【初中級者向け】RPA開発における「人に優しい設計」とは!?(後編)

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前編では、高いパフォーマンスのロボをいかに作るかについて教えていただきました。

後編では、RPA開発初心者から中級者にレベルアップするために必要なノウハウとして、「人に優しい設計」についてメットライフ生命の宮 知秀さんに引き続き教えていただきます。

 

宮 知秀(みや ともひで)さんとは?

メットライフ生命で、ロボティクス・エンジニアとしてRPA開発に従事。これまでにソフトバンク・ロボティクスのカスタマーサクセスの立ち上げや、生保系SIerとして生命保険会社の基幹システム開発に携わる。

 

前編をまだ読んでいない方はこちら

人に優しい設計に

RPA Communityイベントに登壇された際の宮知秀さん

 

ーー話は変わりますが、ロボのユーザーエクスペリエンスというとどういうことでしょうか?

そうですね。人に配慮した動作をするというところはすごく意識しています。最近ウケたのは、ロボが業務の完了報告するメールの文章に、「お疲れ様です、ロボです。」というのを入れたやつですね(笑)

 

ーー”お疲れ様です?”なんか人間みたいですね!

これは割と好評ですね。

人に優しい設計というか、なるべくユーザーの感情を汲み取ってあげたいなと思いますね。この前ロボが動いているところを現場の人に見てもらったら、「けなげ」と言われて。ロボがけなげなんだと思って、そういうのも人間味があっていいなと思います。私たち開発者は、単にExcelからデータを読み込んで、他のシステムに入力する論理的な動作としか捉えないんですが、人によって見え方は全然違うんですね。

 

ーー他に何か人に優しい設計にしたロボはあるのでしょうか?

今はメールでの工夫が結構多いです。ユーザーとロボの一番の接点なので。

ロボがエラーレポートをメールする際に、「お疲れ様ですロボです。申し訳ありません。処理に失敗しました!」みたいなメッセージを送ったり。

ユーザーの誕生日におめでとうメールを送るのも密かに画策しています(笑)

あとは人に寄り添うという観点でやっているのは、あんまりユーザーが使っている元々のExcelとかマクロを壊しにかからないようにはしていて。

要は人が楽をするために作ってきたものにロボを合わせていくので、そこをロボの仕様に合わせすぎると今度は人が使いづらくなってしまう可能性があります。それだと本末転倒で、ロボが多少複雑な動きをするとしても、そこは人の利便性を優先するようにしていますね。

 

ーーなるほど。宮さんがロボに人間味を持たせるのはどうしてなのでしょうか?

RPA自体がボトムアップでアプローチすることが多く、現場の担当者がロボと直接やり取りをします。その時あまりにも機械的なものに触れ続けさせたくないな、と個人的には思っています。

RPAは導入しやすいですが、その分だけ撤退もしやすいものだと思っていて、ただ期待値はとても高いシステムだと思うんです。なんとなくで「ロボつまらんわ」って言われたり、「ロボそんなに役たたんわ」って言われたらすぐに撤退できちゃう気がしてまして。ただなんとなくでそう言われてしまうのは僕も困ると思っているんですよね。

なので、ロボって期待されてる程すごいものでもなくて、人のように失敗するし人のように間違いを犯しながらせっせと働く姿を見てもらって、少しずつ愛着を持ってもらったり、さっき言った「けなげ」みたいな感情を持ってもらうのも重要なのかなと思っています。

 

古いシステムに触るのはロボだけの世界に

宮さんの過去の登壇資料

ーー今、興味を持っている分野を教えて下さい。

引き続きユーザーエクスペリエンス、特にインターフェイスについてですね。今ってエクセルのレポート、メール、チャットが人とのインターフェイスだと思うのですが、もうちょっと相互な感じが出せればいいなと思っています。何か言えばすぐ返ってくるLINEの友達やSiriのように、パーソナルアシスタントのレベルでやり取りができたらいいなと思っていて、チャットボットは興味持って調べていますね。

 

ーー確かにそこのインターフェイスが変わるとかなり愛着が出てきそうですよね。

インターフェイスはすごく大事にしたいなと思っていますね。その延長線上に古いシステムはロボだけが使うみたいな世界観を作れないかなと思っています。

少し前にWeb業界でプログレッシブ・エンハンスメントという考え方が提唱されました。これはコアとなる部分は最新の技術を保って他の部分は上手くやりくりして最新に追いつこうとする戦略です。

これをロボでなら実現できるんじゃないかと思っていて、要はコアが人で他の部分というのが黒い画面みたいな古いもののことです。実は黒い画面の方が精度が高いし、積み上げられてきている分、ロボで操作すると最新のアプリケーションよりも安定してます。

ロボが全部やれるのであれば、昔のシステムを触るのはロボだけで良くて、ユーザーはWindows のバージョンを上げたとしても影響が出なくなります。

そういう世界観を作れたら人はどんどん先に進むし、取り残されたシステム群はロボが助けてくれると。

この時セキュリティが大事になりますが、それこそ非機能要件を大事に、ですね。

ーー契約データを入力したりとか、契約を参照したりするときに黒い画面に触らなければならないんですか?

そうです。保険のシステムはデータを保持する期間が20年とかのレベルではなく、人が生きている間ずっと保持しないといけないので100年持つこともあるのです。100年データを保持するとなったら、画面の綺麗さ…とか言っていられないですよね。とにかくデータを表示してその精度がいかに高いかというところがポイントになります。

金融系のシステムとしては、ストレージの革新が必要だと思ってますが、一方で世界のITの進歩は常に3-5年くらいでガラッと変わってしまうので、長期間同じ状態を保つことにマッチしていないと考えています。

ーー最後にどうやったら良いロボが作れますか。

今回作ったロボがすごくよくできて、圧倒的にシステムの処理時間も短いしパフォーマンスも高い。業務整理も同時に行ってすごく奇麗なものが出来ました。

そこが出来た理由は、その業務の領域に対してすごく想いを持っている方がいて、その人がこの業務はこのような流れの方が良いんじゃないかということを熱く語ったんですよ。個人的には最初この業務の一部分に対して強い想いを持っている人が世の中にいるんだ!という驚きがあったのですが、結果的にこういった業務に想いを持った方が成功要因であったと考えています。ロボの開発ではこういった想いを持った方にスポットライトが当たるので、その点とても良いなと思います。

まとめ

パフォーマンス向上や、人に優しい設計など、非機能に関するこだわりのポイントを語ってくれた宮さん。

人に優しい設計パートでは、遊び心も含めて楽しそうにロボ開発をされている姿が印象的でした。

今後も登壇イベント等で宮さんのこだわりポイントが聞けるのが楽しみです!

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