業務自動化に欠かせない存在としてRPAという言葉を聞いたことがあるけれど、実際どのようなメリット、デメリットがあるのか分からない…という方は多いのではないでしょうか。本記事では経営者側、従業員側から見たRPAのメリットとデメリット、導入までのステップをご紹介しています。ぜひRPA導入検討にお役立てください。
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業務自動化に欠かせないRPAとは?
そもそもRPAが何なのか曖昧な方のために、意味を確認しておきましょう。
RPAは「Robotic Process Automation」の略称で、ソフトウェアロボットを用いてホワイトカラーの仕事を効率化する業務自動化技術、またはそのための業務自動化ツールやソフトウェアロボットそのものを指します。比較的新しい言葉で、「AI」と「人工知能」のような対応する日本語はありません。
ただしロボットと言ってもいわゆる人型のものではなく、PCやサーバー内で動くソフトウェアのことをいいます。このソフトウェア化されたロボットのことを「デジタルレイバー(Digital labor)」と呼ぶことがあります。
RPAはルール化された定型業務やルーティン業務を速く正確に行うことに長けており、業務効率化だけでなくヒューマンエラー防止にも効果的です。
18世紀後半の産業革命以降、ブルーカラー(職人)が手作業で行っていた業務の機械化により生産性が向上してきました。現代ではホワイトカラーの業務をRPAで自動化することにより、更なる生産性の向上が進んでいます。
実際、様々な企業がRPAの導入を進めています。通信・音楽配信など様々な事業を手がけるKDDIは、商材の発注業務の負荷を軽減するためRPAツールの1つであるUiPathを導入しました。本格導入前の試用期間でも十分な効果を発揮しており、作業時間を17%も削減しました。
このように、RPAはうまく活用すれば強力な業務効率化ツールとなります。本記事では、そんなRPAのメリット・デメリットを整理しています。
参考: https://www.uipath.com/ja/solutions/case-study/kddi
RPA導入の8つのメリット
では、RPAを導入することの主なメリットを経営者・従業員それぞれの立場からご紹介します。
経営者から見たRPAの5つのメリット
業務を効率化できる
人間が作業する以上、ミスが発生することは避けられません。ミスが発生するとフォローアップのために労力が必要となり、他の業務を圧迫してしまうこともあるでしょう。
しかしRPAは単純な業務を速く正確にこなします。そのため、マニュアル化された単純作業をヒューマンエラーなく実施でき、業務の効率を上げられます。
人材を最大限生かせる/人件費の削減になる
単純作業をRPAに任せることで、従業員の業務が軽減され、人手不足の解消や業務の質の向上に繋がります。
また、従業員に余裕が生まれれば他の業務を任せられます。「人にしかできない創造的な業務」に挑戦することもできるでしょう。RPAを導入すれば、従業員が最大限活躍できる場をつくることができます。
ITリテラシーの高い社員が育つきっかけになる
従業員が日常からRPAを利用すると、組織の中にIT関係の経験や知識が蓄えられていき、従業員のITリテラシーの水準が高まります。RPAを導入することは、ITリテラシーの高い人材の育成にも役に立つでしょう。
業務見直しの機会になる
RPAに業務を任せるには、前段階として業務フローを作成する必要があります。業務フロー作成のために業務を細部まで把握することで、これまで無意識に行っていた非効率的な作業や不明瞭な部分を見つけられるでしょう。したがって、RPA導入を検討することで、結果として導入に至らなかったとしても業務自体を見直し、効率化することができます。
事業拡大ができる
RPAを導入することで生じた従業員の余裕は「今まで人手が足りずできなかった業務」に回すこともできます。新規事業に取り掛かりやすくなれば、さらなる事業拡大が見込めるでしょう。
従業員から見たRPAの3つのメリット
定型業務から解放され成果に直結する業務に注力できる
定型業務に追われ、他の「成果に直結する業務」などが後回しになってしまうことは多いでしょう。RPAを導入することで、単純な定型業務による拘束時間が大幅に削減されます。そのため従来より「成果に直結する業務」にゆとりをもって取り組めるようになり、業績向上が期待できます。
ワークライフバランスを整えられる
業務にゆとりが生まれるということは、「残業せずとも業務を完了できるようになる」ことを意味します。RPAの導入により仕事の質が向上するだけでなく、これまで残業で圧迫されていた私生活も充実させられ、ワークライフバランスを整えることができます。
業務改善を迅速に行える(自力で開発できる)
RPAを導入して業務を自動化するには、スクリプトを書いてロボットを構築する必要があります。しかしRPAツールの多くがプログラミングの知識がなくても簡単に操作でき、業務現場で働く人自身がロボットを作成することが可能です。IT担当者に依頼する手間が省けると自動化のスピードが格段に速くなり、必要と感じたらすぐにロボットを用意できるようになります。
RPAの4つのデメリット
RPAにももちろんデメリットがあります。その対応策も含めて整理していきましょう。
セキュリティのリスクがある
RPAツールと社内システムを連携することで、多様な業務を自動化できます。しかしIDやパスワードをロボットと共有する必要があり、漏洩などがないよう管理することが大切です。また、適切な権限管理ができていないと本来システムを操作できない人が操作・実行できてしまうというトラブルにつながりかねません。特に、顧客データや取引データの漏洩は企業の信用に関わるため注意が必要です。
中にはセキュリティに対する取り組みを可視化するために国際規格を取得しているツールがあります。ツール選定の際はID・パスワードの適切な管理、運用ルールの確立、セキュリティが守られているRPAツールを選択するようにしましょう。
コストがかかる
RPAを利用するには、年間更新のツールの利用料(ライセンス料金)がかかります。また、ロボットの構築を外部に委託したり、コンサルティングを利用したりする場合はさらに追加料金が発生します。さらに、一度開発したロボットの保守が必要となるため保守費用も発生します。
もちろん、うまく活用すれば十分に導入の価値があることは確かです。むやみに導入するのではなく、運用コストに見合った使い方をできるのかどうか・どのようなプランで導入するべきかなどをきちんと検討しましょう。
エラーが発生することがある
ロボットが自動で業務を行う以上、エラーが発生して突然停止するリスクがゼロではありません。サーバーダウン、システム障害などのトラブルが発生すると、RPAも同様に使えなくなってしまいます。また、自動化対象のアプリケーションが改修されることで、ロボットが動かなくなることもあります。
トラブル発生時はシステムが回復するまで手作業で業務を行う必要があります。しかしこのようなリスクはRPAに限らず存在するため、ロボットのエラー時を想定した準備をしておきましょう。
業務がブラックボックス化する
ブラックボックスというのは「機能は知っているが、仕組みなどの中身はわからないもの」を指します。ロボットを一度構築すれば半永久的に業務を自動化できるため、誰も作業手順を知らないという事態になる可能性があります。作業手順の見直しやトラブルへの適切な対応のため、自動化した業務でもきちんと手順を把握しておきましょう。
RPAはなぜ人気なのか?
RPAの注目度が近年急激に高まっているのはなぜでしょうか。ただのトレンドに過ぎないのであれば、導入するリスクが高いでしょう。ここでは普及の背景から将来性について解説します。
RPAが普及する2つの背景
RPAの需要が高まっている理由は、主に「少子高齢化による労働力の減少」と「働き方改革の推進」の2つがあります。
少子高齢化による労働力不足
引用: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd101100.html
総務省のデータによると、日本の人口は年々減少しています。この流れは将来にわたって続く見込みで、今後は生産年齢人口の減少による労働力不足がさらに深刻化していくでしょう。人材不足の解消にあたり、RPAは非常に大きな助けとなります。
働き方改革・DXの推進
長時間労働の解消や生産性向上を掲げる働き方改革の推進にあたり、業務の効率化は大きな課題となっています。RPAを用いれば従業員の負担を軽減でき、働き方を改善できることが普及の主な理由の1つです。
RPAの将来的な見込み
2020年に行われた矢野経済研究所のRPA市場に関する調査によると、2019年度から2020年度にかけてRPA関連サービス・製品の売上合計額は大幅に増加しています。さらに、2023年度の同売上合計額は2019年度の3倍近くになると予測されています。
普及の背景と合わせて考えても、RPAは単なる一過性のトレンドではなく、今後さらに人気が高まるものと考えられます。
参考: https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2599
RPAとその他ツール(AIやVBAなど)との違い
「業務自動化」と言うと、RPA以外にも様々なツールを思い浮かべるでしょう。ここでは頻繁に比べられるシステム・アプリケーション5選を比較しています。
表記 |
正式名称 |
特徴 |
RPA |
Robotic Process Automation |
汎用性に優れ、ルールベースの自動化に特化したシステム |
RDA |
Robotic Desktop Automation |
自動化の対象がデスクトップ作業に限られている、RPAに似たシステム |
RBA |
Run Book Automation |
自動化の対象がIT運用管理プロセスに絞られている、RPAに似たシステム |
Excelマクロ(VBA) |
Visual Basic for Applications |
Officeアプリケーション内の作業に対応している、コンピューター操作自動化プログラム |
AI |
Artificial Intelligence(人工知能) |
機械学習により自ら判断ができ、自立して稼働するソフトウェア |
bot |
Robot(自動発言システム、クローラ) |
SNS・Webページなどでコミュニケーションを取るための、判断能力を持たないプログラム |
似た部分がありますが、用途や機能が異なります。その中でも、RPAは特に汎用性・機能性に優れたツールです。
RPAを導入するには?
では、RPAを実際に導入するには何をすれば良いのでしょうか。自動化に適した業務の特徴と、導入前にしておくことをご紹介します。
自動化に適した業務の3つの特徴
RPAで業務を自動化すると言っても、どの業務でも良いわけではありません。むやみに自動化してもかえって業務の効率を下げてしまう可能性があります。自動化に適した業務の特徴は以下の3つにまとめられます。
簡単で、PCで作業する業務
Excelから業務システムへのデータ入力など、単純なPCでの作業は自動化に向いています。しかしデータ入力でも、複雑で人の判断が必要なものは適さないため注意が必要です。
平準化されている業務
フローが確立されている業務はRPAに適しています。反対に人や状況によって内容が変化する業務は自動化が難しいため、おすすめできません。
反復が多い業務
毎日・毎週など、定期的に繰り返して行う業務は自動化に向いています。請求書作成メールや注文書のシステム入力など、いわゆる「単純作業」と呼ばれる業務は自動化に最適です。ただし、毎回対応が異なりルーティン化できない業務は自動化しない方がよいでしょう。
導入前にしておくべき3つのこと
課題や導入の目的を明確にする(優先順位も決める)
RPAを導入する目的が明確でないと、業務をむやみに自動化してしまい、かえって全体の効率が悪くなる可能性があります。課題を丁寧に洗い出し、優先順位をつけて自動化を進めることで、RPAの効果を最大化しましょう。
導入する製品を選定する
ツールによって使用感や必要なスキルが異なります。人材を考慮した上で、どのツールが適しているか検討しましょう。また「サポート体制が整っているか」「ユーザー間で情報交換できるコミュニティはあるか」なども考慮に入れると良いでしょう。
多くのツールは導入前に無料トライアルサービスを提供しています。上手に活用して最適なツールを見つけましょう。
導入後の運用方法を決めておく(トラブル対応など)
誰でも運用ができるよう、部署や企業全体でルールを決める必要があります。トラブル発生時の対処法もあらかじめ考えておきましょう。
また、導入後もロボットの定期的なメンテナンスを行う必要があるため、管理体制をきちんと確立しておきましょう。
RPA導入へ一歩踏み出そう
RPAのメリット・デメリットを整理できたでしょうか。もちろんRPAにも注意するべき点はありますが、導入することのメリットの方がはるかに大きいです。
ぜひRPAを活用して、業務の効率を高めましょう。
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