AIによる自動応答を活かしたチャットサービスは現在、カスタマーサポートなど多様なシーンでの導入が進み、業務の効率化や利用ユーザーの利便性向上を実現しています。
対話型AIのなかでも比較的注目を集めているものがOpenAI社のChatGPTですが、実はまだまだ類似したAIサービスが提供されておりそれぞれで特徴が違うため、細かく把握しておけばビジネスや日常生活など、シーンや用途、目的に応じて選びながら使うことができます。
この記事では、ChatGPTをはじめとした代表的な対話型AIについて解説します。対話型AIの概要やその他のAIとの違いについても解説しているので、AI知識の向上にお役立てください。
対話型AIとは
対話型AIとは、人間の言葉を自然な形で理解し、それに対して適切に応答できるAIのことです。ユーザーがプロンプト（指示文）を入力すると、その文脈を理解して自然な言語で適切な情報を提供します。
近年の技術発展によってその精度はさらに向上しており、今では日常生活だけでなく多様なビジネスシーンにも浸透しています。
対話型AIの種類
対話型AIには主に下記2つの種類に区分されます。
チャットボット
チャットボットはテキストベースでユーザーと対話できるAIです。Webサイト上などで質問することで、あらゆる情報を抽出できます。ChatGPTやGoogleのGeminiはチャットボットに該当し、複雑なプロンプトも理解した上で適切な情報を提供してくれます。いつでもどこからでも使用できるため、多くの人に浸透している代表的なAIといえるでしょう。
関連記事：AIチャットとは？活用方法やメリット・デメリット、使用上の注意点について解説
音声アシスタント
音声アシスタントはユーザーの音声を通じて対話を行うAIです。スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーといったデバイスに搭載されていることが多く、音声によって情報の検索やデバイス操作、アプリケーションの起動などが行えます。
SiriやAmazon Alexaは音声アシスタントに該当し、手が離せないときや端末を手に取って操作できないときにタスクを完了できる利便性の高さが特徴です。
対話型AIとその他の生成AIとの違い
対話型AI以外にも生成AIは存在しますが、どのような違いがあるのでしょうか。ここからは代表的な違いについて解説します。
従来の生成AIとの違い
従来の生成AIは、テキストや画像といった特定のコンテンツを生成する能力に長けています。例えば画像生成AIであればテキストベースのプロンプトから画像を生成できますが、対話型AIはこの能力を継承しつつもよりユーザーの意図を文脈から理解し、その上で理想的な画像生成を実現します。
単にプロンプトに則した画像生成を行う従来の生成AIとは異なるため、クリエイティブな業務に効率化や品質向上、コスト削減などのメリットにも期待できます。
自動音声応答（IVR）との違い
自動音声応答（IVR）は、カスタマーセンターなど電話を使用するサービスに用いられるシステムで、事前に決めた選択肢に基づきユーザーの目的に沿って適切に案内する特徴があります。一方、対話型AIは、自動音声応答よりも自然な言葉を理解できる能力に長けているため、自由な対話のなかから解決すべき問題や多様な話題に対応できる違いがあります。
代表的な対話型AI一覧
対話型AIは、人間のように自然な言葉でユーザーとコミュニケーションを取りながら質問への応答や文章作成、情報提供する技術です。ここからは、10種類の代表的な対話型AIについて解説します。
1.ChatGPT
「ChatGPT」はOpenAIが開発した知名度・利用度の高い対話型AIで、ユーザからのプロンプトに応じて質問への応答や情報の提供、文章作成を可能にします。大規模言語モデルを基盤とすることから自然で人間らしい会話能力に対応しているほか、幅広いタスクをこなせる特徴があります。そのため、汎用性に優れ日常生活からビジネスシーンなどあらゆる分野で活用されています。
参考：ChatGPT
関連記事：ChatGPTは何ができる？できないことや活用のコツ、注意点を解説
2.Gemini
「Gemini」はGoogleが開発した大規模言語モデルを基盤とした対話型AIです。テキストだけでなく、画像や音声、動画といった多様な形式の情報を理解し、情報を生成する能力に長けています。この特徴によって現実世界にあるさまざまなタスクを解決へとつなげられ、文章や動画の要約なども実現可能です。
3.Copilot
「Copilot」はMicrosoftが提供する生成AIアシスタントで、Microsoft 365のようにさまざまなMicrosoft製品・サービスに統合されています。WordやExcel、PowerPointといったOfficeソフト内でAI機能を利用できるため、業務の効率化や生産性向上に期待できます。Officeソフトを多用するビジネスパーソンにとっては強力なサポートにつながるツールのひとつです。
関連記事：Copilotは何ができる？特徴や連携できるツール、料金や活用のコツを解説
4.AIチャットくん
「AIチャットくん」はコミュニケーションアプリのひとつである「LINE」で利用できる対話型AIです。LINEというスマートフォンユーザーには身近なプラットフォームで手軽にAIと対話できるため、日常にあるさまざまな疑問や気になる話題などを気軽に質問できる特徴があります。日本語での自然な会話に特化しており、気軽にAIとコミュニケーションを取りたい方におすすめです。
参考：AIチャットくん ｜ 話題のChatGPTがLINEで使える！
5.Perplexity AI
「Perplexity AI」は質問への応答に限らず、その情報源を明示する特徴を持つ対話型AIツールです。この特徴によってユーザーは抽出された内容の信頼性を確認しやすくなり、正確性のある情報をピックアップして取り込むことができます。アナリストのようにさまざまな情報を収集し、業務に役立てたい方におすすめです。
参考：Perplexity
6.Notion AI
「Notion AI」はNotion上でのドキュメント作成や議事録の要約、アイデアの整理などが行える対話型AIです。既存の業務フローを中断せずにコンテンツの作成・整理ができるため、プロジェクト管理や情報共有を重視する部署・個人に有効です。
参考：Notion AI
7.ChatSonic
「ChatSonic」はWritesonicが提供する、最新情報へのアクセスと画像生成機能を兼ね揃えた対話型AIです。Google検索のデータを用いてリアルタイムの情報に基づいた回答を生成できるため、最新の話題やトレンドに関する質問も可能です。
テキストから画像を生成できる特徴もあるため、ひとつのプラットフォームでさまざまなコンテンツを生成したい方におすすめです。
参考：ChatSonic
8.YouChat
「YouChat」はYou.comと呼ばれる検索エンジンの一部として提供される対話型AIです。You.comのトップページにキーワードを入力すると関連結果とともにYouChatによる回答が表示され、気になる部分があれば回答欄から対話することも可能です。
最新のニュースや情報を常に引用する特徴から時事的な問題に強いため、特に信頼性や正確性を要するビジネスシーンでは安心して多用できるツールのひとつです。
参考：You.com
9.Anthropic Claude
「Anthropic Claude」はAnthropicが開発したAIアシスタントで、安全性と倫理に強い特徴があります。有害なコンテンツ生成を防ぐ独自の仕組みを指す「憲法AI」を搭載しているため、信頼性が高く責任のあるAI利用を可能にします。長文の読解をはじめ複雑なプロンプトにも対応できるので、企業での利用や倫理を重んじるシーンでの活用が見込まれています。
参考：ChatGPTよりも安全を掲げる”憲法AI”の可能性 AIをトレーニングし安全･無害･誠実な出力を行う | インターネット | 東洋経済オンライン
10.Siri
「Siri」はApple製品に標準搭載された音声アシスタントです。iPhoneやiPadといったApple製品に統合されており、音声入力によってデバイス操作や情報の検索、アプリの起動などを可能にします。メッセージ送信や天気予報の確認、アラーム設定などにも対応しているため、日常にある軽微なデバイス操作をハンズフリーで実行できる特徴があります。
対話型AIの選び方
ビジネスシーンや日常生活など多様な状況で対話型AIを使用するにあたって、ここからは選び方について解説します。
性能の高さ
対話型AIを使用する上では性能の高さについて確認しましょう。性能が高いほど理想的な回答を得やすく、利便性や使用上の満足度などの向上につながります。
例えばプロンプトに含まれる複雑な言葉や文章について正確に意味を汲み取る能力を指す「自然言語理解」が高ければ、1度の質問で知りたいことを知ることができるでしょう。また、プロンプトに対して誤りがなく的を射た回答が抽出されれば、多様なシーンでの活用も見込めます。
処理速度が速ければ知りたい情報を速やかに取得できることにもつながり、情報収集の効率化、業務時間の削減にも期待できるでしょう。どのようなシーン・目的で対話型AIを使用するかを明らかにすることで自身の求める性能が判断しやすくなります。
対応チャネル
対話型AIをどこで使用するかによって利便性に対する満足度も異なります。例えばチャットボットであればWebサイトのカスタマーサポートやECサイトのサポートに利用でき、音声アシスタントであれば社内業務の問い合わせ窓口に有効です。
対話型AIにも種類があるため、どのようなチャネルを使えば利便性向上を図れるかを考慮することが大切です。
セキュリティ・データの取り扱い
対話型AIに対して顧客情報や機密情報を提供する場合、セキュリティとデータの取り扱いについて考えることも不可欠です。仮に提供した情報を学習データとして使用するAIであれば、情報が第三者に漏洩する恐れがあります。そのため、個人情報や顧客情報、機密情報を扱う際には、入力データが学習に使用されないか必ず確認することが重要です。
AIを安心して活用するためには、利用者自身のリテラシー強化も欠かせません。どのような意識下でAIを利用すべきなのかを理解するためにも、個人や企業従業員のリテラシー向上は積極的に図ることをおすすめします。
関連記事：AIリテラシーの概要や注目される理由とは？向上するためのポイントやおすすめの資格も解説
対話型AIを社内導入！意識したい5つのステップ
社内業務の効率化を目指すべく対話型AIの導入を検討する際は、以下5つのステップを参考にしてください。
1.目標を決める
対話型AIを社内導入する際は、どのようなことを成し遂げたいのか明確な目標を決めることが大切です。目標があいまいなまま、流行や気になるといった理由だけで導入してしまえば、社内にどのようなメリットが生まれ、どこが効率化されたのかが判断できません。
まずは対話型AIによって変化させたい自社課題を洗い出しましょう。例えば社内問い合わせの対応時間が必要以上に手間が掛かることが課題であれば、現在の平均対応時間やどの作業フローに時間が多く掛かっているかを数字を使いメモしましょう。細かなメモによって対話型AI導入後の効果測定において具体的な変化を数値で判断できます。
2.既存システムを洗い出す
次に社内に点在する既存システムの洗い出しを行います。顧客管理システムや社内データベース、問い合わせ管理システムが既に導入されている場合は、AI連携が可能であるかを調べましょう。
なお、既存システムのブラックボックス化によっては連携の可否が判断できないこともあるでしょう。そのようなときのためにも、デジタル人材の育成・確保を同時進行で進めることで万が一のトラブルにも迅速に対応できます。
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3.予算・リソースを決める
対話型AIを導入する場合、初期費用や保守運用に関する人件費など、さまざまな費用が掛かります。導入に際してはツール利用料をはじめ、カスタマイズ費用、外部リソースに任せるのであれば外注費用など、多様な視点から掛かりうる費用を洗い出し、予算を策定しましょう。
また、AIツールの導入にあたっては、既存従業員のなかでもデジタル知識に精通した従業員をピックアップして導入から保守運用までを一貫して任せる方法と、外部リソースに一任する方法から選ぶことができます。従業員でのカバーを検討する際は、既存業務との兼任なのか、兼任であれば時間リソースに問題はないかなど、従業員の状況を考慮した導入計画を立てましょう。
4.実装
現実的な導入計画が策定された後は実装に移ります。いきなり全社に展開すると各現場が混乱し、業務トラブルに発展する恐れがあるため、まずはスモールスタートではじめましょう。トライアンドエラーによってAIにおける課題解決につながったあとは、少しずつ社内展開し醸成を図りましょう。
5.効果測定・改善を繰り返す
対話型AIの実装から一定期間が経過した後は、効果測定を実施しましょう。数字を使うことで対話型AIを導入する前と導入後でどのような変化がみられたのかを細部にわたって判断できます。
対話型AIを導入後、課題解決ができたからといって終わりではありません。AIは常に進化を続け、能力が日々向上しています。ひと月前は対応できなかった業務も、今では対応できるようになっているケースもあります。対話型AIを導入後は対応機能などを細かくチェックし、企業の将来的な成長のために役立てましょう。
関連記事：業務効率化に成功した10社の企業事例｜メリットや成功させるコツとは
まとめ
日々進化を続けるAIに多様な機能を搭載できるようになったことで、ChatGPTをはじめとする対話型AIという汎用性の高いツールが誕生しています。利用シーンに合わせて使い分けられる特徴から、さまざまなシーンで利便性や顧客体験の向上を実現させています。
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