AIチャットの活用が進んでいることをわかっていても、具体的にどのようなものなのかイメージができず、まだ使用できていない企業担当者の方も多いでしょう。この記事では、AIチャットの概要と使い方、代表的なサービスについて解説します。AIチャットについて理解を深め、ビジネスシーンでの活用を目指してみましょう。
目次
AIチャット(チャットAI)とは
AIチャットとは、ユーザーのメッセージに対してAIが回答を自動生成して返信するツールのことです。インターネット上のさまざまなデータを使い学習しているため、精度は更新されるデータに応じて向上します。なお、類似する言葉に「チャットAI」がありますが、どちらも同じものを指すことから本記事ではAIチャットとして解説します。
AIチャットにできること
AIチャットにできることは、その用途によって異なります。一例としては社内外からの問い合わせ対応やカスタマーサポートにAIチャットボットなどが挙げられ、24時間365日いつでも顧客からの問い合わせに対応できるメリットがあります。また、特定のキーワードに関連する情報の収集・分析も依頼できます。
「この作業を自動化できないかな」といった軽微だが時間のかかる作業や、時間に縛られがちな作業をAIチャットに任せることができます。このような特徴から多くの企業で導入が進み、業務の効率化・自動化や生産性向上を実現しています。
AIチャットサービス9選
一口にAIチャットといっても、AI技術の進化によって多くの種類が存在します。ここからは代表的な9種のサービスについて解説します。
ChatGPT
「ChatGPT」はOpenAIが開発したAIチャットです。画像や動画、ブログコンテンツ用文章といったさまざまなクリエイティブ作業にも対応している特徴があります。。自然な会話能力と高い文章生成能力を備えているため、ビジネスシーンだけでなく、学生や子どもの疑問解決ツールとしても活用されています。
Gemini
「Gemini」はGoogleが提供するAIチャットで、Androidデバイスに標準搭載されていたGoogleアシスタントが生成AIとしてバージョンアップしたものです。現在ではネット検索から使用できるほか、大規模な検索エンジンを持つGoogleが開発したツールであるため、幅広い話題に対応できる特徴があります。
参考:Gemini
Copilot
「Copilot」はMicrosoftが提供するAIチャットで、Microsoft製品・サービスに付随されています。ExcelやWord、PowerPointなどのOfficeツールを日常的に使用する方は、Copilotとの連携により資料作成や定型業務の効率化・自動化を実現できます。
参考:PC、Mac、モバイルなどで、Microsoft Copilot による AI アシスタンスをお楽しみください。
Perplexity AI
「Perplexity AI」はAIスタートアップ企業のPerplexityが提供するAIチャットです。検索エンジンを搭載している特徴から、インターネット上にある膨大な情報からユーザーのキーワードと関連性の高い情報を抽出します。抽出データには参考にした情報源が引用されるため、常に信頼できる情報を得ることができます。
参考:Perplexity
Notion AI
「Notion AI」はビジネスシーンに便利なツールが集約されたNotionが提供するAIチャットです。Notionに搭載されたAIであるため、文章生成やアイデア出し、他国語の翻訳や資料作成などを効率よく進められます。既にNotionを利用する方にとっては生産性向上に期待できるツールです。
参考:Notion AIを使う
AIチャットくん
「AIチャットくん」はコミュニケーションツールとしても利用率の高いLINEで利用できるAIチャットです。気になる話題を送信すると、メッセージ上で自動的に返信が届きます。専用アプリの提供もスタートしており、今ではLINE上だけでなくアプリケーションからの利用も可能です。ChatGPTやGeminiなどのように、工夫次第で多様なシーンで応用できます。
参考:AIチャットくん | 話題のChatGPTがLINEで使える!
Watson Assistant
「Watson Assistant」はアメリカに本社を置くIBMが提供するAIチャット開発ツールです。テクノロジー企業が開発していることからその理解度は高く、「回答して」や「作成してください」など、人間の言葉のゆらぎも同じ意図だと判断できます。ビジネスツールとしても人気のSlackやFacebook Messenger、LINEなど、多くのツールにも対応しています。
参考:IBM Watsonx Assistant|イグアス ソリューションポータル
Azure Bot Service
「Azure Bot Service」はクラウドサービスのひとつであるAzureが提供するAIチャット開発ツールです。テキストタイプのプロンプトで利用できるAIチャットに加えて、同社が提供する他サービスとの連携によって音声認識ボットの開発も可能です。Skype、Slackといったビジネスツールとも連携可能なので、コミュニケーションの効率化を図りたいときに有効です。
Rasa
「Rasa」は同一名称の企業が提供するAIチャット開発ツールです。プログラミング言語のなかでも利用率の高いPythonで開発されているため、自然な会話に対応したAIチャット開発が可能です。無料で利用できる上にカスタマイズ機能も豊富なので、Pythonに精通した方であれば自社ビジネスに最適なAIチャット開発を実現できるでしょう。
参考:Rasa
AIチャットの基本的な使用方法
ここからはAIチャットの基本的な使い方について解説します。興味はあるものの使い方を知らないために行動に移せていないといった方は参考にしてみてください。
AIチャットを起動する
まずは使ってみたいAIチャットを探し、実際に起動してみましょう。ChatGPTやGeminiは検索エンジンから使用できるほか、スマートフォンアプリも展開されているので、使いやすい方を選んで問題ありません。
プロンプトを提示する
任意のAIチャットを開いた後は、プロンプトと呼ばれる簡単な文章を入力・提示します。ただし万能ではないため、AIが理解できるプロンプトを心がけることが大切です。例えば「明日の東京都内の天気を教えてください」のように、気になる情報があれば「いつ」「どこ」「なにを知りたいか」が理解できるような言葉を使用しましょう。
関連記事:【例文付き】生成AIのプロンプトの概要と書き方、重要性やポイントを解説
待機
プロンプトの提示が終わったあとは、AIチャットが適切なデータを抽出するまで待機します。ブラウザ上で使用していた場合、ページを消すと終了してしまうため、別の作業を行いたいときはタブを新たに作成しなければならない点に注意しましょう。
内容を確認・評価する
次に抽出されたデータの内容を確認・評価します。プロンプトの内容によっては、誤情報であるにもかかわらずあたかも真実のように情報を抽出するハルシネーションが起きることがあります。抽出データはそのまま使用せず、必ず信憑性を確認することをおすすめします。
必要に応じてトライアンドエラーを繰り返す
プロンプトの内容によっては、欲しい情報が得られなかったときは、プロンプトを見直し、AIでも理解できる言葉を調べながらトライアンドエラーを繰り返してみましょう。トライアンドエラーによってAIチャットの性能が向上し、プロンプトの内容をより詳細に理解したデータを抽出できるようになります。
正確な情報が得られたときは、その際のプロンプトをメモに残すことで、使い回しによっていつでも適切な情報を得やすくなります。
AIチャットの注意点と対応策
シーンを問わずさまざまな場所で活用できるAIチャットですが、使用にあたってはいくつかの注意点に留意する必要があります。ここからは注意点と対応策について解説します。
1.プライバシー・個人情報
AIチャットを使用する上ではプライバシーと個人情報を保護する必要がある点に注意しましょう。一部のAIチャットでは、ユーザーが入力したデータや情報を学習データとして使用する場合があり、機密性の高い情報は漏洩・悪用などのトラブルの原因となる恐れがあります。自身をはじめ企業の大切な情報が悪用されないためにも、以下のような情報は使用しないよう注意しましょう。
- 個人を特定できる情報(住所・氏名・電話番号など)
- 機密性の高い情報(企業情報・企業が取り扱う個人情報など)
- センシティブな情報(口座情報・各ツールのログインパスワードなど)
これらの情報が漏洩した場合、自身だけでなく企業や家族など多方面にトラブルを生む可能性があります。大きな損害を防ぐためにも機密性の高い情報は使用しない、プロンプトを学習データとして使用しないAIチャットを選ぶことをおすすめします。
2.著作権・知的財産権
AIチャットが抽出するデータの基となるものはネット上で検索・閲覧・表示できるデータであるため、すでに存在しているものと酷似するものを抽出する場合があります。データをそのまま使用した場合、著作権や知的財産権の侵害トラブルにつながる恐れがあるため、既視感を覚えるものを抽出した際は使用を避け、プロンプトに変更を加えましょう。
3.倫理
AIチャットはさまざまなデータを用いて学習していますが、万能ではありません。感情や社会的なルール、多様性や差別への配慮が適切にできない場合があります。また、誤情報も多くネット上に点在するために、ハルシネーションを招くことも少なくありません。
抽出データの使用においては、第三者が見ても不快・不安を抱かないかを考えることが大切です。他国語に変換するなどして、ネットスラングが含まれていないかも確認すると、多方面でのトラブルを予防できます。
4.判断力・創造性
ネット上の膨大なデータを基に学習する特徴から、さまざまな話題に関する情報を素早く入手できるAIチャットですが、あまりに多用しすぎると、人間本来の判断力や創造性を損なう恐れがあります。
利便性が高く、考えるよりも先にAIチャットを使用したくなりますが、ハルシネーションや情報漏洩などのリスクを踏まえ、人間のサポート的な存在と認識しておくことで安全性を確保した利用につながります。
AIチャットのメリット・デメリット
企業がAIチャットの導入検討を行う場合は下表のメリット・デメリットを念頭に置きましょう。
メリット | デメリット |
・24時間365日の顧客対応が実現する ・同時進行で複数の顧客に対応できる ・顧客対応に関するコスト削減が見込める ・顧客対応の品質が向上する ・データの収集・分析・整理が容易になる |
・万能ではない ・使用前の確認が必要 ・情報の漏洩リスクがある ・システムの導入・運用・管理にコストが掛かる |
無料で利用できるAIチャットも存在しますが、その場合はネット上での使用に留まるケースが多く情報の漏洩リスクがネックになります。サービスのなかには有料版にAPI連携を設けているものもあるため、機密性の高い情報を取り扱うことが想定される場合は、API連携に対応したサービスの導入を検討しましょう。
また、有料版の導入検討の際には、導入によって見込まれる削減コストと、導入・運用・管理に掛かるコストのバランスを確認することも大切です。顧客対応に関するコストが削減できても、それを上回るほどのランニングコストが発生しないかどうか、費用対効果についても考えながら最適なサービスを選びましょう。
AIチャットの次世代ツール「AIエージェント」とは
AIチャットはユーザーによる指示に対応するツールですが、目標の付与によって自律的に行動・判断できるAIシステム「AIエージェント」が誕生しています。AIチャットが優秀なアシスタントとすれば、AIエージェントはプロジェクトを推進する優秀な担当者のようなイメージです。
活用によって今までのビジネスに大きな変化をもたらすことが想定されており、例えば従来は定型的・反復的な作業の自動化までに留まっていたものがより複雑な業務にも対応できるようになるなどです。使用にあたっては達成したい目標の明確化や与える役割について考える必要がありますが、多様に変化するビジネス社会においては頼もしい存在となるでしょう。
関連記事:AIエージェントとは?生成AIとの違いや仕組み、メリットを解説
関連記事:【UiPathのAIエージェントのすべて】作り方からユースケースまでを徹底解説
まとめ
AIチャットは、生成AIなどのサービス・ツールを通じて業務の効率化・自動化を実現可能にする存在です。使用にあたっては倫理的な問題やハルシネーションリスク、提供を避けるべき情報などがありますが、それぞれの注意事項を守ることで安全に利用できます。
企業に導入した場合、社内問い合わせやカスタマーサポート対応の自動化を可能にするため、人件コストの削減や従業員配置の最適化、業務負担の軽減などさまざまなメリットに期待できます。
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