業務改善の注目度は年々上昇し、様々なツールや手段が登場しています。多岐に渡るプロセスの中で何から手をつけていいのかわからない、どこに原因、伸び代があるのかわからないという方にオススメなのが「ビジネスプロセス管理」を行うことです。
ビジネスプロセス管理を行うことで、段階的に業務改善を行う環境が整い、プロセスの最適化を目指すことが出来ます。プロセスが最適化されれば、オペレーションコストが削減されたり、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになったりします。
今まで課題の特定に取り組んだ経験がないのであれば、本記事を通してビジネスプロセス管理への理解を深めてみてはいかがでしょうか。
目次
ビジネスプロセス管理(BPM)とは
ビジネスプロセス管理を英語に直すとBusiness Process Management(略称:BPM)、経営目標を実現するために一連の業務を工程ごとに分解し、最適化に向かって継続的にアプローチするマネジメントの手法のことです。
この手法を取ることで今まで見えていなかった業務工程を可視化し課題が浮き彫りになったり、部署間の壁を取り除き、連携をスムーズにしたりすることが可能になり、業務効率化を着実に進めることが出来ます。
しかしながら、BPMとは先ほど述べた通り継続的な手法であり即効薬ではありません。BPMに含まれる可視化やシステムの構築を全て手作業で行えばかえって業務の工数が増えてしまい逆効果になりかねません。
このような場合に有効活用したいのが、今回ご紹介するBPMツールです。
ツールによって機能の差はあるものの、BPMツールを活用することで、各工程の洗い出し、業務の可視化、システム構築、タスク進捗状況の把握などを行い効率化を図ることが出来ます。
BPMツールとは
このように最適化を目指すなら取り組むべきBPMですが、上で述べたように継続的な手法であり、特効薬ではありません。専用のツールを用いずともBPMを行うことは可能ですが、これに含まれる可視化やシステム構築を全て手作業、人力で行うのであれば、かえって業務の工数が増えてしまい逆効果を招く可能性があります。
こういった際に活用したいのがBPMツールです。
BPMツールとはビジネスプロセス管理を行い、業務の効率化を図るツールを指します。より良い状態を目指してPDCAサイクルを回していくための機能を搭載しており、各工程の洗い出し、業務の可視化、システム構築、タスク進捗状況の把握などを行います。
BPMツールの3つの機能
ツールによって多少の違いはありますが、BPMツールを使用することで主に3つの機能を利用することができます。それぞれの機能を説明していきます。
モデリング機能
BPMの第一段階として「可視化」と「再定義」を行う機能です。現在の業務プロセスを分析してGUI(グラフィカルインターフェース)によって可視化し、改善された業務プロセスを設計します。サブプロセスを用意しておけば、可視化された業務プロセスの組み替え、変更を簡単に行えます。
シュミレーション機能
モデリング機能によって設計、変更された業務プロセスを実行した場合の結果を「検証」する機能です。改善後の業務プロセスがどのように動作するかを予測し、問題がないか、得られる効果は何かを確認する段階です。
モニタリング機能
新たな業務プロセスの実行状況を「監視」する機能です。業務プロセスのログを集計したり、問題なく稼働しているか、どのような影響を及ぼしたかを確認します。
この3つの機能はPDCAサイクルに当てはめることができ、モニタリング機能で新たに問題点を発見すれば再度分析して可視化、新たな業務プロセスを設計といったようにBPMツールの力を借りて理想の業務プロセスを構築することが可能です。冒頭で継続的を強調したことはこれに起因しており、BPMはPDCAのフェーズに乗っ取って循環を繰り返していく手法なのです。
BPMツールとワークフローシステムの違い
BPMツール導入を検討するにあたり、いずれ浮かび上がる疑問を本記事では先に解消しておきたいと思います。
その疑問とは「BPMツールとワークフローシステムの違いは何?」というものです。
どちらも業務の効率化を目的としている為、BPMツールやワークフローシステムのイメージがはっきりしないうちは「結局どういった違いがあるの?」や「自分の求めているものは一体どちらなの?」といった疑問が付きまといます。
この記事は「BPMツールが気になっているけど名前以外分からない」という方を対象としているので、まずは「規模の違い」を抑えて頂きたいと思います。
ワークフローシステムもBPMツールと同じく業務を効率化するツールであり、この点は共通していますが、一方でワークフローシステムはBPMツールと違い「申請業務」に特化していることが特徴です。
組織で働く以上、様々な過程において「申請→承認→決済」という申請業務が発生し、そこには「申請書類の管理」「決済まで時間がかかる」「申請を行ってからの進歩状況が不明瞭」といった幾つもの課題が存在します。
「一連の申請業務を書類ではなくシステム上で行うことでこれらの煩雑さから解放されよう」という目的で作られたものがワークフローシステムです。
それに対して申請業務といったある特定の業務を効率化するのではなく、業務全体の課題を発見し、可視化、改善を重ねていくという機能を持っているのがBPMツールです。上で紹介したBPMツールの3つの機能は独自の機能であり、普通ワークフローシステムには搭載されていません。
あなたが効率化したい業務が申請業務であれば、最適解はBPMツールではなくワークフローシステムの可能性があります。
BPMツール導入のメリット
BPMツールを導入することでPDCAサイクルを上手く回し、効率的にビジネスプロセス管理を行うことができると理解していただけたと思います。
では、ビジネスプロセス管理を適切に行った先にはどんなメリットがあるのでしょうか。
業務構造の可視化
ビジネスプロセス管理の1番のメリットは「業務プロセスの可視化」です。組織が大きくなればなるほど、他の人がどの様な業務を行っているのか、進捗状況はどのようになっているのか把握することが困難になります。
こういった状況がBPMツールの導入により可視化され、従業員間で業務内容や進捗を共有することにより、お互いがフォローし合えるような環境が形成されます。視覚的に表された業務構造は人員配置の工夫以外にも、トラブルの早期発見、経営戦略にも役立てることができます。
環境変化への適応
経済の変化や方針の転換を受けてビジネス環境は刻一刻と変化していくものです。
BPMツールでは流れの中で業務プロセスの追加・再設定が可能なことに加え、既に管理されている業務プロセスにおける変更の影響を特定することが出来ます。そのためビジネス環境が導入当初と変わってしまっても柔軟に対応することができ、変化に強い組織に導きます。
そこに重点を置く場合は導入時にBPMツールの中でも業務プロセスへの変更対応に優れているツールを選ぶことも有効です。
ツール選択の際の留意点
次にBPMツールを選択する際にチェックすべきポイントを紹介します。現在様々なBPMツールが提供されており、一概にどれがいいかを示すことは難しくなっています。以下のポイントに留意して自社のニーズに一致しているツールを選択してみてください。
価格及び機能
BPMツールを導入することでどれだけのコスト削減が見込めるか、それに見合った価格なのか、導入前に計算しておきましょう。
高機能になればなるほど価格は上がります。どの機能を使いたくてBPMツールを導入するのかを書き出しておき、どこまで払う価値があるか、どこまで妥協するか線引きを明確にしましょう。
操作性
BPMツールを扱う可能性のある社員を想定します。業務プロセスの管理、改善を行うBPMツールはITリテラシーの高いエンジニアだけでなく一般社員も使用します。
導入後、社内に上手く定着させるために、多くの社員が問題なく利用できる操作性かどうかよく調べ、確認しておきましょう。
提供形態
BPMツールにも「オンプレミス型」と「クラウド型」が存在します。他のシステムと同じく、導入までの時間やコスト、セキュリティの観点でどちらにもメリット・デメリットが存在します。自社のニーズにあった提供形態を選択しましょう。
柔軟性
BPM及びBPMツールのメリットとして「環境変化への適応」を挙げました。ツールを選択する際も、業務プロセスの変更に対して柔軟に対応できるツールかどうかを見極めておきましょう。
既存システムと連携可能か、変更対応にかかるコストはどのようなものか、反映にかかる時間はどれほどか、などの項目を導入前に確認し、ツール選びの指標の1つにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。BPMツールとワークフローシステムの違い、導入メリットや選定のポイントを抑えて頂けましたか?これらのポイントを踏まえて、あなたの会社が最適なBPMツールに巡り合い、業務効率化を達成されることを願っています。
BPMツール以外にもRPAをはじめ沢山の効率化ツールが存在します。興味のある方は以下のリンクより理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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