多くのRPA導入事例が紹介されていますが、それらの多くは既存の定型業務をロボ化して作業時間を削減していくものが中心だと思います。
そのため、SI企業などが実施しているプロジェクトの作業やプロジェクトマネジメントに関する作業においてRPAを活用したという事例は多く紹介されていないように感じます。
そこで当記事では筆者が実際に行ったプロジェクトマネジメントでのRPA活用について紹介します。
プロジェクトマネジメント現場でのある課題
近年、プロジェクトマネジメントに関するツールは発展を繰り返し、十分に現場で活用ができるレベルになり、便利になってきたと言えます。しかし、これらのツールをプロジェクト関係者全員で同様に使うことができないケースも以下のような理由で存在します。
・ツールにアクセスできない関係者がいる(特に上位者など)
・ベンダーなどとの作業でセキュリティの問題でツールを共有できない
・会社規定のフォーマットにまとめる必要がある
このようにツールを使っていたとしてもプロジェクトマネジメントにおいては様々な事情で定型的な手作業等が発生することがあります。
PMO作業は2種類に分類される
PMOとはプロジェクトマネジメントオフィスの略で、プロジェクトマネージャーを支援し、プロジェクトを正しい方向に導くことをミッションとしています。
そのPMOの作業は、
- いわゆる情報収集、集計、報告書作成などの定型作業
- プロジェクトメンバーとのコミュニケーションを中心とした非定型作業
の上記2種類に基本的には分類されます。
プロジェクトマネジメントは7割以上の時間を後者のコミュニケーションを中心として非定型作業に充てることが大事だと言われることもあります。しかし、時間の問題もあり、前者の定型作業にもそれなりの稼働を割かなくてはいけないのが現実となっています。
PMO作業におけるロボット活用例
PMO作業における定型作業に割く時間を減らすために、実際に筆者が実施したPMO作業のRPA化事例について紹介します。
チケットの集計とリマインド
筆者がいたプロジェクトでは課題等についてはWebシステムを用いたチケット管理をしており、未解決チケットのリマインドをPMO作業としてする必要がありました。
利用していたWebシステム自体にレポート機能はあったものの十分な個別カスタマイズができなかったため、手動にてチケット情報をダウンロードし、集計し、メールで共有を行っていました。
これらの作業について下図のようにRPAに作業を代替させ、さらに手動作業時は時間都合でできていなかった集計結果のグラフ化についてもあわせてRPA化しました。
レビューコメントの集計
設計書等のドキュメントレビューの結果は個票を作成しWebシステム上のチケットに添付しレビューのステータスと合わせて管理していました。PMO作業として、レビューにおける指摘数・指摘分類の傾向について分析をするために各個票を収集を行っていました。
これらの作業について、RPAを活用して各レビューのチケットに添付された個票のダウンロード、一覧への転記し,レポートの作成を行えるようにしました(現時点では分析作業はRPAではなく人で実施しているが、AI等を活用し簡易分析も今後はできるようにしていきたい)
まとめ
PMO作業のいくつかの定型業務についてRPA化を行い自動化を行いました。このことによりPMOチームはRPA導入前よりプロジェクトを良い方向にするための(本来の)作業に時間を使えるようになりました。
業務改革等の目的として大規模でロボットを導入すると同時に、このように個人に近い動きでロボットをメンバーのように扱い作業を代替してもらう活動をしていくことが今後はより重要になってくるのではないかと筆者は考えます。
当記事が現場で作業に追われている誰かの一助になれば幸いです。
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