生産年齢人口が減少する中で、”業務効率化をどのように推進していくか”ということが昨今の企業が抱える重要な課題となっています。このような現代において、RPAと共に注目を浴びる業務効率化ツールがAI-OCRです。導入が進むのはいまや金融業界だけではありません。「ふるさと納税や確定申告などの紙申請書の入力業務を90%自動化」を謳う、デジタル化のイメージに遠いであろう自治体向けのAI-OCRが登場するなど、身近なものになりつつあります。
今回は、そんなAI-OCRの中で請求書のようにレイアウトが異なる文書の処理に圧倒的に強いといわれるABBYY FlexiCaptureについて、特徴や魅力・価格の観点から詳しく解説します!この製品の一つであるABBYY FlexiCapture for Invoicesは、日本語の請求書に対応したバージョンが2020年9月1日よりリリースされるなど、(参考請求書処理の自動化を実現する 「ABBYY FlexiCapture for Invoices」が日本語の請求書対応が可能になったというニュース)今後ますます日本でも広がると予想されるので、要チェックです!
目次
AI-OCRとは?
「AI-OCR」とは、簡単にいうと「AIを使って画像から文字を高精度で抽出する技術」のことです。画像データから文字を抽出しテキストデータへと変換する光学文字認識技術である「OCR(Optical Character Recognition/Reader)」と人間の知的機能を人工的に再現する「AI技術」の組み合わせを表しています。この「AI-OCR」は、紙の文字を自動で読み取ってデータ化してくれるので、自分でひとつひとつ手入力する作業を任せることができるのです。テクノロジーを用いた働き方改革を意味する「デジタライゼーション」が求められる現代社会で、注目を集めています。
詳しくはこちら↓
ABBYY FlexiCaptureとは
「ABBYY FlexiCapture」とは、Digital Intelligence(デジタルインテリジェンス)を推し進める「ABBYY」という企業が提供するAI-OCRです。ABBYYは、欧州(ミュンヘン、ドイツ)、北米(ミルピタス、米国カルフォルニア州)を中心に、日本やイギリスなど世界中に拠点を設けています。その顧客の満足度から、デジタルオペレーションを分析するNelsonHallにリーダーとして認められています。(参考:NelsonHall、ABBYYを「Process Discovery & Mining NEAT Assessment 2020」のリーダーに選出)
そのため、現在は200を越える国と地域の5,000万人以上がABBYYの製品やテクノロジーを利用しています。そして、2016年にはABBYYジャパン株式会社がABBYY FlexiCaptureを本格的に販売を始めました。
参考:ABBYY FlexiCaptureを日本で本格販売開始ーABBYYニュースルーム
ABBYY FlexiCaptureの製品構成
ABBYY FlexiCaptureにはFlexiCaptureとFlexiCapture for Invoicesの2種類のソフトがあります。ここではその2つの違いについて紹介します。
ABBYY FlexiCapture
「書類の処理を自動化させたい」という企業の願いに寄り添った、オーソドックスなタイプのソフトです。世界中での圧倒的なシェアと実績は、折り紙付きです。簡単に説明すると、AIを用いた高精度な自動データ抽出や書類の仕分けを可能にします。他のAI-OCRと比べたABBYY FlexiCaptureの特徴は、後に詳しく説明します。
参考:AI OCRを用いた帳票処理プラットフォームABBYY FlexiCapture
ABBYY FlexiCapture for Invoices
こちらは請求書に特化したAI-OCRです。設定に長い時間をかけることなく簡単に、そしてすぐに請求書処理を自動化できることが特徴です。こちらを導入すると、手動で行う時と比較して、処理できる請求書の数が400%以上増加したというデータもあります。さらに必要なデータを得るまでの時間も30%短縮されます。
こちらのサイトから請求書処理の疑似体験ができるので、一度お試しあれ!
請求書処理の自動化 – ABBYY FlexiCapture for Invoices
ABBYY FlexiCaptureの導入事例
ここからは実際にABBYYを導入したことによって、自動化に成功した事例を紹介して行きます。
1.第一生命保険株式会社(東京都千代田区有楽町1-13-1)
第一生命保険は、言わずと知れた創業100年以上の老舗生命保険会社です。名義変更の手続きといった契約サービス、保険料の管理手続きなどには、本人確認書類や病院でもらった診断書など、形もばらばらで、活字や手書きの文字が入り混じる書類が必要です。こういった書類の文字をシステムに入力する作業や、その内容を確認する作業に時間を奪われていました。そこで目をつけたのがABBYY FlexiCaptureです。
ABBYY FlexiCaptureは、レイアウトの異なる診断書などの読み取りに関して精度が高く、それに加え、免許証の名前と請求書の名前が合っているか、と点検するシステムへの連携もこなします。また、700種類の帳票を扱い、年間で1700万枚も処理する第一生命保険にとって、ABBYY FlexiCaptureは他のAI-OCRと比べると、大規模なシステムに対応できるという点も導入の決め手となりました。この導入の結果、およそ40%の事務作業を効率化することを見込んでいます。
2.花王株式会社(東京都中央区日本橋茅場町1-14-10)
日本のトイレタリー市場のパイオニアである花王。取引先は大企業から地域に根差した企業まで様々でした。そのため、紙の請求書でやりとりする企業も少なくなく、それを処理する業務だけで6,000人ほどが携わっており、請求書の処理だけでも膨大な時間がかかっていました。
ABBYY FlexiCaptureは様々な種類の書類から抽出した情報を、業務ルールに則って検証し、自動的にシステムに転記します。この導入の結果、業務効率は大幅に向上し、請求書関連の業務のおよそ75%も削減される予定とのことです。また、FlexiCaptureを使ってデジタル化が進むことにより、業務時間の短縮だけでなく、「ガバナンスの強化」つまり取引先と経理担当者の連携が強化され、誤まった請求や支払が遅れるといったトラブルも起こりにくくなりました。
参考:ABBYY FlexiCaptureで、作業時間の75%削減も視野に。業務効率とガバナンスの強化を目指す花王株式会社 – ABBYY 事例紹介
ABBYY FlexiCaptureの特徴
こちらではABBYYの特徴を3点に絞って紹介していきます。
請求書や契約書の処理が得意
AI-OCRを取り入れたいと考えるときに、まず初めに考えるのは「どの書類の文字を抽出したいか」ということでしょう。さまざまなAI-OCRがある中で、ABBYY FlexiCaptureは他の製品と比べて請求書や契約書の処理が得意なツールといえます。申込書やアンケートなどのレイアウトがあらかじめ決まっている文書(定型帳票)の抽出はもちろん、明細が複数ページにまたがることもある請求書のようにレイアウトが異なる文書(準定型帳票)、さらには契約書や手紙のように文章中から必要な情報を抽出する必要がある文書(非定型帳票)の抽出ができるのです。
前述の導入事例でも紹介した保険会社のように、レイアウトの異なる請求書や契約書を数多く取り扱う企業にお勧めできます。
ワークフローを自動で実行
ワークフローとは、業務を行うときに発生する一連の流れのことです。決まった作業を行う場合、スタートから完了までの間に、ツールや人が何をいつ行うかをあらかじめ決めておくことにより、効率アップが期待できるのです。ABBYYは文字の読み取り(OCR)だけでなく、注文情報の種類に合わせて検証したり、他のアプリケーションで読み込める形式にするなどの一連のワークフローを標準装備しています。
さらに、「OCRが終わったら検証は行わずにそのまま形式を変更する」というように設定を自由に変更できたり、「検証が終わったら、それを他のシステムに通知するためにプログラムを実行させる」というような任意の処理を組み込んで自動実行することもできます。つまり、 それぞれの業務に合わせた処理を高精度でこなすことができるのです。中小企業から大企業まで規模に応じたシステムを構築できるので、複数の部門やプロジェクトをまたいだ運用を考える企業にもおすすめです。
220以上の言語に対応
世界中に拠点を持つABBYYは、取り扱う言語の数もトップクラスの多さです。日本語に特化したAI-OCRもある中で、ABBYY FlexiCaptureは日本語だけでなく、中国語、英語はもちろん、韓国語、ベトナム語、タイ語、アラビア語など220以上の言語の文章の読み取り(OCR)が可能です。また活字だけでなく、手書きの文字も113の言語に対応しています。
商社など、様々な国の企業との取引がある企業にうってつけです。
参考:ABBYY®の機能
ABBYY FlexiCaptureの価格
価格については、各代理店・公式ホームページにお問い合わせください。
ABBYY FlexiCaptureの無料トライアル
デモ版は存在しますが、無料トライアルの期間や条件は非公開ですので、公式ホームページからお問い合わせください
ABBYY FlexiCaptureの勉強方法
ABBYY FlexiCaptureの概要や特徴についてはご理解いただけましたでしょうか。ここでは、ABBYY FlexiCaptureの運用や操作に不安があるという方にむけておすすめの勉強方法を2つ紹介します。
ABBYY ブログ
一つ目にご紹介するのは、ABBYYの公式サイトにあるブログです。ABBYY FlexiCaptureの新製品や製品アップデートの情報から、実際に導入した例、導入時のポイントなど様々なトピックスが紹介されています。
こちらから見ることができます↓
ABBYY ブログ
ABBYY FlexiCapture用 MAIA ラーニング
株式会社MAIA(東京都港区六本木1-4-5)が提供するABBYY FlexiCapture専用のオンライン学習コンテンツです。これを受講することによって、文書定義の提案や開発を行えるようになります。現在は初級編のみが提供されていますが、応用編も今後提供される予定です。
この初級編は、初心者でも理解ができるように、画面やイラストなどを使って分かりやすくAI-OCRの流れを把握できる学習テキストが用意されています。また、テキストで読んで得た知識だけでなく、実際に製品を操作しながら学習を進められるため、スキルが身に付きやすいコンテンツとなっています。
費用:1ユーザー 25,000円/月(税抜)
詳しくはこちらから
ABBYYラーニング
非定型の文章の読み取りも得意なABBYY FlexiCapture
いかがでしたでしょうか。今回はABBYY FlexiCaptureについて概要から特徴,勉強方法まで詳しく解説しました。請求書のようにレイアウトが異なる文書の処理が得意、ワークフローの自動実行ができる、という魅力があるABBYY FlexiCapture。
無料トライアルも実施されておりますので、気になった方はぜひABBYY FlexiCaptureのホームページからお問い合わせください。
ABBYY FlexiCaptureのお問い合わせはこちらから↓
ABBYY 公式サイト
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