本記事では、UiPathで使用できる生成AI連携用のアクティビティ「UiPath GenAIアクティビティ」を紹介します。
GenAIアクティビティを用いることで、自分で生成AIモデルの準備やAPI連携の構築を行うことなく、
通常のアクティビティを使用する感覚で生成AIと連携した自動化を実現できます。
今回は全11種類のGenAIアクティビティが持つ機能や使い方をお伝えしていきます。
「RPAと生成AIを組み合わせてみたいと思いつつ、どのように組み合わせればいいのかイメージがつかない!」
と感じたことはないでしょうか?
各アクティビティの機能を知るだけでも、RPAと生成AIを組み合わせるアイデアが湧いてくるはずです。
これからの自動化アイデアのヒントとしてお楽しみください!
目次
UiPath GenAIアクティビティとは
UiPath GenAIアクティビティとは、生成AIモデルを使用したアクティビティ群です。
ChatGPTのように質問に対して回答するアクティビティだけでなく、
メール生成や翻訳など用途に特化したアクティビティが用意されています。
UiPath GenAIアクティビティの使用には”Automation Cloud”と”AIユニット”が必要で、
残念ながら無償版ライセンス(Community Edition)で検証することはできませんのでご注意ください。
使える生成AIモデル(LLM)
UiPath GenAIアクティビティでは、GPTおよびGeminiの生成AIモデル(LLM)を使用することができます。
公式の記事(2024/10/12時点)によれば、使用できるバージョンについては、次の通りです。
- gpt-35-turbo-0125
- gpt-4o-2024-05-13
- gemini-1.0-pro
- gemini-1.0-pro-001
- gemini-1.5-flash-001
ただし、これはGenAIアクティビティのバージョンによって異なり、今後も変更が多い箇所と考えられますのでご注意ください。
11種類のGenAIアクティビティ
GenAIアクティビティ全11種類の機能と想定される使用例をまとめました。
なお、使用例については、私が実際にアクティビティを動作させてみてこういう業務に使えそう!と考えたものを記載しており、公式の情報を元にした内容ではありません。
アクティビティ |
機能 |
想定される使用例 |
コンテンツ生成 |
指示に対する回答を生成する。 |
汎用的な指示に対応できる |
テキストを要約 |
文章を要約して出力する。 |
技術文書を要約し、概要を把握 |
メールを生成 |
メール文案を作成する。 |
返信メール案を作成し、下書きに保存 |
カテゴリに分類 |
文章を、事前に設定したカテゴリに分類する |
問合せメールをカテゴリー分けし、担当者に振り分け |
書き換え |
文章を指定した方法で書き換える |
ブログをメルマガ文章に書き換え |
Named Entity Recognition (固有表現抽出) |
文章から必要な情報を抽出する |
請求書PDFから取引先名や合計金額を抽出 |
個人を識別できる情報 (PII) をフィルター処理 |
文章中に含まれる個人情報をマスクする。 |
受領メール等から個人情報を削除し、安全な状態でデータ分析等に活用 |
言語を検出 |
文章がどの言語で書かれているか特定する |
受領メールの言語に基づき、担当者やその先のフローを割り振り |
翻訳 |
文章を翻訳する |
最新技術に関する英語文書を和訳 |
インデックス作成とデータ取り込み* |
検索拡張生成 (RAG) 用の機能。データソースのデータを取り込む |
チャットボット用に自社サービスの情報を読み込ませる |
インデックスを削除* |
検索拡張生成 (RAG) 用の機能。「インデックス作成とデータ取り込み」で作成したインデックスを削除する |
上記情報を最新化するため、削除する |
* 現状、検索拡張生成 (RAG)関連のアクティビティ/機能はパブリック プレビューです。
検索拡張生成 (RAG)とは、生成AIに独自の資料(自社サービスの説明書等)を読み込ませることで、その情報をもとに出力を生成できる技術です。
各アクティビティの概要の公式ページはこちらです。
https://docs.uipath.com/ja/activities/other/latest/integration-service/working-with-genai-activities
単純に質問に回答するチャット形式のツールと異なり、かなり用途別にアクティビティが分かれていることがわかります。
概要を知るだけでも、「RPAと生成AIをどのように組み合わせればよさそうか?」がイメージできてくるかと思います。
GenAIアクティビティを組み合わせた自動化処理例
GenAIアクティビティの機能から、RPAと生成AIの組み合わせ方法のイメージは湧いてきたでしょうか?
もう少しイメージを膨らませるため、GenAIアクティビティを組み合わせて実現できる自動化処理例を考えてみました。
メールで受領した申請情報をもとにユーザーの登録・更新・削除を行う業務であれば、以下のようなフローが組めそうです。
- 「カテゴリに分類」アクティビティで、申請内容が登録・更新・削除のどれか分類
- 分類結果に基づき、登録・更新・削除の各処理に分岐
- 「Named Entity Recognition (固有表現抽出)」アクティビティを用いて、各処理に必要な情報を抽出
- 抽出情報を用いて登録・更新・削除の各処理を実行
このような処理は、固定の申請フォーマットやフォームがなければRPA化が難しい内容でした。
GenAIアクティビティにより、自由なフォーマットで受領しても処理することができます。
このように、GenAIアクティビティは既存のRPAで実現しづらい処理をうまく埋めるように構成されているように思います。
ぜひ各アクティビティの概要を眺めながら、自身の業務でどのように活用できそうか考えてみてください。
利用方法
GenAIアクティビティの利用方法を解説します。
こちらでは、UiPath Studioの開発画面を用いて解説していきます。
パッケージ「UiPath.IntegrationService.Activities」のインストール
まず、GenAIアクティビティが含まれるパッケージのインストールを行います。
※この処理は、Studio Webで開発する場合は不要です。
UiPath Studioにて「パッケージを管理画面」を開きます。
「すべてのパッケージ」より「Integration Service Activities」を探し、インストールしてください。
アクティビティの探し方
通常のアクティビティと同様ではありますが、少々探しづらいので紹介します。
アクティビティパネルの検索画面からGenAIのように検索しても表示することができません。
以下のいずれかの方法で探してみてください。
・利用可能>UiPath GenAI Activitiesを探す
・各アクティビティを検索
Integration Serviceの接続
GenAIアクティビティを使用するには、Integration Serviceを用いてコネクションを追加する必要があります。
①任意のGenAIアクティビティをフローに追加(以下では「テキストを要約」アクティビティ)
②「新しいコネクションを追加」をクリック
③ブラウザで以下画面が開くので、「Connect」をクリック
※この後、Automation Cloudへのログイン画面が表示された場合はログインします。
次のメッセージが表示されれば完了です。
Studioのアクティビティに戻り、接続先が表示されていることを確認してください。
Studioのアクティビティに戻り、接続先が表示されていることを確認してください。
アクティビティの使用方法
「テキストを要約」アクティビティを例に、使用方法を紹介します。
「テキストを要約」アクティビティは以下のような構成となっています。
設定項目の一覧は以下の通りです。
UiPath GenAI Activities | Integration Serviceのコネクション(解説済み) |
モデル名 | 生成AIのモデルを選択 |
要約するテキストです【必須】 | 要約対象の文字列を設定 |
要約語数 | 要約結果の文字数制限 |
出力用の言語を検出 | 元のテキストの言語を検出し、それに応じた出力言語を設定するか選択 |
要約形式 | 文章形式、箇条書き等要約結果の形式を選択 |
創造性 | 創造性を許容するか設定。高くするほど創造的な文章になるが、不正確な情報を含む可能性がある |
概要【必須】 | 要約結果の出力先を設定 |
ほとんどの項目は規定値が自動設定されるか任意項目で、
「要約するテキストです(要約元のテキスト)」と「概要(出力先)」の2点だけ設定すれば動作します。
既存のアクティビティと比べても、簡単に設定できるかと思います。
AI Unitsについて
GenAIアクティビティを用いるにはAI Unitsの契約が必要であり、
GenAIアクティビティを使用するとAI Unitsが消費されます。
ここではAI Unitsの消費量や、消費状況の確認方法を解説します。
AI Unitsの消費量
GenAIアクティビティを使用する度、1AI Unit消費します。
AI ユニットの消費
UiPath GenAI アクティビティでは、トークンの消費量に応じて AI ユニットを購入する必要があります。 AI ユニットについて詳しくは、 『AI Center ガイド』をご覧ください。
これらのアクティビティは、1 回の実行につき 1 つの AI ユニット (設計時と実行時の実行を含む) を使用します。
プロセス1つで3つのアクティビティを使用する場合、実行ごとに3AI Unitsを消費することになります。
AI Units消費状況の確認方法
テナントごとのAI Unitsの消費状況確認手順を紹介します。
①Automation Cloud(https://cloud.uipath.com/)から、管理画面(Administration)を開く
②ライセンスをクリック
③消費状況>AIユニットの「消費状況を表示」をクリック
まとめ
生成AIの登場により、RPAの活用の幅が広がるイメージは湧いたでしょうか?
私自身、「機械的な業務を得意とするRPAに対してフリーフォーマットで出力する生成AIをどう組み合わせるのだろう?」とずっと悩んでいました。
しかしこのGenAIを使ってみて、ここの解像度がかなり上がったように思います。
特に、機械的な業務を得意とするRPAと組み合わせるうえで、
- 「カテゴリに分類」アクティビティを用いて処理を分岐させる
- 「Recognition (固有表現抽出)」アクティビティを用いて必要な情報を抽出する
といった機能は活用できる幅が多そうです。
実はこの記事を書く中でもGenAIアクティビティの新たなリリースが出ており、
UiPath社としてもこの領域にかなり力を入れていることがうかがえます。
GenAIアクティビティを用いて、自動化の幅を広げていきましょう!
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