業務の効率化や自動化を考える際「RPAツールを導入したいけど、コストが気になる」という悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。特に、中小企業にとって、有料のRPAツールを導入するのはハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、無料で使えるRPAツールを活用すれば、コストをかけずに業務を自動化でき、実際に多くの企業が無料のRPAツールを試しながら、自社に合った業務改善を進めています。
本記事では、無料で利用できるRPAツールの特徴や種類、メリット・デメリットを詳しく解説します。さらに、おすすめの無料RPAツール10選を紹介するので、自社や業務に最適なツールを選ぶ際の参考にしてください。
RPAツールとは?
RPAツールとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、業務の自動化を行うソフトウェアのことです。決められた手順を記録し、ソフトウェア上の「ロボット」が代行する仕組みになっています。
特に、繰り返し行う作業やルールが決まっている業務の自動化が得意です。また、RPAには業務範囲に応じて以下のようなクラスが付けられています。
近年は、プログラミング不要のツールも増え、初心者でも扱いやすくなっています。ただし、業務フローの変更やシステムのアップデート時には設定の見直しが必要です。適切に管理すれば、長期的な業務効率化が可能になるでしょう。
出典:総務省| RPA(働き方改革:業務自動化にようる生産性向上)
【無料】RPAツールの特徴
無料のRPAツールには、以下のような特徴があります。
- トライアル:無料期間が限定されている
- 一定の条件付きで無料:個人や小規模チームなどの条件あり
- フリーミアム:機能や利用環境に条件あり
- 完全無料:全ての機能を無料で利用できる
それぞれの特徴を解説します。
トライアル:無料期間が限定されている
無料トライアルとは、一定期間だけRPAツールを無料で試せる仕組みです。ほとんどの有料RPAツールに導入されており、利用者は契約前に使い勝手を確認できます。トライアル期間はツールによって異なりますが、7日~60日間と設定されていることが多いです。
無料トライアルの最大の利点は、有料版と同じ環境で試せる点にあります。一部の機能に制限がかかるケースもありますが、多くの場合、主要な機能を制限なく使用可能です。そのため、本格導入前に操作性や業務との相性を確認できるでしょう。
ただし、トライアル期間が終了すると自動的に有料プランへ移行する場合があるため注意が必要です。契約不要で試せるツールもありますが、クレジットカード情報の入力を求められるケースもあります。試す際は、利用条件を事前に確認し、必要な期間内でしっかり評価することが重要です。
一定の条件付きで無料:個人や小規模チームなどの条件あり
一部のRPAツールは、特定の条件を満たせば無料で利用できる仕組みになっています。個人利用・小規模チーム・教育機関向け・開発者向けなど、対象者が限定されるケースが多いです。このような無料プランは、有料版とほぼ同じ機能を使える場合があり、コストを抑えたい企業や個人に適しています。
無料プランの利用対象はツールごとに異なります。代表的な例として、個人開発者向けの「UiPath Community Edition」や、小規模事業者向けの「Automation Anywhere Community Edition」などが挙げられます。特に、学習目的で利用する場合は、こうした無料プランを活用するのが有効です。
ただし、利用規約の変更や商用利用の制限に注意が必要です。個人向けや教育機関向けのプランは、一定の規模を超えると有料プランへ移行しなければならないケースもあります。導入を検討する際は、提供条件をよく確認し、業務環境に適したものを選ぶようにしましょう。
フリーミアム:機能や利用環境に条件あり
フリーミアムとは、基本的な機能を無料で提供し、高度な機能を有料で利用できる仕組みです。「フリー(無料)」と「プレミアム(有料)」を組み合わせたビジネスモデルで、多くのRPAツールが採用されています。
このタイプのRPAツールは、無料版でも基本的な自動化機能を利用可能です。しかし、業務の規模が大きくなるにつれて、処理できるデータ量や利用可能なロボット数に制限がある場合が多いため、必要に応じて有料プランへのアップグレードが求められます。
例えば、無料版では1つのロボットしか利用できないが、有料版にすると複数のロボットを同時に稼働できるというような制限があります。また、クラウド保存やAI連携などの高度な機能は、有料プランでのみ提供されることが一般的です。
このモデルのメリットは、最初は無料で試し、必要に応じて機能を拡張できる点にあります。まずは無料版を使い、自社の業務に適しているか確認した上で、有料版への移行を検討するのが良いでしょう。ただし、ツールごとに無料で使える範囲が異なるため、事前に利用条件を確認することが重要です。
完全無料:全ての機能を無料で利用できる
一部のRPAツールは、すべての機能を完全に無料で提供しており、個人や小規模事業者にとって魅力的な選択肢です。有料プランが存在しないため、導入コストを抑えながら業務の自動化を実現できます。
完全無料のRPAツールは、基本的な自動化機能に加え、データ処理やワークフロー管理なども利用可能です。ただし、サポート体制には違いがあり、以下のようなパターンが見られます。
- 公式サポートなし(ユーザーコミュニティのみ):他の利用者との情報共有によって問題を解決する
- 問い合わせサポートは有料:技術的な質問やトラブル対応は別途料金がかかる
- 学習コンテンツが用意されている:オンライン講座やマニュアルを提供している場合がある
無料で使える点は大きなメリットですが、トラブル発生時に迅速なサポートを受けられない可能性があるため、社内で対応できる体制を整えておくと安心です。業務に適したRPAツールを選ぶ際は、無料で使える範囲だけでなく、サポートの有無や学習環境の充実度も確認しておくとよいでしょう。
RPAツールには3つのタイプがある
RPAツールは、クラウド型・デスクトップ型・サーバー型の3種類に分類されます。どのタイプを選ぶかによって、導入の手間・コスト・対応できる業務範囲が異なるため、自社の環境や業務内容に適したものを選ぶことが重要です。
クラウド型
クラウド型のRPAツールは、インターネットを通じて利用できるタイプです。Webブラウザ上で動作するため、ソフトウェアのインストールが不要で、どこからでもアクセスできます。また、システムの保守や運用を自社で行う必要がなく、導入の手間が少ない点が大きな利点と言えます。
特に、クラウドサービスを活用した業務の自動化に適しているため、Webアプリやオンラインツールとの連携がしやすい点もメリットです。一方で、パソコンにインストールされたローカルアプリの操作はできないため、社内システムを使った業務の自動化には向いていません。
クラウド型は、リモートワークを導入している企業や、シンプルな業務自動化を試したい場合に適しています。
デスクトップ型
デスクトップ型のRPAツールは、個人のPCにインストールして利用するタイプです。ローカルアプリの操作も自動化でき、インターネットに依存しないため、安定した動作が可能です。導入コストが低く、個人や小規模企業でも手軽に利用できる点が特徴です。
ただし、自動化できる範囲が1台のPCに限定されるため、大規模な業務には不向きでしょう。チームで同じワークフローを共有する場合、追加の設定が必要になります。
サーバー型
サーバー型のRPAツールは、自社サーバーを活用し、企業全体で統括できるタイプです。複数のPCやシステムをまたいで業務を自動化できるため、大規模な業務効率化に適しています。また、セキュリティ対策が強固で、機密情報を扱う業務にも向いています。
一方で、初期費用や運用コストが高く、導入までに時間がかかる点が課題です。IT管理者による運用体制が必要なため、中小企業よりも大企業向けのRPAツールと言えます。
無料で使えるRPAツール10選
無料で使えるRPAツールを以下の表にまとめました。
ツール名 |
無料トライアル期間 |
特徴 |
Windows10またはWindows11ユーザー無料 |
Microsoftが提供するデスクトップ操作自動化の機能 |
|
60日間 |
個人利用は完全利用&有料プランも60日間利用可能 |
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30日間 |
世界中のトップ企業で利用されているRPAツール |
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1ヶ月3ライセンス無料 |
純国産のRPAツール |
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1ヶ月 |
利用継続率99.3%の満足度の高いRPAツール |
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1ヶ月 |
90カ国以上の世界中で利用 |
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完全無料 |
完全無料&機能の制限が無い |
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2週間 |
ブラウザ及びCSVファイル、スプレッドシートを使う業務におすすめ |
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2週間 |
システムの速度に合わせて動く安定動作が強み |
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3週間 |
1ライセンスを複数のパソコンで共有・利用可能 |
それぞれのツールの特徴を解説します。
Microsoft Power Automate Desktop:Windows10,11ユーザーなら無料で利用可能
Microsoft Power Automate Desktopは、Windows 10・11のユーザーなら無料で利用できるRPAツールです。Microsoftが提供するため、Windows環境との互換性が高く、マウス操作の記録やキーボード入力の自動化が簡単に設定可能です。
クラウド版のPower Automateと連携することで、さらに高度な業務自動化が実現できます。無料でありながら、基本的なRPA機能を備えているため、個人や中小企業の業務改善に適しています。
公式サイト:Microsoft Power Automate Desktop
UiPath Platform:個人利用は完全利用&有料プランも60日間利用可能
UiPath Platformは、個人利用ならすべての機能を無料で利用できるRPAツールです。さらに、有料プランを60日間無料で試せるため、企業導入前のテストにも適しています。
プログラミング不要で操作できるため、初心者でも直感的に業務自動化を進められる点が魅力です。また、無料の学習コンテンツ「UiPathアカデミー」も充実しており、学習環境も整っています。
公式サイト:UiPath Platform
Automation 360:世界中のトップ企業で利用されているRPAツール
Automation 360は、世界中の大手企業が採用する高度なRPAツールです。クラウドベースで提供され、AIや機械学習との連携が可能な点が特徴です。特に、データ入力や分析、業務フローの最適化を自動化できるため、金融・医療・製造業など幅広い業界で利用されています。
また、Webブラウザ上で操作可能なため、インストール不要で導入しやすい点も強みです。高度な機能を備えながらも、無料のCommunity Editionで試すことが可能です。
公式サイト:Automation 360
Robo-Pat DX:純国産のRPAツール
Robo-Pat DXは、日本企業向けに開発された純国産のRPAツールです。日本語のサポートが充実しており、直感的な操作でRPAを導入できるため、IT知識がなくても利用しやすいのが特徴です。
また、クラウド環境とオンプレミス環境の両方に対応しており、企業のニーズに合わせた柔軟な運用が可能です。日本国内での実績が豊富で、国産RPAを求める企業に適しています。
公式サイト:Robo-Pat DX
BizRobo!:利用継続率99.3%の満足度の高いRPAツール
BizRobo!は、企業向けに特化した高性能RPAツールで、利用継続率99.3%という高い満足度を誇ります。大量のデータ処理や複数の業務の並行実行が可能で、大企業や官公庁でも幅広く導入されています。クラウド型とオンプレミス型の両方に対応しており、セキュリティ面でも安心して利用できる点が強みです。
公式サイト:BizRobo!
Automation Anywhere Community Edition:90カ国以上の世界中で利用
Automation Anywhere Community Editionは、世界90カ国以上で利用されているRPAツールです。無料で利用できるため、RPA初心者や開発者が試すのに適しています。
クラウドベースで動作し、ブラウザ上で設定を行えるため、インストール不要で手軽に導入可能です。AIや機械学習との連携機能も備えており、高度な自動化を試したいユーザーにおすすめです。
公式サイト:Automation Anywhere Community Edition
マクロマン:完全無料&機能の制限が無い
マクロマンは、すべての機能を無料で利用できるRPAツールです。一般的なRPAツールでは無料版に制限があることが多いですが、マクロマンはロボットの数や実行回数の制限がなく、誰でも無制限に活用可能です。
ExcelやWebブラウザの自動操作にも対応しており、中小企業や個人事業主でも手軽に業務効率化を実現できます。
公式サイト:マクロマン
AUTORO Assistant:ブラウザ及びCSVファイル、スプレッドシートを使う業務におすすめ
AUTORO Assistantは、ブラウザ上で動作するクラウド型RPAツールです。特に、CSVファイルやGoogleスプレッドシートを活用した業務の自動化に適している点が特徴です。
インストール不要で手軽に使え、複数のデバイスからアクセス可能です。シンプルなUIで操作しやすく、データ入力や情報整理を効率化したい企業におすすめです。
公式サイト:AUTORO Assistant
EzAvater:システムの速度に合わせて動く安定動作が強み
EzAvaterは、システムの処理速度に合わせて自動化を行うため、安定した動作が特徴のRPAツールです。動作環境の変化に強く、システムの負荷が高い場合でもスムーズに業務を自動化できます。
また、複数のアプリケーション間のデータ処理にも対応しており、業務の一貫した自動化を実現できる点が強みです。
公式サイト:EzAvater
RoboTANGO:1ライセンスを複数のパソコンで共有・利用可能
RoboTANGOは、1つのライセンスで複数のパソコンから利用できるRPAツールです。一般的なRPAツールは1台のPCごとにライセンスが必要ですが、RoboTANGOは複数の端末で共有できるため、コストを抑えて導入可能です。
また、画面録画機能を活用し、簡単な操作で業務フローを自動化できる点も魅力です。
公式サイト:RoboTANGO
無料のRPAツールのメリット
無料のRPAツールを活用するメリットは以下の3つです。
- コストをかけずに業務の自動化を実現
- システム構築のためのセットアップが不要で即利用可能
- ツールの使用感や向き不向きを確認できる
それぞれ解説します。
コストをかけずに業務の自動化を実現
無料のRPAツールを活用すれば、初期費用や運用コストをかけずに業務の自動化を実現できます。特に、中小企業や個人事業主にとって、低コストで導入できる点は大きなメリットです。
有料版と比べて一部の機能に制限がある場合もありますが、基本的な業務自動化には十分対応可能です。コストを抑えながら業務効率を向上させたい企業にとって、無料のRPAツールは有効な選択肢となるでしょう。
システム構築のためのセットアップが不要で即利用可能
無料のRPAツールの多くは、インストールや複雑なセットアップが不要で、すぐに利用を開始できる点が魅力です。特に、クラウド型のRPAツールは、アカウント登録のみで業務自動化が可能なものも多く、導入までの手間を大幅に削減できます。
また、プログラミング不要のノーコードツールも多く、専門知識がなくても簡単に操作可能です。すぐに試せるため、業務の自動化を始めるハードルが低くなります。
ツールの使用感や向き不向きを確認できる
無料のRPAツールを利用することで、実際の業務に適しているかを事前に確認できるメリットがあります。導入後に「使いにくい」「業務に合わない」といった問題が発生することを防ぎ、本格導入前に試すことで、適切なRPAツールを選択可能です。
また、無料版で操作を習得し、必要に応じて有料版に移行するという活用方法もあります。慎重に導入を進めたい企業にとって、無料ツールは最適な選択肢と言えます。
無料のRPAツールのデメリット
無料のRPAツールを活用するデメリットは以下の2つです。
- 有料と比べて使える機能が少ない
- サポートを受けられない・手薄なケースが多い
それぞれ解説します。
有料版と比べて使える機能が少ない
無料のRPAツールは、基本機能は備えているものの、有料版と比較すると使える機能に制限がある場合が多いです。例えば、自動化できるタスクの種類や処理できるデータ量に制限があることが一般的です。
また、API連携やAI機能などの高度な自動化機能は、有料プランでのみ利用可能なケースが多いため、大規模な業務自動化には向いていません。業務の規模や必要な機能を考慮し、無料版で対応可能かを確認することが重要です。
サポートを受けられない・手薄なケースが多い
無料のRPAツールは、公式サポートが提供されない、またはサポートが限定的な場合が多い点がデメリットです。トラブルが発生した際、自力で解決する必要があり、問題の対応に時間がかかる可能性があります。
一部のツールでは、ユーザーコミュニティやFAQが用意されていますが、回答の正確性やレスポンスの速さに不安が残ることもあるでしょう。業務に支障が出ないよう、サポート体制の有無を事前に確認することが大切です。
まとめ
無料のRPAツールを活用すれば、コストをかけずに業務の自動化を実現できます。特に、個人や中小企業にとって、手軽に導入できる点は大きなメリットです。
一方で、有料版と比べて機能制限がある場合や、サポート体制が手薄なケースもあるため、自社の業務に適したツールを選ぶことが重要です。まずは無料版を試し、実際の使用感を確かめながら、最適なRPAツールを導入しましょう。
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