デジタル化が進む近年では、AI技術を用いたAI-OCRの活用が注目を集めています。しかし、「AI-OCR」や「OCR」といった言葉を見聞きしたことがあっても、その違いや業務への具体的な活用方法がわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AI-OCRとOCRとの違いや活用するメリット・デメリットなどについて解説します。導入に際して求められる基礎知識や製品の比較ポイントを押さえ、業務の効率化やコスト削減につなげましょう。

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AI-OCRとは|8つの特徴
AI-OCRとは、紙媒体の文書をスキャンして電子化する機能に加えて、AIの文字認識技術を通じてデータとして抽出できるデジタル技術のことです。情報を手入力しなくても、カメラを使えば文書をデータとして取り込めるので、財務・経理部による領収書・請求書の処理や医療機関による診療記録の電子化など、さまざまなシーンで活用されています。
AI-OCRの活用により業務の効率化が実現できることから、従業員の負担軽減やペーパーレス化によるコスト削減につながり、多くの企業で導入が進んでいます。また、AI-OCRには下記のような特徴があります。
1.文字認識精度に優れている
OCR(光学的文字認識)では難しかった手書き文字や複雑なレイアウトの文字も、AI技術を搭載したことで、より高い精度で認識・データ化できます。特に歪みやかすれがある文字や多様なフォントが混在する文書でも、正確に情報を抽出できるため、誤入力リスクを削減し、確認作業の工数カットを実現します。
2.継続的な学習能力を持ち合わせている
AI-OCRは、使用するほどに学習し、文字認識精度を向上させる能力を持ち合わせています。仮に認識ミスが発生しても、そのデータをAIが学習することで、次回以降は同じミスが起こりにくくなります。特定の業界や企業の専門用語・フォーマットに特化した、より精度の高いデータ抽出を実現し、使い続けるほどに価値が高まる特徴もあります。
3.多言語に対応している
グローバルなビジネス環境においては、日本語だけでなく、英語や中国語、韓国語など多様な言語の文字認識が欠かせません。AI-OCRでは各国の文字認識も可能で、海外の取引先から届いた請求書・契約書もスムーズにデータ化・処理できます。
4.カスタマイズ性に優れている
AI-OCRツールには、企業の特定の業務フローや自社オリジナルの帳票フォーマットにも柔軟に対応できる特徴もあります。必要な項目のみを抽出するほか、特定のルールに基づいてデータを加工したりするなど、カスタマイズも可能です。汎用的なツールでは対応できない、複雑な業務プロセスにもAI-OCRを組み込めるのは大きなメリットといえるでしょう。
5.文脈理解能力を有している
AI-OCRは、ただ文字を認識するだけではなく、文書全体の文脈を理解して情報を抽出する能力も持ち合わせています。例えば「氏名」という単語の近くにある文字を「氏名」データとして認識するなど、文書内の位置関係やキーワードから抽出すべき情報とその意味を判断できます。
6.非構造データに対応している
非構造データは、請求書や申込書のように、決まったフォーマットを持たない、自由記述のコメント欄や契約書の本文などのテキストデータです。従来のOCRが苦手としていた、形式が異なる文書や手書きメモなども、AIの文脈理解能力を活かして必要な情報を自動で識別・抽出可能なため、対応できる業務幅が広がります。
7.自動分類とデータ抽出機能を利用できる
スキャンした文書を、請求書や領収書、契約書などの種類や部署、取引先などに基づいて自動分類する機能も利用できます。文書を分類後は、必要な項目を抽出する工程まで自動化されるため、大量の紙文書を仕訳する前処理作業が不要になり、システムへのデータ連携を素早く行えます。
8.データのノイズに強い
スキャン時の画質の粗さや陰影、傾き、裏移りなど、データ抽出の妨げとなるノイズ要因があっても、AIが自動補正・ノイズではないと判断し、適切にデータ抽出します。ノイズに強い性質によって、スキャン品質に左右されにくい安定した認識精度が実現し、現場での手間を削減しながらデータ化できます。
OCRとは?AI-OCRの違い
OCRは、紙媒体の文書をデジタル形式に変換する技術です。デジタル化されたデータは機械で解釈できる形式に変換され、該当文章の検索や編集などが可能になります。
OCRのメリットは、紙媒体の内容を修正・編集しやすくなること、さらには工数の削減が挙げられます。大量の文書を手入力する代わりとしてOCRを活用すれば、データの入力作業が自動化できるので、従業員の作業負担の軽減につながります。
AI-OCRには名前の通りAI技術が備わっていることから、OCRの技術に加えてより高度な文書の認識・解析ができるといった違いがあります。
関連記事:OCRにはどんな機能がある?AI-OCRとの違いや導入手順について解説
AI-OCRとOCRを組み合わせればDXの推進に期待できる

RPAとの連携によって人間の業務を自動化できます。例えば帳票データの読み取り・データ抽出までをAI-OCRで自動化し、抽出されたデータの自動処理をRPAが行うことで、帳票の処理作業からデータの入力業務までの自動化が実現します。
帳票の取り込みからデータ処理までにはこれまで多くの時間や労力が必要でした。自動化によって業務の効率化はもちろん、作業スピードや正確性の向上につながるのは大きなメリットといえるでしょう。
さらに、これまで従事していた従業員は別の業務に携わることもでき、従業員のスキルアップや経験の積み上げにもつながります。知識や経験が豊富な従業員が増加することから、結果的に企業力の底上げにも寄与するでしょう。
AI-OCRの種類
AI-OCRは、汎用×定型や汎用×非定型、業務特化×非定型と3つの種類に大別されます。種類によって特徴が異なるので、ここでは各種の特徴について解説します。
1. 汎用×定型フォーマット型
多様な種類の帳票を読み取ることができるものの、あらかじめフォーマットを設定する必要がある技術です。フォーマットの設定によって「どの部分に何が記載されているのか」を指定でき、情報抽出が可能になります。
2. 汎用×非定型フォーマット型
AIにあらかじめ学習させておくことで、帳票の種類に関係なく抽出が可能になる技術です。人間が設定しなくても「どの部分に何が記載されているか」をAIが自動判定しながら情報を抽出できます。
3. 業務特化×非定型フォーマット型
自社の特定業務における使用を前提に、AIにあらかじめ学習させた技術です。業務特化という特徴から、部門や科目といった仕訳データの抽出・作成にも対応しているので、OCRによって抽出されたデータも効率的に業務システムに連携可能です。

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AI-OCRのメリット
OCRにAIを実装したことで従来の文書スキャンや電子化に利便性が付随されたAI-OCRですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
業務効率化の実現
AIが内蔵されたことで、データ入力の手間が省けるのはメリットです。AI-OCRの読み取り速度は、書類1枚あたり数秒から数十秒です。そのため、人間が手入力する時間を大幅にカットできるので、業務時間の削減につながります。
ヒューマンエラーの削減
OCRでは抽出したデータを人間が手入力する必要がありましたが、AI-OCRは読み込んだデータの自動変換に対応しているため、検索や編集作業も問題なく行えます。手入力の必要がないため、データの正確性を担保でき、ヒューマンエラーの削減にも期待できます。
また、業務に関する手書きメモなども、AI-OCRで取り込みデータ化することでパソコンやスマートフォンからいつでもチェックでき、業務に対するミスそのものを減らすこともできます。
データ管理・検索が容易
紙媒体の文字をデジタル化することで、書類の検索やチームメンバーへの共有も可能です。紙のままだと、過去の書類を探すために保管庫に出向いたりファイルを1つずつ探したりするなどの手間が掛かります。AI-OCRを活用しデータとして取り込むことで、いつでも好きなタイミングで内容を確認できます。
コスト削減
AI-OCRを活用して文書データをデジタル化し、サーバーで保管できれば、ペーパーレス化も実現できます。取引先からの請求書や発注書、受け取ったFAXなどをサーバーで保管し、AI-OCRによってデジタル化する仕組みを導入することで、紙を使用する必要がありません。
大切な取引先であるほど名刺に記載された住所や名前などを確認する頻度も多いことから、名刺の内容もデジタル化することで、確認作業が円滑になり業務の効率化につながります。
スケーラビリティの獲得
AI-OCRは、急激な業務量の増加や繁忙期にも柔軟に対応できるスケーラビリティを持ち合わせています。従業員を増やすことなく、システム側で処理能力を調整したり、より多くのリソースを割り当てたりすることができます。
こうした特徴によって、決算期や繁忙期など、一時的に処理が必要な業務が急激に増えても迅速に処理を完了できるため、業務停滞を防ぎます。
データの有効活用
AI-OCRで抽出・構造化されたデータは、基幹システムや顧客システムに連携させ、経営分析やマーケティングに活用可能です。例えば顧客アンケートの手書きコメントをデータ化すれば、顧客ニーズの傾向分析に利用できます。
眠っていた紙の情報を資産として活用し、データドリブンな経営判断に役立てるのはAI-OCRならではの大きなメリットといえるでしょう。
法規制やコンプライアンスの対応
AI-OCRによる正確なデータ化・デジタル保存によって、法規制やコンプライアンス遵守につながるのもメリットです。特に電子帳簿保存法やインボイス制度など、文書の保存要件が厳しく定められている現代においては、紙文書を改ざんできないデジタルデータとして保存・管理できる体制が欠かせません。
AI-OCRで書類のデータ化の実現によって、紙の紛失や漏洩リスクを減らしながらセキュリティレベルを向上できるため、企業の信頼性とガバナンス強化に期待できます。

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AI-OCRのデメリット
AI-OCRの活用にあたってはいくつかのデメリットもあります。具体的には、導入コストやセキュリティリスクへの対応、文字認識が不完全である点です。
関連記事:OCRの精度を上げる7つのコツと文字認識に影響を与える要素を解説
導入コストへの懸念
AI-OCRの導入には、初期費用や維持費用が掛かります。特に、自社運用タイプの「オンプレミス型」であれば初期費用が高く、オンラインタイプの「クラウド型」であれば低く済むなど、AI-OCRの特徴によって費用は大きく異なります。
| オンプレミス型 |
・社内のパソコン、サーバーなどにインストールして使用するタイプ ・社内に環境を整備する必要があるため、初期費用が高くなる傾向がある ・社内ネットワークでの利用が基本であることから、オフライン環境でも利用可能 ・用途や要件に応じて機能を調整できるため、カスタマイズ性に優れている |
| クラウド型 |
・社内のパソコンなどからブラウザを介して使用するタイプ ・インターネット環境があれば、場所を問わず利用できる ・サーバーを自社で用意する必要がないため、初期費用を抑えて導入可能 ・アップデートやバックアップ、障害対応はベンダー側が担うため、社内の運用負担を軽減できる |
また、毎月固定の料金を支払う月額利用料のほか、使用料に応じて支払う従量課金なども含まれることから、利用においては自社に合ったタイプを選びつつ、費用対効果についてよく考えることが大切です。
セキュリティリスクへの対応
AI-OCRが取り扱うデータの内容によっては、セキュリティリスクについても念頭に置く必要があります。例えば顧客情報や自社情報が流出・漏洩し、悪用されるなどです。OCRシステムの導入に際しては、データの暗号化を実施したり限られたメンバーのみが閲覧・編集できるなど、共有範囲の制限を実施したりするなどの対応が必要になるでしょう。
不完全な文字認識
AI-OCRはさまざまな文書を取り込み、データとして処理できる能力に優れていますが、手書きによる文字の読み取り精度はまだ発展途中です。人間が書いた文字だからこそ個人差があり、現在のAI-OCRでは個人差に対応しきれていないためです。
手書きメモを頻繁に使うのであれば、手書き文書のデータを多数用意し、学習を繰り返してAI-OCRの精度を上げる必要もあり、完成度の高いデータを抽出するまでにはある程度の時間が掛かることは念頭に置きましょう。

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AI-OCRの導入を進めるポイント
AI-OCRの導入を進める上では、これから紹介するポイントに沿って検討を進めましょう。
AI-OCRの仕組み・種類に理解を深める
AI-OCRを導入するにあたっては、まず仕組みや種類について理解を深めましょう。
| 種類 | メリット | デメリット | おすすめのケース |
| 汎用×定型フォーマット型 | ・文字の抽出精度が高い |
・フォーマットの設定が必要で、利用開始までに時間がかかる ・フォーマットの種類が増えるたびに追加設定が必要になる |
・デジタル化したい帳票が明確に決まっている場合 ・同一フォーマットを大量にデータ化したい場合 |
| 汎用×非定型フォーマット型 |
・フォーマット設定が不要 ・不統一なフォーマットにも対応可能 |
・事前にAIへ学習させる必要がある ・未学習のフォーマットに対しては認識精度が低下する可能性がある |
・デジタル化したい帳票の種類が多い場合 ・フォーマットが統一されていない場合 |
| 業務特化×非定型フォーマット型 |
・部門や科目などの仕訳データの抽出・作成に対応できる ・データの意味づけまで行える | ・特定業務以外の帳票には対応できない | ・特定業務に特化してAI-OCRを活用したい場合 |
AI-OCRには大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを押さえ、自社に適した種類はどれに該当するかを確認しておきましょう。
RPAとの連携を検討する
AI-OCRを導入するときは、RPAとの連携も同時に検討しましょう。パソコンで行う事務作業を自動化することが可能なRPAとの連携により、文書の認識からシステムへの自動登録までを1つの業務として構築できます。
作業効率の向上を図りたいときは、AI-OCRに併せてRPAの使用についても検討することをおすすめします。
関連記事:RPAを開発するには?手順やメリット・デメリット、失敗させないコツを解説
導入後の運用に関する教育を実施する
導入後も円滑に操作・業務に従事できるよう、全社で共通した認識を持つことも欠かせません。具体的にはAI-OCRを導入する目的や使い方などで、マニュアル作成や研修が必要です。
従業員のなかにはこれまでのルールを改定することに拒否反応を示す従業員もいるかもしれません。そのようなときでも冷静に対応できるよう、AI-OCRを使ってできることやメリットをはじめ、操作説明などのフォロー体制を整えておきましょう。
製品の詳細を確認する
AI-OCRの詳細について確認することも大切です。利用する従業員の数が多いのであれば、利便性や操作性に長けたものを選ぶことで導入後の大きな混乱を防ぐことができます。
設定画面を開いても、どこに何があるのか分かりにくいシステムでは、従業員は正しく設定できない可能性があります。導入後の円滑な業務が実現するよう、使用感や操作性などは入念に確認しましょう。
サポート体制の有無を確認する
AI-OCR導入には専門知識が必要になるほか、運用における不具合についても適切な対応が求められます。ベンダーが対処してくれるようなサポートがあれば、使用中にトラブルが発生しても、迅速な解決につなげられます。
特に、サポート窓口の有無や24時間体制かどうかについて調べておくと、万が一のときでも安心して対処することができるでしょう。
AI-OCRの業務例
AI-OCRは現在さまざまな業種で導入が進んでいます。一例ですが、各業界の業務例は下表の通りです。
| 業種 | 概要 |
| 金融 | ・請求書や契約書などから名前や日付、金額などの項目を自動抽出し、会計システムに自動入力させる ・ヒューマンエラーの減少やペーパーレス化によるコスト削減、業務時間の短縮を実現 |
| 医療 | ・紙媒体による患者のカルテ、処方箋などをデジタル化し、電子カルテへと変更 ・名前などから検索が可能になり、保管・編集・確認の円滑化を実現 |
| 物流・運輸 | ・伝票や配送ラベルなどを送り先情報や商品情報などで自動抽出し物流システムにデータを読み込ませる ・入力作業の自動化につながり、業務ミスの減少を実現 |
| 行政・公共サービス | ・紙媒体の申請書をデジタル化させ、システムに自動で取り込む ・事務処理の効率化、住民に対するサービスの迅速化、ペーパーレス化によるコスト削減を実現 |
| 製造 | ・品質チェックシート、作業報告書などをデジタル化させデータを自動抽出させる ・工場の稼働状況、品質管理に関するデータをリアルタイムで確認・分析できる |
| 教育 | ・試験・答案用紙やアンケート結果の回答のデジタル化 ・自動抽出により採点・集計の速度向上を実現 |
| 法務・弁護士 | ・法的文書などを金額や期限などの項目を使い自動抽出 ・リスク評価やデータ管理の効率化を実現 |
| 小売 | ・レシートや領収書などのデジタル化 ・ヒューマンエラーの削減やマーケティング戦略の最適化を実現 |
AI-OCRは各業界のあらゆるシーンでデジタル化につなげ、ミスやコストの削減や業務の効率化を実現しています。
まとめ
AI-OCRは、機械学習などを用いたAI技術を活用し、画像や手書きメモといったさまざまな文書から文字やテキストを自動で認識し、抽出する最先端技術です。大量の紙媒体をデジタルでの管理・編集が可能になり、ペーパーレス化はもちろん、業務の効率化につなげられます。
Peaceful MorningではAI JIMYの正規代理店として、導入から精度向上まで一気通貫でご支援しています。新たにAI-OCRを導入したい方や、現状の精度に課題を感じている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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