立を恐れてしまったり、自分で意見を明確にして物事を変革していくというよりは、今まで積み重ねてきたものを大切にするであったり、上司の指示通りに動くことが良いとされている風潮が残っています。

自分達が何が得意で何が苦手なのかを受け止めた上で、その苦手という峠をどうやって越えていくのかという工夫が求められます。」

福田氏は、DXにおいて掛け算による相乗効果を考えることが大切だと言及します。

上記の画像は、富士通で行われている変革取り組みテーマ例を示したものです。その数は150テーマにも及び、3ヶ月ごとにアップデート・分類/分析・優先順位づけが実施されています。

福田氏:「ちょうど今入社オンボーディングプロセスに取り組んでいるのですが、私が入社した頃といえば、入社日に出社したらまだパソコンの準備が整っていなかった、なんてこともありました。

これは部門を跨いで業務プロセスが繋がっていないことや、ユーザーエクスペリエンス(ここでは入社する側)を起点に業務が組み立てられていないことが原因です。

ここを今改善していて、例えば内諾書が登録されたことを起点として、IT部門はパソコン等の機器の準備に、総務部門はスマートフォンの準備に、本人へのウェルカムメッセージは上司から自動送信、といったように業務プロセスを全部繋げて開始できるという状態を目指しています。

こういった部門横断的なつながりを意識した上で適所にRPAの導入を行うのと、RPAの「導入」を重視して単純に業務を置き換えるのでは最終的な効果やユーザーエクスペリエンスの質にも差が生じます

スライドにあるいろんなテーマは全て個別で並列に存在しているわけではないので、『この部署とこの部署がこういう目線で変革に取り組んでいるのであれば、RPA目線ではこういった取り組みができる』といった提案ができます。掛け算が非常に大事になってきますね。」

上手く対象業務のイメージが湧かない、という方は上記の画像を参考にしてみてはいかがでしょうか。テーマが重なれば今まで思いつかなかった業務の自動化が視野に入ってくるはずです。

DXを成功させたい方に。Robo Runnerのご紹介

いかがだったでしょうか。DXとRPAの関係性や日本が置かれている現状、RPAの役割について理解を深めていただけたでしょうか。

日本の現状を見てみると、DXやRPAの導入は付加価値を狙うものではなく、将来的に無くてはならないものであることがわかりました。

RPAを導入したいけど上手く進められるか不安という方に「Robo Runner」についてご紹介します。「Robo Runner」はRPAツールに関する設計・開発・保守などのあらゆる困りごとをオンラインで解決できるサービスです。

Robo Runnerでは週1回1時間のオンライン面談や平日10時から18時の間の無制限チャットを通して現役エンジニアに直接相談することで効率的なRPA導入を進めることができます。

詳しくはこちらよりお問合せください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です