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マルチモーダルAIとは?シングルモーダルAIとの違いや活用事例を解説

マルチモーダルAIとは?シングルモーダルAIとの違いや活用事例を解説

AI技術の発展が急速に進み、多くの企業ではテキストや画像の生成など幅広い目的で利活用されています。そうしたなかで注目を集めているのが、異なる複数の情報を統合的に学び、高度な処理を可能にするマルチモーダルAIです。

応用範囲は広く、近年では完全自動運転や病気の早期発見の実現といった多様な領域での活用に期待されています。この記事では、マルチモーダルAIの概要やできること、メリットや課題について解説します。

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マルチモーダルAIとは

テキストや画像、音声やセンサー情報といった複数の異なるデータの種類から集めた情報を統合し、処理する技術を搭載したAIモデルのことをマルチモーダルAIと呼びます。多様なデータを組み合わせることでAIモデルの理解度や洞察力が向上するため、さまざまな問題解決に関する手段を得るきっかけにつながります。

なお、複数のデータの種類から学習することを「マルチモーダル学習」と呼びます。マルチモーダルAIの一例としては、OpenAIによるGPTシリーズがあります。

シングルモーダルAIとの違い

シングルモーダルAIは、単一のデータの種類を使う限定的な処理に特化したAIモデルです。マルチモーダルAIは多種類のデータ処理に特化したAIモデルであるため、用途や目的に応じて使い分けることが推奨されます。

たとえば、深い洞察が必要な企画書の作成であればマルチモーダルAIを、動画データからテキスト情報を生成するといったシーンにはシングルモーダルAIが向いています。

マルチモーダルAIにできること

マルチモーダルAIは、これまでの単一のデータだけでは達成できなかった、複雑かつ高度なタスクを実現できます。具体的には以下の項目が挙げられます。

さまざまな要素を組み合わせたデータ処理

マルチモーダルAIの基本的な機能として、異なる種類のデータを統合して処理できる点が挙げられます。たとえば観光地の写真とその写真に関する観光客のレビューを同時に分析し、観光地の人気度や魅力的な部分を判断する際に役立ちます。

このほか、防犯カメラの映像と音声を同時に解析し、映像に映る不審な行動と映像で流れる音声の組み合わせを通じて、危険な状況を正確に検知することもできます。

高精度でスムーズなデータ変換

マルチモーダルAIはあるデータの種類から別のデータの種類への変換をより高度な精度で実行できます。たとえば画像の内容を説明するキャプションの自動生成や、音声認識で得たテキスト情報をもとに話者の感情を付加し、詳細な議事録を残すといったシーンで活用できます。

このほか、手書きメモをテキストデータに変換し、その内容を要約して音声で読み上げるといった一連のプロセスも対応できます。こうした特徴によって、情報のバリアフリー化や業務効率化に貢献すると注目を集めています。

異常の検知

複数のデータを組み合わせることで、単一の情報源では見逃す可能性の高い異常の検知能力も向上します。たとえば工場の製造ラインで製品画像と製造時の設備音を同時にモニタリングできる環境構築によって、従来よりも正確かつ迅速に不良品の発見が見込めます。

医療分野でも患者の心電図に関する数値と医師の診察時の音声を組み合わせることで、心臓病の初期兆候の早期発見につながります。こうした特徴から、予測保全や医療診断といった人命に関する分野での応用が期待されています。

行動認識

マルチモーダルAIは、テキストや画像、動画だけでなく、音声やセンサーデータといったデータも統合することで、複雑な人間の行動をより深く理解することにつながります。たとえばスマートホームにおいてカメラ映像と音声データを組み合わせれば、人間にとって最適な気温に保つため、冷房・暖房をつけるべき状況を正確に判断できます。

また、小売業界では顧客の移動経路と製品を手にしたときの視点、顧客の表情を分析することで顧客の購買意図をより正確に予測する環境が生まれ、パーソナライズ化したサービスやマーケティング戦略の最適化に役立ちます。

産業用ロボット

マルチモーダルAIの導入によってロボットは従来と比べて柔軟で自律的な作業に対応できます。たとえばカメラ映像で製品の形状を認識し、力覚センサーで製品の重さ・硬さを把握し、音声で従業員の指示を理解するといった業務プロセスを実現できます。その結果、製品のばらつきやトラブルにも柔軟に対応できる環境が構築され、生産性の向上に期待できます。

マルチモーダルAIのメリット

マルチモーダルAIは、従来のAIにはないメリットをもたらします。具体的には下記の通りです。

人間の思考に近い判断

マルチモーダルAIは、複数の情報源を統合的に処理する特徴により、単一の情報だけでは見逃してしまうような文脈・ニュアンスを理解する能力を持っています。思考は人間に近く、多角的な判断を下すことに有効です。たとえば、顧客対応や意思決定の支援など、複雑な状況判断が求められるシーンには強みとして有効活用できます。

高度な技能の取得

マルチモーダルAIは複数のデータを統合的に学習することで、人間が長年培ってきた学びと、訓練で習得するような高度な技能を獲得する可能性を秘めています。たとえば手術支援ロボットに医師が執刀する手術の映像や音声による指示、患者のバイタルデータなどを同時に学習させれば、状況に応じた柔軟な判断力を身につけることができます。

これまでのロボットは単なる動作の再現でしたが、医療従事者の負担軽減をはじめ、医療ミスの軽減に貢献すると期待を集めています。

AI精度の向上

マルチモーダルAIは、複数の情報源で互いに補完し合う能力を搭載しているため、より堅牢で信頼性の高い結果を導き出すことができます。一方のシングルモーダルAIは、使用するデータにノイズが含まれている、あるいは情報が不十分だった場合に、精度の低下を招くことがあります。

たとえば騒がしい場所での音声認識は、周囲の音声によって音声情報がかき消され、正確な文字起こしが難しいことがあります。そのような場合でもマルチモーダルAIであれば、話者の表情や口の動きがわかる映像をあわせて分析させることで認識精度の向上につながります。

顧客体験の向上

マルチモーダルAIは、顧客との接点を多角的に捉えることで、顧客体験を向上させることも可能です。たとえば顧客からの問い合わせ対応において、従来のテキストによるやり取りに加えて製品の不具合箇所やエラーメッセージに関する画像を送ってもらうことで、状況を迅速かつ正確に理解できるようになります。

これまでは口頭やテキストコミュニケーションだけでは伝わりにくい複雑な状況も、統合的なデータ処理を通じて、的確な解決策を瞬時に提示することができます。顧客は何度も状況を説明する手間が省けるほか解決までの時間短縮にもつながり、満足度も飛躍的に向上します。

マルチモーダルAIの活用事例

マルチモーダルAIは、すでに私たちの身近な場所で活用されはじめています。ここからは、具体的な活用事例について解説します。

自動車

自動車分野では、自動運転技術にマルチモーダルAIが活用されています。自動運転車はカメラによる画像認識、レーダーによる距離測定、GPSによる位置情報といった複数のセンサーからのデータを統合して走行環境を正確に把握しています。

車内カメラで運転者の居眠りや脇見といった状態を検知し、音声アシスタントが運転者の指示を理解する機能も実現されており、将来的には事故の削減に貢献すると期待されています。

医療業界

医療業界では診断精度の向上や医療従事者の負担軽減に役立てられています。たとえば画像診断ではMRIやCTスキャンなどの医療用画像と、患者の電子カルテのテキスト情報を組み合わせることで、病変の早期発見や正確な診断をサポートします。

このほか手術支援ロボットは、術野の映像や手術中の音声指示、患者の生体データを統合的に分析し、より精密な手術に導く可能性を秘めています。

製造分野

製造分野では品質管理や生産性の向上に貢献しています。たとえばスマートファクトリーでは、製造ラインを撮影したカメラ映像や機械音を分析するセンサー、製品の重量や温度を測定したデータなどを統合的に監視することで、不良品の発生をリアルタイムで検知し、生産ラインの自動停止に役立てられています。

スポーツ

スポーツ分野では、選手のパフォーマンス分析や観戦体験の向上に活用されています。たとえば選手の動きを捉えたカメラ映像や心拍数・移動距離を計測するウェアラブルデバイスなどのデータを統合的に分析することで、選手の強みや弱点を客観的に評価できます。その結果、効果的なトレーニングプログラムの作成や戦術の最適化に役立てられています。

テレビ中継の際も、選手の動きやスタジアムの音声をリアルタイム分析することで、視聴者に詳細な情報や視覚効果の提供につながり、観戦体験の向上に貢献しています。

教育

教育分野では生徒1人ひとりに応じた学習体験に貢献しています。たとえばオンライン学習プラットフォームでは、生徒の回答や問題につまずいたときの表情、発話内容を統合的に分析し、生徒の理解度や感情状態を把握しています。その結果、AIが自動で最適な教材を提案したり、最適な回答をしたりすることに役立てられています。

セキュリティ業界

セキュリティ分野では、高度な監視と異常検知に活用されています。たとえば監視システムでは防犯カメラの映像やマイクからの音声、ドアや窓の開閉センサーデータなどを組み合わせることで、侵入者や火災などの異常を迅速かつ正確に検知することができます。

空港や駅では乗客の顔情報と持ち物のスキャン画像、歩き方や持ち物の重さに関するデータを分析することで、危険物の持ち込みをはじめとした不審な行動を高精度に検知することも可能です。

マルチモーダルAIの課題

マルチモーダルAIは、大きな可能性を秘めている一方、まだ解決すべき課題も存在します。具体的には下記の通りです。

データ処理に要する時間

マルチモーダルAIは、多様なデータを統合的に分析する能力を持つために、シングルモーダルAIと比較しても計算量が多く、学習や推論に要する時間が長くなります。特にリアルタイム性が求められる自動運転やロボット制御においては、この処理速度がボトルネックになることがあります。

判断根拠のわかりにくさ

シングルモーダルAIでも課題とされていた「判断根拠のブラックボックス化」は、マルチモーダルAIも含みます。複数の異なるデータを複雑に組み合わせて判断を行うため、AIがなぜその結論に至ったのかを人間が理解することが困難になります。なかでも医療分野や金融業界では、説明可能性の確保が課題になる可能性があります。

まとめ

マルチモーダルAIは、テキストや画像、音声、動画など、複数の種類の情報を統合的に処理することで、人間の思考に近い高度な判断を実現する技術です。シングルモーダルAIが特定のタスクに特化しているのに対し、マルチモーダルAIは複数の情報を組み合わせることで、より深く包括的な情報を理解できるようになります。

一方で、データ処理の計算量や判断根拠のわかりにくさなど、いくつかの課題も残されているため、適切な対応策を講じながら企業活動に役立てる必要があります。

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