近年、DX推進を掲げる多くの企業で人材不足やベンター頼みになっているシステムのブラックボックス化、など多くの課題があります。その課題の解決策として注目を浴びているのがPowerPlatformです。PowerPlatformは専門家やエンジニアを介さずに直感的な操作でアプリケーションの開発、業務の自動化を実現する事ができます。
本記事は、PowerPlatformの概要から導入費用、成功事例を紹介し、読者の方が、PowerPlatform導入イメージを持つことができるようになっています。
ぜひ、最後まで御覧ください。
目次
PowerPlatformとは
Microsoft社が提供するデータの収集から分析・予測、自動化までをローコーディングで実現可能なプラットフォームです。またこのプラットフォームは、PowerApps(アプリ開発)・PowerAutomate(プロセス自動化)・PowerBI(データ分析)・PowerVirtualAgent(チャットボットの作成)・PowerPage(Webサイト作成) という5つの製品の総称です。このプラットフォーム上のデータを一括管理するのがDataverseというデータベースです。それぞれの製品の特性を以下で詳しく説明していきます。
PowerApps 【アプリ開発】
ノーコード/ローコードで容易にアプリ開発が可能なプラットフォームです。
PowerAppsで作成できるアプリは「キャンバスアプリ」「モデル駆動型アプリ」「ポータル」の3種類です。以下1つずつ説明していきます。
キャンバスアプリ
キャンバスアプリは名前の通り、白いキャンバスにどのように画面を表示したいかを考えながら、必要な部品を配置していくイメージでアプリを作成することができます。キャンバスアプリはデザイン性に優れており、PCだけではなくスマートフォンやタブレットに最適化されたアプリを作成できます。テンプレートが多数あったり、使い慣れたPowerPointやExcelのような感覚で作業することができたりするのでシステム開発の経験がない方でも開発することができます。
モデル駆動型アプリ
モデル駆動型アプリは、主に管理者向けのアプリです。Dataverse上のテーブル等のモデルを基に作成します。また、PC、スマートフォン、タブレットなどの表示画面に合わせたレイアウトを自動的に切り替えることができます。大量なデータを管理する場合や複雑なプロセスを作りたいときに向いているアプリです。キャンバスアプリより作成難易度は上がりますが複数の機能をまとめてひとつのシステムとして開発ができます。キャンバスアプリは画面を中心に考えて作成するのに対し、モデル駆動型アプリはモデルとなるデータ形式を中心に考えて作成していきます。
ポータル
デフォルトで用意されている機能を用いて、組織内外のユーザーへ公開可能なWebサイトを作成することができます。主に情報発信をする際に利用します。現在も利用可能ですが、進化版であるPowerPageがプレリリースされていることにより、いずれPowerPageのみになると言われています。
PowerAutomate【ワークフローと業務プロセスの自動化】
ノーコード/ローコードで様々な業務の自動化をすることができるツールです。テンプレートが多数用意されているため、ビジネスニーズに合わせて選択することで簡易的・スムーズに自動化処理を作成することが可能です。また、クラウド版(PowerAutomate)とオフラインのデスクトップ版(PowerAutomateDesktop)があります。
PowerAutomate(クラウドフロー)
PowerAutomateはファイルのコピーや移動、通知処理、データ集計、承認事項のプロセスなど、クラウドサービス間の連携業務を自動化することができます。また、自動化できるのはクラウドサービスに限ります。iPaaSという製品群に近いものになります。
PowerAutomateDesktop(デスクトップフロー)
いわゆるRPAと呼ばれるもので端末のデスクトップ上の画面操作を自動化することができます。アクションは400種類以上あり、多様な業務の自動化を可能にします。
PowerAutomateに関する詳しい内容は以下の記事をご参考ください。
また、これらのクラウドフローとデスクトップフローを連携することができます。当初はクラウドフローのみでした。デスクトップフローはあとから追加された機能のため、この2つの橋渡し機能は十分考えて設計されており、連携のための複雑な設定は不要になっています。連携させることでより広範囲の業務を自動化することができます。
PowerBI【データの可視化・分析】
あらゆる社内データを横断的にリアルに可視化・分析する機能です。AI機能もあり、人間の目では気づけない違いや、洞察をかんたんにビジネスの現場に提供することが可能で、スマートフォン、タブレット、PC、等時間や場所問わず利用することが可能です。
PowerVirtualAgent【チャットボットの作成】
ノーコード/ローコードでチャットボットを作成することができます。Teams、Web、LINEなどと連携させることができたり、PowerAutomateと連携してフローを作ることが可能です。
PowerPage【Webサイト構築】
ノーコード/ローコードでWebサイトを作成することができます。
米Microsoft社がPowerPlatformの5つ目の製品として2022年5月に発表しました。これまで、PowerPageはPowerAppsで作れるアプリ「ポータル」としてありましたが、独立商品として追加されました。
PowerPlatform活用メリット
1.プログラミングの知識がなくても必要最低限の学習で利用できる
エンジニアや専門家を雇う必要がなく、日常的にExcelやPowerPointを利用しているユーザーにとっては必要最低限の学習で活用することができます。
2.Microsoftのセキュリティを利用できる
Microsoft社が提供する製品のため、ウイルスによる攻撃などのセキュリティ面を安心して利用することができます。
3.ビジネスニーズを把握している本人が作ることができる
利用する本人が自身の業務上の課題など、ニーズに基づいてアプリを開発することで開発者と利用者のギャップを埋めることができます。
4.システム開発コストの削減ができる
多くの開発費用や開発期間を必要としないためシステム開発にかかるコストを大幅に削減することができます。
5.Dataverseでデータの一元管理ができる
Dataverseで様々なデータを分散せずにPower Platform上の情報を一元管理することができます。
PowerPlatform費用
次に、それぞれの製品の費用をまとめました。また、無料試用版もあるので、現時点で導入を考えている方は試してみるのもいいでしょう。全て2022年9月時点の価格ですので、最新の価格は公式HPからご確認ください。
PowerApps
プラン |
費用(月額) |
サブスクリプションプラン |
【アプリごとのプラン】¥540 (ユーザーごとに1つのアプリを1ヶ月実行できる) 【ユーザーごとのプラン】¥2,170 (1人のユーザーが1ヶ月アプリの作成が無制限に可能) |
PowerAutomate
プラン |
費用(月額) |
サブスクリプションプラン |
【ユーザーごとのライセンス】¥1,630 (PowerAutomateにおいて無制限にフローを作ることができる) ※Desktop(有償)は含まれない 【ユーザーごとのライセンス】¥4,350 (1人のユーザーが1ヶ月アプリの作成が無制限に可能) 【フローごとのライセンス】¥10,860(1フロー) ※最小5フローからの購入なので実質¥554,350 (組織内の無制限ユーザーが、同じフローからDPAを実行可能) |
2021年3月にPowerAutomateDesktopの無償提供が話題になりました。
しかし、PowerAutomateDesktopはPowerAutomateの一機能としての位置づけのためにPowerAutomateDesktopの無償版だけでは思い通りのフローを作成・実行するのは困難だと考えられます。なぜなら、PowerAutomateDesktop無償版はクラウドフローとの連携による自動実行、PowerAutomateとの接続、フローの共有、他サービスとの連携、デスクトップフローの無人実行、サポートがついていないからです。他にもフローの保存先が無償版はOneDrive、有償版はDatavarseなどの違いがあります。
PowerBI
プラン |
費用(月額) |
PowerBIPro |
【ユーザー単位】¥1,090 (Microsoft 365 E5に含まれる) |
PowerBIPremium |
【ユーザーごと】¥2,170 【容量単位】¥543,030 |
無償版もあります。無償版と有償版の大きな違いは共有機能の有無です。また、レポートを共有する場合は双方にPro以上のライセンスが必要です。
PowerVirtualAgent
プラン |
費用(月額) |
PowerVirtual Agent |
【毎月2,000セッション】¥21,740 (Webサイトやその他のチャンネルに高度なチャットボットを導入可能) |
セッションアドオン |
【毎月1,000セッション】¥10,880 (上のPowerVirtualAgentにセッションを追加する) |
PowerPage
現在(2022/09)公式サイトからは価格に関する情報は残念ながら得られませんでした。
現状は、30日間の無料トライアルライセンスのみ使用可能なようです。
これらの価格について担当者に問い合わせたところ、各社の具体的な活用方法や規模を明確に提示すると、具体的なプランを提案してくださるそうです。
PowerPlatform活用事例
これまでPowerPlatformの概要からメリット、価格についてご理解いただけたところでPowerPlatformを活用する企業の事例を見ていきましょう。(Microsoft社公式記事参照)
1.トヨタ
当時PowerPlatformの認知度が低かった中、デジタル変革推進室に所属する永田氏を筆頭に市民開発活動にスピード感を持って取り組み、DX推進に成功しました。
詳しくはこちら
2.日本たばこ産業株式会社(JT)
PowerAppsによるアプリ開発によって従来の業務システムから刷新した事例です。
詳しくはこちら
3.経済産業省
行政手続きのオンラインプラットフォームをPowerPlatformで構築しました。膨大な情報を扱う経済産業省は迅速なシステム開発が困難でした。そこでハイスピードな開発を実現するためにPowerPlatformが採用されました。
詳しくはこちら
まとめ:PowerPlatformを活用しよう
本記事でPowerPlatformについて、網羅的に説明をしました。5つの製品から構成されているPowerPlatformですが、全て導入する必要はありません。まずは無料ライセンスプランで試してみるのも良いでしょう。
ぜひ、PowerPlatformの導入を検討してみてください。
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